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ユーラシア大陸横断④ 【一生忘れられない日出】

2018年1月7日、境港から日本を出国した僕は、韓国の東海市を目指していた。昨日は波が高く、酔い止めを飲んで寝た。昨日は、薬が効いてよく眠れたが、22時くらいに寝たので、5時ごろに目が覚めた。

波は穏やかになっていて、もう酔い止め薬は要らないようだった。海を見にデッキに上がってみた。周囲はまだ暗く、何も見えない。心地よいリズムで船が波を切る音が聞こえるだけだ。船の掲示板を見てみると、日の出の時間は、7時30分ごろらしい。船室に戻って、昨日書き損ねた日記を書く。また、うとうとしてきたので、二度寝した。

起きたら7時40分だった。慌ててデッキに駆け上がってみたら、日の出を見ようとすでに人だかりができていた。(写真はそのとき)徐々に東の空が赤くなってきた。まだ、太陽は見えない。

7時50分ごろ、太陽の端が顔を出し始めた。皆が日の出の美しさに息をのむ。10分くらいずっと太陽を見ていた。こんなに美しい日の出は見たことがなかった。言うまでもない人生で一番きれいな日の出だった。

インドのバラナシで見たような、人が混沌と生きる街で見る日の出も美しい。感慨深い想いがこみあげてくる。しかし、この日の出は言葉にならない美しさだった。海と太陽と船しかない世界から見る日の出は、自然と自分が一体になるような味わったことのない感覚だった。

しばらく日の出を見ていたら、肌寒くなってきた。境港から随分北に移動してきたみたいだ。朝日が昇りきった頃、西の海を見るとうっすらと陸地が見えてきた。韓国の東海市だ。いよいよ海外に来た感じがして、ワクワクして来た。船内にもどると韓国人が降りる準備を始めていた。

ほどなく東海市の港に着いた。入国審査もスムーズで、何も尋ねられず、ただスタンプを押すだけで入国できた。飛行機に比べて、出入国審査は緩い。船への持ち込みも規制が緩いので、ほぼなんでも持ち込めるらしい。韓国人は酒を大量に買っていた。写真は旅客ターミナル。

東海市は人口約9万人の市なので、市街地は結構発展しているらしい。しかし、港の周辺は民家が点在しているだけで発展しているようには見えない。

とりあえず市街地に行きたかったので、バックパックをどこかで預けようと思った。だが、荷物預り所なんて便利な場所は船着き場にない。船会社の案内所で交渉してみたが、やっぱり無理だという。

仕方なく港の周辺をぶらついた。初めての韓国でテンション上がるかと思いきや、日本と変わらないなぁという印象だった。言語がハングルになっただけで、韓国も日本も町並みに大きな違いはない。これといって面白いこともなく、民家をあてもなく歩いた。

コンビニでウラジオストクまでの食料を買い込んだ。大好きな辛ラーメンとそれに似たカップ麺。それにコンビニ弁当、水。それだけ買って、とぼとぼと船着き場に引き返し、ロビーで待機していた。韓国のコンビニ弁当は美味しくなかった。日本のコンビニ弁当が美味すぎるだけだろうな。それにしても、コンビニ弁当に付いていたキムチは今まで食べた中で一番美味しくなかった。

そうこうしているうちに乗船のアナウンスが流れる。次はロシアに向けて出発だ。




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