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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #30:軍略家はなぜ出世するのか

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は30回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

前回からキングダム内でも重要な役割を担う軍師について考察しています。前回のテーマは「#29:軍師に求められる資質」という事で、軍師には武将とは違う資質が求められる事をまとめました。まだ、お読みでない方はまずはそちらをお読みください。

今回は「軍略家はなぜ出世するのか」という事で、言われれば当たり前の事ですが、その当たり前を現代ビジネスも踏まえて解説したいと思います。ちなみにここでは敢えて軍略家という標記にさせてもらいますが、軍師とほぼ同意義語ですので、気になさらずお読みください。

まず、キングダムで、各国の王様以外の主要人物を見ていきましょう。昌平君、李牧、媧燐、呉鳳明、全て各国の王様に次ぐ丞相、宰相、軍総司令、というポジション、つまり会社で言う所のCOOに当たる人物です。昌平君のCOOとして優れている点に関しては、「#1:優秀なCOO、昌平君」をお読みください。そして彼らに共通する点としては、全員優れた軍略家だという事です。これは軍や国を束ねる人物として、優秀な軍略家を置くというのは、偶然ではなく、必然なのです。なぜでしょうか。

まず、軍略家(軍師)というのは、前回もお伝えした通り、軍の戦略を練る人達になります。取りまとめる規模が大きくなる程、いわゆる戦略というのが大事になってきます。これはビジネスにおいても同じで、どんなに優れた営業マンがいても、その人が獲得できるビジネスというのは、彼(もしくは彼女)のビジネスと、その周りだけです。B to Bにおいては、重要な顧客を優秀な営業マンに充てる事により、効率的にビジネスを獲得する事もできますが、どの顧客にどの営業を担当させるかも含めて戦略になります。また、B to Cにおいては、製品やサービス自体の戦略がより重要になります。ですので、組織のトップまたはその右腕に優れた戦略を練る事ができる軍師や軍略家を就かせるのは必然になります。

また、これは、経営陣だけに当てはまるものではありません。現場レベルでも軍略を理解し軍師の意図を理解した上で柔軟に動ける人間というのは重宝され、出世します。例えば、亜光軍の千人将亜花錦は良い例です。ご存じの通り、亜花錦は悪童と呼ばれ、恐らく上司のいう事は聞かず好き勝手戦っているイメージがありますが、千人将に留まっているとは言え、ボスの亜光や、大ボスの王翦から重宝されています。その一番の理由はここぞという時にピンチを救ったり、相手の嫌なとこをつく事に長けているからです。ですので、多少の悪事は目をつむってもらえます。では、なぜここぞという時に活躍できるかというのは、ただの偶然ではありません。間違いなく、将軍レベルでの視界の広さと戦略眼を持っているからです。全体像を事前に把握しており、その時々の現場の状況で、どこを抑えておくべきかわかっているのです。例えば、朱海平原の戦いで亜光将軍が馬南慈と尭雲に討ち取られそうになった時には、誰よりも早く助けに向かいます。このように現場で軍師レベルに戦場を把握できている人間は必ず出世します。亜花錦は、むしろ、これ以上出世したくない(出世して、部員が増えると色々とめんどくさい)から、好き勝手やっているようにも見えます。こういった人はたまに会社にもいます。すごい知識と経験があるのに、政治的な出世に興味がなく、スペシャリストとして、自分の仕事を楽しんでいる人というのはこのタイプでしょう。

亜花錦
仕事においても全く同じ事が言えます。経営陣に求められるのは、市場を戦場としてみた時の軍略、つまり、経営戦略眼です。また、これは役員や部長になってからいきなり身に付くものでもありません。下積み時代に、いかに戦略的にビジネスを捉えれていたかというのが大きな経験値として残り、出世した後も活きます。20代30代の方々は日々に業務に追われ、なかなか広い視野で戦略を描く時間はないかもしれませんが、若い時だからこそ、そのような時間を設ける事を強くお勧めします。例えば、自社のCEOや役員が対外的もしくは社内で打ち出すビジネス戦略をじっくり読み、その意図を100%理解するとか。外部の興味ある会社の株主向けの経営レポートを読んで、その戦略の意味するところを理解するなど、いくらでも戦略脳は鍛えることができます。誰かがブログやSNSでまとめた記事ではなく、自身で考え納得するという過程が非常に重要です。その経験は日々の仕事でも必ず活きてきます。

今回は軍略家はなぜ出世するのかという、いかにも当たり前の事をキングダムを例にまとめました。当たりまえだからこそ難しいし、大きな発見もないかもしれませんが、その当たり前を当たり前に行う事が社会ではもっとも近道になります。

それでは、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用


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