市内RPG 37 地下5階のゴーレム
ぼくら、レベル11。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の高校生パーティー。
エオンショッピングセンターの段ボール回収箱から続く段ジョンを探索している。
地下4階で、『魔法使いの将棋』を制したぼくたちは、また階段を降りた。
地下5階、真っ直ぐの廊下が続いている。
オレンジ色のライトを頼りに、奥に進むと、大きな石像が現れた。レンガでできた石像、ゴーレムだ。四角く積まれていて、人の形をしている。腕が長く、両足とともに身体を支えている。丁度ゴリラが手を地面に着いているような格好だ。
「不気味ね」僧侶のカナがぼくの後ろに隠れて言った。
「これは、こいつが動き出して、おそってくるパターンだな」戦士ヤスも、ゴーレムに用心深く近づきながら言った。
「あれ、見て」魔法使いヒラが、ゴーレムの後ろにある扉に気付いた。
ゴーレムの後ろには、鉄の扉があった。ここまで、まっすぐの道しかなかったから、先に進むには、ゴーレムをよけて、扉を開けるしかない。
「どうする?、勇者様」ヤスがぼくに尋ねた。都合が悪くなると、すぐに勇者様をあてにする。どうするも何も、横をすり抜けて、扉を開けて進むしかない。
ゴーレムが動きませんように、、、。ゴーレムが動きませんように、、、。祈りながら進む。勇者、戦士、魔法使い、僧侶の順番で、おそるおそる近づく。
ゴーレムは高さ3mほどもあり、頭は天井に届きそうだ。レンガは少し苔むしている。近づくと、顔に目らしきものも確認できた。とても硬そうだ。とても重そうだ。
「汝らー許さぬぞーーー」
!!!!??? ぼくは思わず2,3歩後ろに飛び下がった。その拍子に、後ろの3人も尻餅をついて倒れ込んだ。
「やめろよ、ヤスーーー」ヒラが言った。
「あはははははーーー」ヤスの笑い声が響く。
ぼくの心臓は破裂しそうだった。こんなときに冗談はやめてくれー。
後ろを振り向いて、ヤスをにらんだ。
すると、ヤスの目がスローモーションのようにいっぱいに開いていくのが、見えた。
「あぶない、避けて!」カナが叫んだ。
思わずしゃがみ込んだ。とたん、頭の上に風を感じた。
「汝らーー許さぬぞーーー」ヤスの声ではない。
そこには、目を青く光らせたゴーレムが長くて太い腕を振り上げて立っていた。
前回まではこちら。
おひまならこちらもどうぞ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?