長期入院してしまったフリーランス |#5 緊急SOS!心臓の血ぜんぶ抜く大作戦
ついに明日が手術となりました。"感染性心内膜炎"が発覚してから2週間、長かったようであっという間でした。とにもかくにも何事もなく手術まで辿り着けそうで良かったです。
今日は説明を受けた手術の流れを記そうと思います。
これはなかなかない経験の記録として、あとは流石に手術前日で落ち着かないので気持ちを整理するためにもこの文章を書いています。
前日夜
夜9時から食事制限がかかります。ので、夜ごはんは普通に食べれました。食後は下剤を飲みます。朝ごろ効いてくるようです。血圧も少し上がっていたので降圧剤も服用しました。
なかなか寝れません。
当日朝
朝6時から飲水制限がかかります。朝ごはんも抜きます。月曜日なので週刊少年ジャンプを読みます。電子版は便利ですね。
手術着に着替え、9時前に看護師さんと共に手術室に向かいます。
この時点で一旦一般病棟の病室は引き払う必要があるので、私物をまとめて病院のコインロッカーに預けます。また、手術後は数日間ICUに入りますが、決まったものしか持ち込めないので1つにまとめて看護師さんにあずけておきます。
厳重に本人確認を済ませたのち、手術室に入り手術台に横たわります。
手術
酸素マスクをつけ、麻酔の点滴を受けるとすぐに意識を失ってしまうようです。僕の意識はここで途絶え、次に目覚めるともう全て終わっているハズです。
その後、各種モニターや点滴を繋ぎます。人工呼吸器も喉から挿入します。ケーブルまみれになるようです。
今回の手術では、心臓の大動脈弁を人工弁に置換する手術を行います。
人工弁には生体弁と機械弁の2種類あります。
生体弁:豚や牛の組織から作ったもの。血栓のできる心配もなく術後薬の服用は要りませんが、術後15年前後で劣化してしまうので改めて置換手術が必要になります。
機械弁:耐久性が凄まじく、基本的には半永久的に機能します。血栓ができやすいため、術後はワーファリンという血液をサラサラにする薬を生涯飲み続ける必要があります。
今回の手術では機械弁を入れることになりました。実物も見せてもらいましたが、直径3cmくらいのおもちゃのような…ぱっと見は簡単に壊れてしまいそうです。ちなみに1個作るのに100万かかるそう。カーボン製なので実質体にダイアモンドが埋め込まれると思っていいよと言われました。やったぜ。
この機械弁を大動脈弁と置換するためには
①胸を開く
②人工心肺に繋ぐ
③心臓の血を抜いて空っぽにする
④心臓を止める
⑤弁を置換する
⑥切って開いたものを全部くっつける
という道筋を辿ります。
生きながらにして心臓を止めて空っぽにしちゃうそうで、医療ってすごい。
①胸を開く
胸骨正中切開といって、胸の中央を縦に20cmほど切り開きます。胸骨も縦にノコギリで(!?)二分し、心臓を覆う膜を切り開き、心臓に到達します。
②人工心肺に繋ぐ
心臓の静脈と動脈を身体の外の人工心肺に繋ぎます。人工心肺で心臓と肺の代わりの役割を果たし血液を循環させることで、心臓を停止させても3時間近くは生きることができるそうです。
この置換手術にかかる時間はおよそ1.5時間なので、時間には余裕があります。
③心臓の血を抜いて空っぽにする
心臓の血ぜんぶ抜く大作戦です。
身体からは1.5L、全体のおよそ1/4の血が抜けてしまいます。ここで血が足りない事態になれば輸血も行われる可能性もあります。
④心臓を止める
空っぽになった心臓はそれでも健気に役目を果たさんと動き続けるので、止めます。
⑤弁を置換する
大動脈弁を切り取って機械弁を縫い付けます。機械弁の外周にはポリエステル製のカフがあるので、それと動脈を20針ほどで縫い合わせます。
⑥切って開いたものを全部くっつける
元通りにしていきます。胸骨はワイヤーで固定するみたいです。
全部元通りにして、再び心臓が動き始めます。生き返った…。
もちろん心臓を扱う手術ですので、色々とリスクの説明も受けました。
3%の確率でなんらかのトラブルが起きる可能性があるそうです。
しかしまだ20代で体力もあり、これまで喫煙歴が無いというのも重要で、まず間違いなく上手くいくとのこと。大丈夫大丈夫。
手術後はICUに運ばれ、目覚めるのは次の日の朝だということです。一般病棟に戻れるのはそれからさらに数日後のようです。
続きます。きっと。
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