就業規則を自分でつくり、複業で生きのびる|脱落会社員の生存術
就業規則なんて、入社する前からすでに決まっているのがあたりまえである。そりゃあそうでしょ。
給与や労働時間などの条件、社内におけるルールを、労働基準法を守りつつ各企業ごとに設定する。社員の働く環境を守るためのものであり、会社としてのトラブルを防ぐための決まりごと。
10人以上を雇用する会社では、就業規則の作成と届出が必須らしい。
「もし自分が会社の代表だったら、もっとマイルドな就業規則にするのにな〜」なんて妄想したことがある。
給与も労働時間も働き方も、ぜんぶ自分の都合にあわせて決められたらいいのに!
だってどんなにがんばって転職活動をしても、理想100%の労働条件には出会えなかった。いつも少しだけ、なにかを諦める。
人には人の、キャパシティ
そもそも、人には人のキャパシティがある。
1ヶ月に必要な給与額は、住む場所や家族構成によってまったく違う。エネルギッシュな人と体力のない人を比べたら、1日の中で元気に活動できる時間だって一緒なわけがない。
わたしはまさに「体力のない人」だった。1日の労働は8時間でいっぱいいっぱい。なのにも関わらず、転職先ではエネルギッシュな人が集まる部署にうっかりと入れられてしまった。
毎日0時近くまで働いて、土日にも出社した。あわない仕事に、少し見栄をはって挑戦した。「今は成長する時期じゃ!」なんて、むりやり自分を鼓舞して働き続けた。
そしたらたった半年で、メンタルも身体もやられて働けなくなったのである。本当にあっというまのできごとだった。
自分のキャパシティを超えながら働き続けるのって、最初はだましだましでいけるけど、長く続けるのはムリなんだよね。
絶対にガタがくるし、働けなくなったメンタルと身体を立て直すほうが圧倒的に大変だし時間がかかった。
就業規則内のルールで働いたにも関わらず、わたしの労働環境は崩壊したわけで。なにが就業規則だ。自分のキャパシティに合わせたルールでないと、ぜんぜん意味がない。
健康に、末永く、ワガママに働くには?
その後、わたしは働くことができなくなり会社をやめることになる。アラサー独身のひとりぐらし。税金も家賃も、あたりまえの顔をして毎月やってくる。いつまでも無職でいるわけにはいかない。
でも、転職活動をする気力もわかなかった。だって慎重に決めた転職先だったのに、全然うまくいかなかったから。
健康に、末永く、ワガママに働くことはできないだろうか。
これを叶えるために必要なことは、大きく分けて2つある。
「自分のキャパシティを超えないこと」と「自分の最低ラインを超すこと」だ。
自分のキャパシティを超えないこと
健康に、かつ継続的に働くための上限を決める。毎日・毎週くり返すことができるのか、が基準になる。
【例】
労働時間
労働日数
業務量
責任
コミュニケーション量
苦手なことの割合
新たに挑戦することの割合
自分の最低ラインを超すこと
生活を守る、かつモチベーションを維持するための決めごと。最初のラインは最低限にしておいて、成長にあわせて上げたり広げたりするのが理想的。
【例】
所得(月◯万円以上)
休暇(週◯日以上、長期休暇)
仕事内容への興味
得意を活かせるか
まさに就業規則の項目が多いよね。もしくは求人の業務内容にあたること。
これらのほとんどは先に決まっていて、そもそもあきらめるか、自分が合わせにいくしかなかった。
結果、転職を重ねても働き続けられなかったわけで、同じことをくり返しても意味がない。
なので順番を変えて、自分の「キャパシティ」を理解して、「最低ライン」も先に決めてしまおう。そこに後から仕事をあてはめていくことにした。
これを可能にしたのが「複業」だった。わたしは複業に人生を救われたひとりである。
いつかわたしみたいに、突然会社員を脱落するかもしれない。もしくはすでに限界を迎えているかもしれない。そんなあなたに向けて書いています。ひとつの選択肢として読んでほしい!
健康に、末永く、ワガママに働くために。就業規則を自分で決めて、複業で生きのびた記録です。
オリジナルの就業規則をつくってみた
社会復帰に向けて、当時のわたしが実際に決めたオリジナルの就業規則がこちら。
一番最初につくった就業規則はこんな感じ。ワガママだよね・・・!
でも、自分にとっての優先事項とか、仕事と生活の理想バランスとか、改めて知るいい機会になった。
例えばわたしの場合「身体や趣味にあわせて時間をコントロールすること」の優先度が高い。
朝は起きれないし、定期的もしくは緊急的な休暇が取れることは大事。でもそのぶん、夜遅くまで働くことにはムリがないし、世間一般の連休にぶっ通しで働くことにも抵抗がない。
だから結果的に、全体の労働日数が少なくなったわけではないんだよね。でも自分にあわせて決めたスケジュールだから、ストレスがないってだけ。
「欲望てんこ盛りの就業規則じゃ、夢物語で終わっちゃうかも」と思ったんだけど、妥協できるポイントも見つかることで、現実的な調整もできるようになる。
それに後からいくらでも改定できるので、まずは素直に自由につくってみることがなにより大事!せっかくだから、ワクワクする項目も入れるのがおすすめ。
就業規則にそって、仕事をあてはめていく
オリジナルの就業規則をもとに、仕事を探していくことにした。規則違反になるので、内容にそわない仕事は最初から選ばない!と強い意志をもつ。
せっかく理解した自分のキャパシティや最低ラインを、「まあこれくらいなら・・・」とつい広げそうになっちゃうんだけど。
同じことのくり返しになったら意味ないので、最初は規則に従順に。
わたしの場合「リモートワーク」かつ「作業をひとりで完結できるものであること」「数字ではなく文章を扱うものであること」がルール。
この要素にあてはまる仕事を探して、片っ端から応募したり、始めてみたりした。これが「複業」という働き方との出会い。
実際に今も続けている仕事がこちら。
Webライティング
ブログ
オンライン事務(書類作成、お客様対応)
SNS運用代行
文章を書いてなにかをつくったり、文章でコミュニケーションをとったり。パソコンだけでできて、作業自体はひとりで進められるものだけ。
あえて仕事をひとつに絞らず、複数の仕事を同時進行で。すべてを本業として考え、時間を配分して取り組む。これが「複業」の考え方。
ひとつの仕事がうまくいかなかった時、他の仕事で収入をカバーできる。
単純にできることが増えるし、新しい仕事に挑戦し続けられる。
小さくはじめて、少しずつ大きくしていけばリスクも少ないよね。「同時進行ってしんどくない?」って言われることもあるけど、仕事ごとに2〜3時間ずつで区切ると、飽きずに集中できるのも複業のよさだなあと実感してる。
正直、仕事に関しては実際に働きはじめてみないとわからないことのほうが多い。どれくらいの時間がかかるのか、稼働時間に対してどれくらいの収入が見込めるのか、想像していた内容とズレはないか、とか。
ひとつに絞ってしまうと、合わなかったときにまたゼロからはじめることになる。だから同時進行で少しずつはじめて、後で業務量を調整していく感じ。
就業規則の改定
はじめた仕事が軌道にのってきたら、足りないものや修正したいことを考える。
わたしの場合、最初はフルリモートワークが必須だったんだけど・・・毎日パソコンに向かっていたら、目には悪いしずっとデスクワークなので、運動不足で身体がなまってしまって。
なので3ヶ月後くらいに、就業規則を一部改定した。
文章を扱う仕事は基本パソコンを使うことになってしまうので、「数字ではなく文章を扱うものであること」を削除。
その後、近所で週二日のアルバイトをはじめることに。業務内容は、ひとりで黙々と作業をする系。いまのところ、いい運動になるし、生活リズムも整うのでいい感じだ。
働きはじめると環境が変わるので、定期的に就業規則をみなおして更新していくべし。
就業規則は、自分でつくったらいい
就業規則にあてはまるなら、業務委託だろうがアルバイトだろうが、形態はなんでもいい。もしすべてを満たしてしまう正社員の求人があるなら、転職だって選択肢になる。
大事なのは、就業規則にそって仕事を選ぶということ。
「複業」なら、リスク少なくはじめられて可能性も広げやすいということ。
一時期は無職になったわたしだけど、最近は「働くのが楽しい」と思える瞬間が確実にあるし、生活を守りながら暮らしを維持することができている。
最初に就業規則をつくったこと、複業という働き方を選んだこと、この2つに人生を救われた。就業規則の改定を重ねながら、これからも仕事と生活のベストバランスを追求し続けていきたい。
いつか誰かの選択肢のひとつとして、役に立ったら嬉しいな。そのときはぜひ、ワガママで自分勝手で最高にハッピーな、オリジナルの就業規則を教えてほしいです。
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