いま読むとジワる『こども六法』
またもや子供部屋から拝借した本からの、読者ノートです。前回借りた本はこちら(『13歳のハローワーク』)。
『こども六法』との出会い
記録によると『こども六法』を購入したのは2019年9月のことでした。
著者の山崎聡一郎さんによる、子ども向けのオンライン授業だったと思います。コロナ以前からオンライン授業ってところが、すでにアプローチが画期的な感じがします。
子ども向けと言いながら、親も一緒に受講できるので、当時も自分の興味関心で、話を聞いてみたのでしょう。
著者の山崎さんが大学を出たばかりの青年だったこと、こういうアプローチからいじめ問題、社会や他人との関係性を子どもに教えられるのだと、感心したのを覚えています。たしかに、学校では教えられそうもない切り口でした。
『六法』ってなんだ?
当時のわたしも知らなかった、そもそも『六法』ってなんのこと? という疑問は冒頭で解決します。
この本では、日本国憲法・刑法・民法・刑事訴訟法・民事訴訟法・少年法・いじめ防止対策推進法の7つの法律から、子どもにも関係する大事な条文を抜粋して、子どもにも分かる言葉で書き直してあります。
第7章『いじめ防止対策推進法』と『いじめで悩んでいるきみに』は、全文公開されています。
「大人にはいじめから子どもを救い、いじめをなくす義務がある!」
その通り。この本が訴えたいメッセージが集約されているように思います。子どもがこの本に出会えるのは、法律が守ってくれると知れるようにするのは、大人の役割なのです。
法改正にも対応
当初は2020年4月からの法改正に基づいて書かれていました。
その後子どもに関する大きな法改正がありました。昨年2022年4月からの成人年齢引き下げ(20歳→18歳)ですね。
そうした法改正(2022年4月の民法改正、改正少年法施行)には、弘文堂のサイト上で訂正版を配布したり、増刷時に改訂しているようなので、チェックすれば安心です。
驚いたのは、初版29刷となっていることです。ロングセラーの域ですね。
いま読むとジワる
法律の勉強をしているときは、この本の存在がすっかり抜けていました。小難しい条文とにらめっこする日々だったのですが、いまこの本を読むと、発見ばかりで驚きました。
第1章「刑法」第2章「刑事訴訟法」第3章「少年法」第5章「民事訴訟法」は、試験科目でこそありませんが、「基礎法学」として常識にしておきたい基本条文、法律用語などの解説が分かりやすい!
第4章「民法」はそのまま、総則、物権、債権の頻出論点の条文がずらりと並びます。難しい方をがっつり学んじゃって比較対象があったから、いかに優しくまとめられているかが理解できました。感動。
優しいからといっても条文は条文なので、試験対策としても役立ちそう。
例えば、令和4年度行政書士試験-問34は、この本でピックアップされていた民法720条の知識でいけた問題です。
試験中「野生の熊」や「路上でナイフを持った暴漢」に襲われ、動揺を誘った問題でしたが、条文とそれが意味する用語(緊急避難、正当防衛)をしっかり理解しておけば、落ち着いて解けるわけです。
難しい条文や判例を読み解くのに疲れたら、「こども六法」に立ち返ってみると、案外「そういうことか」と理解が深まるかもしれません。誰に向けて書かれたかによって、視点を変えられることで、多面的に捉えられるのですね。
子ども向けコンセプト本
そんな意図があったのかなかったのか、気がつけば子ども向けの法律関係の本が増えていました。
子どもが法律に興味がある……なのではなくて、完全にわたしの選書。
自分が学びたいのと一石二鳥にしちゃって、結局子どもは読まないっていうパターンですね。
でも、いつか気になった時に読んでくれればいいな、と思います。子ども向けコンセプトって、結局のところ、大人が先に読んでおくべき中身ってことなのです。
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