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母の手記:娘の乳房が切り落とされるとき


FFさんがRTしていて目に留まったある母親のスレッド。

ASD(自閉症スペクトラム)とBDD(身体醜形障害、醜形恐怖症)を患い、自分は男子だと言い張って乳房切除術を受けたがっているという、自称トランスジェンダーの愛娘について綴っている。

2021年7月から今に至るまでの母と娘との軋轢や口論、精神科医の対応、娘のメンタルヘルス、家族の葛藤など、親子を引き裂くジェンダー・イデオロギーのリアルがそこにあった。

欧米においてジェンダー医療は急成長中の一大産業であり、性別違和を訴える子どもたちは金の卵だ。日本でも著名なLGBTQ専門家や団体が二次性徴抑制の治療を紹介するなど、未成年の性別移行に対するハードルは下がってきており、対岸の火事ではない。

二次性徴が苦痛だ、という子に対しては二次性徴抑制の治療を行うことができます。一般的にGnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アゴニストという薬を使用して望まない身体の変化を止め、その間に自分がどのような性別で生きていきたいかを落ち着いて考えることができます。

(性別違和のあるお子さんと家族のための情報サイトにじっこより。監修:明治大学)

https://245family.jimdofree.com/子どもの性別違和/

特に発達障害や様々なメンタルヘルスを抱える子どもたちは、学校生活や対人関係が上手くいかずに感じる「ズレ」を性別違和と混同する傾向がある、との指摘もある。ネットでLGBTQを名乗る若者のプロフィール欄を見ると、それはだいぶ頷ける。

この母の手記は、トランスジェンダーを自称する子どもを持つ多くの親の体験と非常によく似ている。戸惑い、苛立ち、悲しみ、葛藤、しかし揺るがない深い愛情。ジェンダー医療の盛んなイギリスや米国、カナダなどで、大勢の父母が同じように苦しんでいる。子どもたちの体に残る不可逆的な傷に、壊れた家族の絆に涙している。

ひとつひとつキーポイントに注釈を加えようとも思ったが、今回は知識や用語よりも母親の思いの丈を伝える方が大切な気がしたので、解説は省く。

以下、Mumma Blue氏によるスレッドを繋げて翻訳した。一部わかりにくい箇所のみ言葉を補足して読みやすくしている。




2021年7月29日:

(乳房切除の)手術は延期になった、と怒り狂った娘から聞いた。

理由?

手術を延期しないならわたしがGMC(英国医学協議会)とHCPC(ヘルスケア専門職協議会)に訴えると「脅し」たから、だって。

違うわ、娘には他にもメンタルヘルスの問題がある、それを話す時間が必要ということだったじゃないの。

精神科医の悪意なのか、それとも全面開示義務か…暴言の内容から判断してみることにする。

「ママは数千のトランスジェンダーの命を危険に晒した」
「ママには彼(娘の精神科医)の診断に疑問を持つ権利はない」
「もう二度とママを信用しない」

…両方かもしれない。

娘に「彼らの診断が確かなら、考えを変えたりはしないんじゃないの?」と言っても返事をしない。「ママが医者たちに嘘をついた?」と尋ねても、反応は返ってこない。

「でも手術は延期されただけなんだから、まだ他にも医療支援を受けられるじゃない」と言うと、わたしの目の前でドアは勢いよく閉められた。

甘苦い勝利。でも今はこれで良しとしよう。

わたしは何があってもこの子を愛している。彼らだってそれは奪えないし、否定もさせない。

それは事実だわ。


2021年8月6日:


今日、娘は週末をボーイフレンドの家で過ごすことになった。フェレットを連れて(『His Dark Materials』の守り神みたいに)。

今度いつ話せるかと尋ねると、死んだ瞳に怒りはないものの、「ずっと無理」と苛立ったように言う。

わたしは「話をしないのは不健全よ」と言った。

ヘッドホンを着ける娘。


2021年8月14日:


娘はまだ口をきいてくれない。「いつ話せるの?」と訊くと「当分は無理」と。

わざとそうしてるんだろうけど、つらい…娘はテストステロンを服用しているので、復讐心と共に思春期が復活していて、それと同時にASD(自閉症スペクトラム)の特徴にも思える。

夫もそうだけれど、彼らの描いたものやこうあるべきという計画が変わってしまうと、「メルトダウン(感情が爆発する)」か「シャットダウン(一切を拒否する)」してしまう。

以前は、優しくて静かな時間やハグ、日常の「お茶でも飲みましょう」なんて一言で、娘をギリギリの崖っぷちから戻すことができた。

だけど今は新しい人格が育ってきていて、娘の目を見ればわかるけれども、発する言葉は彼女のものじゃない。

わたしが「この関係の修復が必要よ」と言うと、その別の人格が「有害な関係なら必要ないわ!」と吐き捨てる。

わたしは後ずさってしまう…。


2021年8月17日:


今日は娘に1回、2回とメールをした。「頑張りすぎないでね、XX(キスキス)」「寂しいよ」…。

するとたった一文字のアルファベットが返ってきて、「X(キス)」の文字にわたしの胃はギュッとなって口は乾いて、そしてわたしは少し泣いてしまった。

あとは娘が帰ってくるのを待つだけだけど…わたしたち、話せないかな?

夕食を食べているとドアが開いた。

娘の分はオーブンに入っていてまだ温かく、テーブルには彼女の席も用意しておいた。

娘はこちらへきて、無言でわたしたちと共に食卓を囲んだ。疲れが彼女の瞳に見える。

(胸をつぶすための)バインダーが娘の姿勢を制限しているのがわかる。彼女は以前のように上体を傾けて、顔を数インチのところまでお皿に近づけて食べ物を口に運びたいのだけれど、その鎧のような胸のコルセットがそれを妨げている。

食事を終えると彼女は立ち上がったので、わたしは「会いたかった」と手を差し出した。すると娘も「ちょっと時間が必要だったの」と。わたしたちはハグをした。


2021年8月30日:


日常の会話は戻ってきたけれどそれはフェイクで、「今日は夕ご飯いるの?」とか「仕事はどうだった」みたいな、当たり障りのないもの。

わたしや他の家族の人生に何が起きているかなんて興味はないようで、議論もなければ意見の相違もない。

テストステロンで娘の声は変わってしまった。男性のものではなく、ティーンエイジャーの声といった感じ。娘はしゃがれたその声をわざと低くして喋るけれど、疲れている時などはまだ元の彼女の声に聞こえる。

同じ抑揚、同じ拍子、同じトーン、ただ以前より悲しげな声。

この一年と少しの間で、それが大きな違いだと思う。娘は見た目も声も前と比べて悲壮感が漂っている。「わたしは男なんだ」という思い込みを補強するための薬物を投与されているとは、とても思えない。以前より力強さもなく、耐性もなく、生命力にも溢れていない。テストステロンが功を奏しているとは思えない。

そしてわたしまで悲しくなる。


2021年10月1日:


わたしたちがつけた名前ではなく、彼女自身が選んだ名前で郵便が届くと、どうしてこんなにもつらいんだろう。

今でこそ娘の新しい名はさほど気にならなくなったものの、わたしたちが一生懸命考えて選んだ名前を彼女が拒絶しているのが…。

産まれた彼女に触れ、名前を決めて喜び勇んで役所に届け出たあのとき。

子どもの頃、イソベルでもグレースでもエレノアでもベスでもない、同級生の誰も持っていない名前を、娘は誇りにしていた。みんな口々に「なんてあなたに似合う素敵な名前なの!」と彼女を褒めたっけ。

でも今では「ミスター〇〇」とか、新しい名前で娘宛に郵便が届くのだ。わたしはため息をつきながら、彼女が家の中を移動するときに受け取れるよう、手紙を手すりの間に置く。

娘は以前の明るさはどこへ行ったのか、生気をなくしてまるで亡霊のようだ。わたしたちがつけた名前が意味する、「光」は消え去ってしまった。

テストステロンは、特に定期的なメトロノーム法(低容量で長期的な投与)の場合、活気を削いでイライラを増強させる。自然なホルモンバランスは常に一定というわけではないから、毎日ミリグラムを摂取することへの負担が、彼女の目のくすみに現れている。

新しい名前のせいじゃないの、なんて。


2021年10月18日:


我が子に「違和感を感じてるからって、あなたが男ということにはならないのよ」と言うのは胸が張り裂ける思いがする。でもわたしは言った、もう数ヶ月前のこと。

わたしに認めさせることがいちばん重要だったんだろうけど、わたしはできなかった。嘘はつけなかった。

会話は続いて…

娘:どういう意味よそれ!
わたし:そういうふうに自分を変えることはできないとわたしは思ってるけど、でもあなたが自分の身体に違和感を感じているというのは信じるわ。
娘:そうよ、わたしは少年だからよ!
わたし:男、じゃなくて?

娘:(腕組みをしてふんぞりかえって)お願いだからママがターフ(TERF、トランスを嫌悪するフェミニストへの蔑称)なんてやめてよね。
わたし:わかってるわ。
娘:トランスの人たちは真人間と思われてないから、暴力を振るわれたり殺されたりしてるのよ。
わたし:どこの話よ?ゲイでいるよりトランス女性でいる方が安全な英国や南アメリカ?

娘:何てことなの!ママも奴らとおんなじね!どこでそんな情報を仕入れてきたの?極右のキリスト教徒から?
わたし:気になるなら調べて送るけど、でもね、トランス女性も普通の女性と同じように、大抵の場合は身内や知人男性に殺されているという事実は変わらないわ。それは知ってるでしょう?

娘:ママがそういうこと言い出すってわかってたわ。
わたし:安心して男性更衣室を使えるの?
娘:(口を結びうつむいて黙っている)
わたし:愛してるわ。ただあなたが自分を愛せていないんじゃないかって思うの。

わたしは言いながら娘に寄り添ってぎゅっと抱きしめた…。


2021年10月27日:


今日は胸が張り裂けそうにつらい。

娘を深く愛していて、彼女が苦しむ姿を見たくないのに、男として肯定できないし、「彼」なんて呼べない。

娘はそれはわたしが彼女を尊重していないからだと、このままでは疎遠にならざるを得ないと言う…。

わたしは、わたしが娘を肯定する必要性よりも、オープンで正直でリアルな関係を保つことの方がずっと重要だし、わたしが何を言おうと彼女自身がありのままの身体に馴染んでいるという強い思いを持つことが大切なんだ、と説明するのだけど…。

娘はわたしが気持ちよく少しの妥協をしたっていいはずだ、と言うけれども、それはできないし、その僅かな譲歩だってわたしたちの関係を堕落させている。

大半は青年期らしいやり方でわたしを傷つけようとしているんだとわかっている、そしてそれは効いている。

今日は、本当に胸が痛い…。


2021年11月10日:


今日は良い日なんだろうか?どうして疑ってしまうの。娘が部屋に入ってきて、背後から抱きついてきたとき、どうして不審に思ってしまうんだろう。

このジェンダー・イデオロギーが憎い。わたしたちから遠慮のない信頼を、現在を、真実を奪ってしまった。許せない。

くやしい、この瞬間を奪われてたまるか。

わたしは娘を抱きしめ返して、彼女が寄り添えるように首をもたげ、彼女の匂いを吸い込み、耳の後ろに残る微睡を吸い込み、彼女の腕を私の胸に引き寄せ、強く抱きしめた。

娘はまだ柔らかく、胸のバインダーもなく、穏やかに呼吸している...。

「お茶飲む?」と娘が訊いてくれて、わたしは「もちろん」と。

抱擁をほどくキスを娘が頬にくれたので、わたしは崩れそうになった。手の甲にキスを返すと、娘はお茶を入れに行った。

良い一日、わたしの一日、この瞬間を秘密の宝物のように、この長い旅の道のりに希望があることを思い出すために、しまっておく。

良い一日…。


2021年12月2日:


12月。

最初の治療からもうすぐ一年。

去年のクリスマスは本当に大変だった。コロナのせいで子どもたちはみんな家にいて、ほとんどの国はまだ暫定的に自粛を解いているときだったけど…トランス列車は暴走を続けていた。

今思えば、テストステロンが娘を連れ去ってしまう前、兄弟も従兄弟もわたしも先を争うように娘と過ごしたがっていた。

娘は興奮と恐怖のどん底にいて。ただ早くテストステロンを摂って多幸感に包まれたがって。

一年後、兄弟は彼女を失って寂しい思いをしている。

言葉だけのサポートと、「蚊帳の外」の両親に大見得を切るだけでよかった頃は、兄弟たちも彼女の味方についていたけど、今は彼らも憤慨しているのだ。

最優先されるのはいつも「トランスのこと」で、もう家族のように、あるいは生涯の友のように、冗談を言ったりふざけ合ったりできなくなってしまって。そのくせジェンダー・イデオロギーの聖杯を飲み干すことは求められるわけだから、兄弟たちは怒っている。

彼らは怒ったり悲しんだり、また怒ったり悲しんだり、そしてまた悲しんで、見ててわたしの胸は痛くなる。

クリスマスが来たら、みんなが家に集まったら、クリスマス・クラッカーでみんな笑顔になれるかしら…。


2022年1月9日:


1月。

男性「医師」が6000ポンドと引き換えに娘の乳房を切り落としてしまった。

もちろん娘はわたしたちに何も言わずじまいで、ただ圧迫包帯とドレーンを持って帰ってきた。

ボーイフレンドは娘のトイレを手伝ったり、世話をすることになっている…彼は自分の面倒もろくに見れないのに。

娘はとても具合が悪そうで、血色も悪く目が落ちくぼんでいる。彼女の「本当の自分」になる喜びはどこにあるのだろう。

このトラウマになるような手術を受ける間、彼女をサポートするセラピストはどこにいるのか?

彼らはいることはいるのだ、1時間あたり150ポンドを払いさえすれば。

彼らは彼女に何を言うのだろう。

「人生におけるあらゆるトラウマを癒すには、あなたを引き摺り下ろす全ての有害な人間関係を断ち切る必要があります」

彼らは娘に直接的に家族と縁を切れとは言わない。しかし「愛よりも全面的な肯定に価値がある」というイデオロギーを触れ込む。

わたしは諦めない。わたしの愛情は1時間150ポンドもかからない。わたしの愛はいつもここにある。

娘のトラウマの原因は学校で女子にいじめられたこと、13歳のときからその胸のせいで男たちに好奇の目を向けられたこと、なぜか治療に関心を払ってくれない自閉症スペクトラム…それらを彼女のセラピストたちが助けてくれているとでも?…明らかに違う。

…つまり、娘はジェンダーカルトに自分の肉体を捧げ、最終的に社会から受け入れられるために代償を支払ったと。

毎日、そう願っている。毎日、彼女の目の輝きをもう一度見たいと願っているのに、それはそこにはなく、わたしのはらわたはまだ煮えくりかえっている…。




Mumma Blue氏の手記はこれからも更新されると思うので、続きはいずれまた。


日本の子どもたちの安全と健康に関わる重大な社会問題として、子どものジェンダー関連記事は全て無料で発信しています。気に入ったらサポートやシェアして下さると嬉しいです。また私への直接の支援でなくとも、性別移行から元の身体に戻ろうとする子と親の支援団体への寄付など、ぜひご検討下さい。


ある女性ジャーナリストのトラウマ、性別違和、テストステロン療法、乳房切除、人工ペニス形成術、メンタルヘルスについての体験告白を全文訳し、およそ2万字に渡ってまとめています。興味のある方はどうぞ(一部暴力的な性描写を含みますのでご注意下さい)。



(終わり)


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