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同じポリアモリーでもこれだけ違う。

ポリアモリーについて話し合うポリーラウンジに参加してきた。ずっと興味はあったものの、正直「秘密結社みたいで、なんか怖い」と思っていたこのイベント。
今日はそんなポリーラウンジの概要と、そこで得た新たな発見についての第一弾。

ポリアモリーとは、お互い合意の上で複数の人と同時に恋人的な関係を築く恋愛スタイル。対義語はモノアモリー(恋人は一人という価値観)。
過去のシリーズはこちら

■わからなくなったのは、理解が深まった証拠

まず概要だが、ポリーラウンジとは有志で集まった「ポリーラウンジ運営メンバー」が幹事を務めるイベントだ。開催日ごとに幹事が異なり、僕が参加したのはよくメディアに登場しているきのコさんが幹事の会。
参加者の数もその日の定員によって異なり、この日は10名ほど。ポリーラウンジの中でも比較的小規模の会らしい。

ちなみに開催日が決まるとツイッターなどで告知されるのだが、最近は告知後すぐに定員に達してしまうこともあるので注意

会場は都内の貸切スペース。昼間の時間帯で2〜3時間程度。参加費2,000円を事前に払って、それぞれお菓子や飲み物、差し入れなどを持参して参加する。(いたって健全)
簡単な自己紹介をしたら自由に会話がはじまるのだが、ポリーラウンジは7つのルールを掲げている。

1.何をいってもいい(空気を読んでいわないという気遣いは不要)
2.人を否定したり茶化したりしない(発言が恥ずかしくなったり、わざと注目を浴びるために発言することを防ぐ)
3.発言せず、ただ聞いているだけでもいい(話さない自由があってはじめて、何でも話す自由がある)
4.お互いに問いかけることが大切(積極的に質問する場であることを確認し、お互い安心して問いかけられるように)
5.知識ではなく、自分の経験に即して話す(経験に優劣なし。だれでも対等に話ができる)
6.話がまとまらなくても、意見が変わってもいい(何かを決める場ではないので、問題なし)
7.わからなくなってもいい(わからなくなったのは、理解が深まった証拠)

一見、ビジネスの世界で流行り言葉になっている「心理的安全性(いわゆる発言のしやすさ)」を目的としたルールにも見えるが、特徴的な点もいくつかある。

中でも僕が気に入ったのは7つ目「わからなくなったのは、理解が深まった証拠」という一節だ。結論を出さなければいけないビジネスの世界ではなかなかない。
調べてみると、このルール全体は日本の哲学者である梶谷真司さんによるものの引用らしい。改めてポリアモリーをはじめとするこの類の問いには、哲学的な側面があると感じた。

■ポリアモリーだって、みんな同じじゃない。

さて、そんなルールに甘んじて、ポリーラウンジでは色んなことがわからなくなった。例えば同じポリアモリーでも恋人との関係は人それぞれ。恋人同士でスケジュールを全部共有しているポリアモリーもいれば、まったく恋人の私生活には興味を持たないポリアモリーもいる。「そもそもポリアモリーってなんでしたっけ」となるほど混乱した。

でもそれは理解が深まった証拠。その過程を言葉や構造で理解し直すためにやっているのが僕のnoteなので、参加メンバーにも紹介してみた。すると参加者の1人がこんな図の存在を教えてくれた。

これはノンモノガミー(一夫一婦制を取らない人)をさらに細分化した図でフランスでポリアモリーなどの普及活動などをしているFranklin Veauxが書いたものだ。

この存在を教えてくれたのもまたフランスからの参加者、ローランだった。
そんな彼が「これの日本語バージョンつくろう」とツイッターで言っていたので早速パワポでつくってみた。※ちなみにローランがこのnoteに登場することは許諾済み。

ちなみに僕はパワポは得意だけど、英語は苦手だ。なので、英語が得意なポリアモリーの仲間にも見てもらいながらようやく完成。

するとポリーラウンジでの議論も少し整理できた気がする。
例えば、この図には Don't Ask Don't Tell と呼ばれるパートがある。元は米軍に入隊する際、ゲイであることを隠せば入隊できる(ゲイであることは隠すことが半ば強制されていた)という昔の制度からくる言葉のようだ。

ただこの図で米軍はあまり関係ないので、一旦そのまま「言わないし、聞かない」と訳して考えてみる。するとこれが 浮気 のそばにあることから、同じポリアモリーでも相手以外との関係を「言う派」or「言わない派」に分かれることを示していることがわかる。

図に番号を加えて考えるとこうなる。

まずポリアモリーの中でも他の概念との重なりで7つのタイプにわけ、
その中でも

複数との関係をパートナーに共有する→①、②、③、⑦
複数との関係をパートナーに共有しない(黙認する)→④、⑤、⑥

と捉えることができる。

このように、同じポリアモリーでもみんな同じではない。「あいつは本当のポリアモリーじゃない」なんて言う人もいるが、そもそもポリアモリー自体を一色単に語ることが難しいのだ。

ちなみに、ポリアモリーを説明すると「えっ!いろんな人と性的な関係を持つってことは乱交!?」という誤解も多い。それ故にポリアモリーが集まるポリーラウンジを乱交パーティーと勘違いしている人もいる。
(ぜんぜん違います。たまに誤解した人が混ざるようなので注意。)

もちろん、ポリアモリーの中に乱交などのプレイが好きな人もいるだろうが、それは(この図で言う)7タイプの1つに過ぎないし、そもそも性的嗜好の話と、人との関係性の話はベクトルが異なる話だ。
そういった意味で、この図は上部に行くほど関係性の話で、下部に行くほど性的嗜好の話、左右は閉鎖的と開放的という軸を持っているように見える。

ポリーラウンジに参加したことによる大きな収穫の1つは確実にこの図と出会えたことだ。

ただ、この図もまだ完成形ではないようで、昨年新しいバージョンがアップデートされた。そこに登場するいくつかのキーワードも興味深かったので、それはまた次回書いてみようと思う。ではまた。

感想、誤植などあればお気軽にコメントください。

図を知るきっかけになったSari Cooperさんの運営サイトはこちら
※ちなみにポリーラウンジはポリアモリーじゃなくても参加できます。

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