マガジンのカバー画像

市内RPG

62
福井丘県子郡市。市役所発の魔王討伐に、高校生勇者がゆるーーく挑む。不定期連載中。
運営しているクリエイター

#RPG

市内RPG 58 ライバル再び

ぼくら、レベル16の、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。子郡市役所で勇者登録をして、魔王討伐のために、子郡市内をうろうろしている。 今日は、「シックスバリュ」でお買い物だ。 装備を買い終えたところで、声をかけられたのだ。 「装備ばっかり立派でも、魔王にゃ勝てないぜ。」 振り向くと、4人組が立っていた。 背の高い馬場、カリアゲ女子のルミ、日焼け坊主の井上、太っちょメガネのライト。 コイツらも勇者一行なのだ。 「あら、あんたたち、まだ勇者やってたの?」 ル

市内RPG ④魔王討伐説明会

「主な説明は私、尾林がいたします。企画の目的、活動、評価と報酬の順に説明します」尾林さんは話し始めた。 「まず、この企画の目的は、魔王を倒すことです。魔王は世界の破滅を目論んでいます。邪悪な魔物を従えて虎視眈々と世界を狙っているのです。しかも、魔王はどこにいるかわからない。丁寧な探索が必要です。魔王を見つけ、そして、魔王を倒すことがこの企画の目的なのです。」尾林さんは少し興奮気味に言った。 「次に、活動を説明します。先ほど述べた探索と戦闘と報告の3つがあります。探索は、魔

市内RPG ⑨スライム

戦士のヤスはバトルステッキを装備している。 魔法使いのヒラはアツッの魔法を身に付けている。 勇者のぼくはヒノキボー。勇者のはずなのに。何か頼りない。まあ、とりあえず、ケータイに登録して装備した。 ヤスが言った。 「装備したら、戦いたくなるな」 「スライムくらいなら、勝てるかも」 ヒラもやる気だ。 子郡駅前噴水広場にそいつはいた。 小犬くらいの大きさで、水色の半透明のボディは形を変えながら動いていた。目や口は見当たらない。ただ半透明のボディの奥に核と呼ばれるソフトボー

市内RPG 27ライバル

ぼくら、レベル9.戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの武ん防具コーナーで、装備を充実させた。 さて、魔王の情報を教えてくれる市役所環境推進課のカゲを見つけないと。 たぶん、ピンクが目印のはずなんだが、、、。 「女の勘よ。TATUYAなんかどう?」 僧侶のカナが言うので、TATUYAという書店に行ってみた。 人はまばらで、いつも通りの感じがする。 怪しい人はどうやらいなさそうだ。 「はずれだな、カナ。スポーツPODEはどう

市内RPG 28キンタッケーチキンのカゲ

ぼくら、レベル9の戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターで魔王の情報をもつ、子郡市役所環境推進課探索係のカゲを探している。 「なかなか見つからないね」魔法使いヒラが言った。 「どこかにヒントはあるはずなんだが」戦士ヤスも言った。 「早く見つけないと、あいつらに先を越されちゃうわ」僧侶カナも言った。 あいつらというのは、ぼくたちと同じ勇者登録をした同級生4人組、ライト、井上、馬場、ルミのことだ。 さっき、ラクーラクーザの前で、お互

市内RPG 29野良勇者

ぼくら、レベル9.勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターのキンタッケーチキンで、カゲから情報を得た。 『段ボール回収箱段ジョンに魔王』 ハンバーガーの包装紙にメッセージ。 ハンバーガーを急いで食べて、出口Dに進む。 「ここから出ると、段ボール回収箱が近いわ」 僧侶のカナが言った。 段ボール回収箱はすぐに見つかった。 「どこに、段ジョンがあるんだ?」 戦士ヤスが言った。 段ボール回収箱は、入り切れないほどの段ボールが積まれていた

市内RPG 31 宝箱は拾えるか

ぼくら、レベル10。戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの段ボール回収箱段ジョンを探索している。 まさか、エオンの真下に段ジョンがあるなんて。 ぼくらは、4mほどの幅の通路を進んでいる。足元と頭上には、オレンジの小さなライトが灯されている。この灯りのおかげて、10m先くらいはぼんやりと見える。 真っ直ぐに進むと、十字路に出た。段ジョン特有の迷路だ。 「どっちに進む?」戦士ヤスが左右の通路を見た。 「ケータイ出して」僧侶カナがぼ

市内RPG 32 段ジョンB2のドラゴン

ぼくら、レベル10.勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 子郡市のエオンショッピングセンターの段ボール回収箱から地下段ジョンに潜り込んで、探索している。 地下2階に続く階段を降りると、少しだけ温度も下がったようだ。 「地下2階か。まものも強くなるかな」 戦士ヤスが言った。 「レベル10になったから、ぼくは火と水、雷の強化呪文と全体呪文は覚えたよ」 魔法使いヒラは少し自慢げに言った。 「MPは大事にしないと、ポーションでしか回復できないわよ」 僧侶カナがたし

市内RPG 33 段ジョンB3の祭壇

ぼくら、レベル10。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの段ボール回収箱から続く地下段ジョンを探索している。 地下2階のドラゴンから逃げてきたところだ。 そして、段ジョンの地下3階に続く階段を下りてきた。 地下2階よりも通路が広く、明るい。地下2階は、オレンジのライトが点々と灯っていたが、3階は、松明が通路に置かれていて、赤々と燃えていた。 おかげで、奥までよく見通せるようになった。 ケータイを見ながら、先に進む。ドラゴンには

市内RPG 34 トーテムポール提灯

ぼくら、レベル10。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの段ボール回収箱から続く段ジョンの地下3階を探索中。 日本式の祭壇で、お化け提灯4つが合体したトーテムポール提灯と戦っている。重なった8つの青い目がにらんでいる。 そして、4つの口から吐き出される無数の火の球に苦戦中。 魔法使いヒラの水の全体呪文「ミナツメタ」で、火の球を打ち消したり、僧侶カナの回復呪文「ナムー」で、火傷を治したりしているが、吐き出されるたびに、火の球が増える

市内RPG 36魔法使いの将棋

ぼくら、レベル10。戦士、勇者、魔法使い、僧侶の高校生パーティーは魔王を求めて、子郡市のエオンショッピングセンターの段ジョン4階を探索している。 薄暗いオレンジのライトに照らされる仲、巨大将棋盤の上で「魔法使いの将棋」の対局が続いている。 采配しているのは、魔法使いヒラだ。最近、じいちゃんに勝ったと自信ありげだったが、最初に歩兵のぼくを敵方に取られてしまった。勇者の駒が1番最初に取られるだなんて、これはだめなんじゃないか。 しかし、その後は、なかなか善戦しているようだ。

市内RPG 35 非情口から将棋盤

ぼくら、レベル10。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの段ボール回収箱から続く段ジョンの地下4階に足を踏み入れたところだ。祭壇の奥に光る「非情口」の扉をくぐってきた。 地下4階は、体育館のようにただ広いだけの空間だった。高い天井には、オレンジのライトが灯っていて、そのおかげで何とか周りの様子がわかる。 「何だ、ここは?」剣道部で戦士ヤスがつぶやいた。 足下を見ると、石床には、まっすぐに引かれた溝が縦横に伸びている。 「、、、将

市内RPG❎「ひとわけいぶき」さん

いやーー第2弾なんて、うれしいですねーーー。 わたし、絵が描けないので。 ドクターX風に言ってみましたが、、、。 わたしの物語がイラストになるなんて。 そして、イメージ通り。さすが「ひとわけいぶき」さん!!! 高校生のぼくが、魔王をやっつけるために、市内をうろうろするRPG。 「市内RPG」のキャラクターである、僧侶カナを描いていただきました。 ふんわり優しそうです。 カナは、僧侶です。武器は、実家のお寺から持ちだした木魚です。 ピアノと少林寺拳法を習っています

市内RPG 37 地下5階のゴーレム

ぼくら、レベル11。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。 エオンショッピングセンターの段ボール回収箱から続く段ジョンを探索している。 地下4階で、『魔法使いの将棋』を制したぼくたちは、また階段を降りた。 地下5階、真っ直ぐの廊下が続いている。 オレンジ色のライトを頼りに、奥に進むと、大きな石像が現れた。レンガでできた石像、ゴーレムだ。四角く積まれていて、人の形をしている。腕が長く、両足とともに身体を支えている。丁度ゴリラが手を地面に着いているような格好だ。