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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #29:軍師に求められる資質

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は29回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

今回から数回に渡り、キングダム内でも重要な役割を担う軍師についてまとめたいと思います。

今回のテーマは「軍師に求められる資質」についてです。

キングダムをお読みの読者なら軍師の重要性については充分お分かりかと思いますが、改めて求められる資質や、現代ビジネスへの応用についても考えていきます。

軍師とは、一言でいうと、軍の戦略を練る人達になります。現代ビジネスにおける経営戦略室や、マーケティング部などがキングダム内の軍師に近い役割になるので、ビジネスマンにとっては一番自分に置き換え、考えやすいポジションになるかもしれません。前回「#28:セグメンテーションとポジショニング」でも触れましたが、軍師は各戦地での戦いの作戦を決めるので、軍が大きくなればなるほど、軍師の責任も増します。軍師は基本的には、2パターンおり、1)その軍の大将兼軍師、2)自身はほとんど戦わずに大将(将軍やxx人将)の右腕となり戦略のみを練る軍師、になります。どちらが良い悪いはないのですが、より現場をしっている軍師の方が有利になる場合が多いです。これも、現代ビジネスと通じるところがあり、営業経験者で現場をよく知っている人が本社の経営室などに来る場合の方が、最終的に成功する可能性が高く感じます。要は机上の空論ではなく、軍師にとっても経験値と現場との関係が非常に重要だという事です。

それでは、優秀な軍師に求められる資質とはどのような物になるでしょうか、キングダム内の人物と照らし合わせてみていきましょう。

1) 俯瞰的に物事を捉えられる。
俯瞰的と言うのは、客観的もしくは鳥瞰的の事をいいます。鳥瞰的というのは字のごとく「鳥」のように視野を広くとらえる事です。つまり、軍師はその軍全体の指揮を取るので、全体像が見えなければなりません。各戦場の状況を踏まえて、指示をする必要があります。また、これは自軍のみではなく、周りの軍の状況も踏まえて客観的に戦略を練る必要があります。例えば、朱海平原の戦いの秦右軍において、飛信隊の軍師河了貂は、同じ右軍の亜光軍及び、玉鳳隊の意図をしっかりと理解した上で、自軍の戦略を練る必要があります。もちろん、それは事前のコミュニケーションも必要ですが、戦中に柔軟に見極める事も求められます。それを可能にするのが「俯瞰的」な捉え方になります。「#21:俯瞰的な捉え方」でもまとめました通り、趙軍、慶舎の副官を務めていた金毛がこの能力の持ち主でした。(金毛は軍師という肩書ではありませんが、軍を率いる軍師に近い存在だったことがわかります。)

金毛 3

2) 感情をコントロールできる。
人間は感情的になると、物事の方向性を見失いがちになります。その場で戦っている武将は、ある感情により実力以上の力を出す事は良くありますが、自身が戦わない軍師は感情的になって良い事はありません。軍師は大局で物事を捉えるので、細かい事は気にせず、自軍の死ぬ人数も考慮し、納得した上で戦略を遂行します。そこでいちいち躊躇っていては良い戦略を打ち出す事はできません。また、相手の軽い挑発や誘導などに惑わされることもいけません。冷静にすべての事象を把握し、最善の戦略を練りだす必要があります。そういった意味では、ちょっと頑固で、屁理屈を言うような性格がひねくれている優秀な軍師も少なくありません。廉頗四天王の一人であった玄峰は、結果桓騎の見事な忍び作戦に討ち取られてしまいましたが、感情をほとんど出さずに、相手軍を掌で躍らすのが得意で、大将軍廉頗の右腕として、長く大軍を率いた事も納得です。

げんぽう

3) 目的志向である。
これはどんなポジション、戦、また現代ビジネスにおいても言える事ですが、目的を見失わないという事は非常に重要になります。自軍は何の為に戦っているのか、その為に自軍(自身)に求められている事は何なのか。これを軸に戦略を組み、遂行するが重要になります。李牧なんかは、特にこの思考が強いように思えます。例えば、馬陽の戦いでは王騎を討つという目的の為に細かい戦略を積み上げます。実際王騎を討ち取れば、それ以上の事はせずに、撤退します。また、目的達成はできなかったものの、合従軍の戦いでは、最悪の場合も想定し、自身の軍及び、同じ三大天の龐煖をも準備しておりました。あの戦いの目的は函谷関を突破する事ではなく、咸陽を落とす事だったのです。そこをはき違えると大きな過ちを犯します。

李牧 4

このように、軍師は武力に頼って自分の力だけで難局を突破する事は求められず、周りの力を最大限引き出し、また、相手軍の力さえ利用してしまう小賢しさまでもが求められます。心理戦が得意で、相手を騙す、いわば、曲者の人間が多いのも事実です。また、現場の武将達との信頼関係もマストになります。ビジネスや会社でも同じ事が言えます。本社のマーケティング部や戦略室の担当者には、やはり現場の営業部との信頼関係が求められます。いくら良い戦略でも、指示だけ出すような本社の人間には現場は動いてくれません。現場の意見や時には愚痴を聞いてあげる事も求められます。

今回はビジネスマンにとっても馴染みのある軍師の資質についてまとめました。特に本社で戦略を立てる職務に就いている人は、自分はキングダム内では軍師だという事を認識して、戦略立てを行ってみたらどうでしょうか。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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