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ユーラシア大陸横断⑧ 【イルクーツク1日目 バイカル湖編】

日本を出国して、7日目。1月12日の朝4時ごろ、僕はイルクーツク駅に到着した。約3日間の列車旅を経て、僕はシャワーという快感に飢えていた。駅構内に有料のシャワールームがある事は、事前にネットで知っていた。

外は冷凍庫のようだった。電光掲示板は25度を示していた。マイナスが当たり前のイルクーツクでは、冬季は−(マイナス)を温度の前に付けないらしい。小さなカルチャーショック。

シャワールームに直行した。だが、シャワールームを予約する段階で問題が発生。駅員は英語が話せない。"Shower"が通じない。僕の発音の問題かと思って、"Hot Water"と言ってみても通じない。Google翻訳で、日本語⇆ロシア語変換して、何とか解決した。駅員は、厄介な外国人だと思っていたのだろう。かなり顔をしかめていたが、伝わった後は和かだった。

3日ぶりのシャワーは、人生で一番気持ちよかった。シャワールームの利用料は200ルーブル。日本円で、たった600円!600円こんな快感が味わえるとは!!今でも記憶が蘇ってくる。本当に最高だった。

1時間ほどシャワーを浴びていたら、先ほどの駅員にロシア語で怒鳴られた。「早く上がってこい」と言っているように聞こえた。欧米人はシャワーが早い。彼女にとって、1時間もシャワーを使うなんて思ってもみなかっただろう。

シャワーから上がっても、時計を見ると午前6時過ぎだった。駅で日記を書いて時間を潰すことにした。7時まで駅の構内で、ロシア人を待つことになっている。大事な事を言い忘れていたが、僕はこの旅で、カウチサーフィンを使った。僕が待っていたロシア人も、そのカウチサーフィンというサイトを通して、知り合った人だ。

カウチサーフィン (The CouchSurfing Project) は、インターネット上の無料国際ホスピタリティー・コミュニティーであり、現在世界で最も大きなホスピタリティー・エクスチェンジ・ネットワークである。英語の「カウチ」(couch, 日本語で言うソファー)とサーフィンを併せた名称である。CSともいう。海外旅行などをする人が、他人の家に宿泊させてもらう(カウチをサーフさせてもらう)という形式の相互的な思いやりや信頼による制度である。コミュニティーの軸にしたウエブサイトにて、プロフィール、身分確認制度、メンバー同士の評価等により、世界各地のメンバー間で連絡を取り相談の上で宿泊が決まる。 -Wikipediaより

このサイトの掲示板に旅行する日程を書き込んで、ホストを募った。幸い、ロシアでは、数件のオファーをもらい。イルクーツクでは、3泊4日したが全てロシア人に泊めてもらった。横断記では、旅で出会った素敵なホストについても紹介したい。

さて、シャワーを浴び終えて、駅の構内で待つこと1時間、ロシア人の大学生ニキタ(仮名)と合流した。

彼はイルクーツク市内の大学生で、カウチサーフィンを通じで、真っ先にメッセージを送ってくれたロシア人だった。家に泊めることは出来ないが、イルクーツク市内を案内してくれるという。もちろん英語も堪能だ。

朝5時に家を出て、見知らぬ外国人のために道案内してくれる親切さに感動した。

僕たちは、まずバイカル湖に向かった。バイカル湖はイルクーツクに来た一番の目的だ。イルクーツク市内からバスに揺られて1時間半ほど、郊外のリストビヤンカという小さな湖岸の村に向かった。

その道中でも、バスの運転にカルチャーショックを受けた。完全に凍結したアスファルトの上を、時速120キロで走るのだ。ちょっとハンドルを切れば、間違いなくスリップして、道路に沿うように生える木に激突するだろう。対向車とすれ違う時もスピードを落とす気配がない。何度もヒヤヒヤする。

1時間半の危険なドライブが終わり、リストビヤンカに着いた。目の前には、アジア最大の湖、バイカル湖が広がる。幼稚園の時、琵琶湖を海だと思っていた僕は、ここに来て同じようにバイカル湖が海だと思った。琵琶湖の約46倍、スケールが違う。世界の淡水の2割がこの湖にあるという。

湖面は、ほぼ凍っていた。湖面を歩こうとしたら、ニキタに怒られる。今は危ないから湖面を歩かない方がいいと言われた。2月には、完全に凍結するらしい。あと少し、遅ければ見れたのに…少し悔しい。

バイカル湖は、水の純度の高さでも世界一らしい。たしかに、薄い氷を通して、数メートル先の湖底が見える。

写真を撮りたかったけど、手を出すと痛いのでカメラを握りたくない。結果、バイカル湖の写真は、1枚だけになった笑

リストビヤンカの湖岸で、オームリの燻製が売っていた。オームリは鮭の一種で、バイカル湖の固有種らしい。日本で淡水の魚というとちょっと生臭くて苦手だが、オームリはクセがなくて、とても美味しかった。日本に帰った今でも、その味が思い出せるし、食べたくなる。

僕たちは、その後、近くのレストランで昼食をとった。そこで彼から、イルクーツクや、ロシアについて教えてもらった。彼が副業で地元紙のカメラマンをしている事や、英語をどこで勉強したかなど。

中でも面白かったのは、ロシアのギャングについて。ロシアの街には、ギャングがいて、外見で分かるらしい。ロシア帽(耳当ての付いたモフモフの帽子) に、ロシア軍のエンブレムを付けた若者らしい。日本でいう右翼系のヤクザみたいな感じ。いちゃもんを付けて、襲ってくるらしい。普通に怖い。笑

ニキタのいう通り、街を歩くとそれ風の若者がチラホラいた。道端で怒鳴っている輩もいた。おそロシア。

【ロシア人とマンションに不法侵入編】に続く…




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