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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #24:企業における法治国家と願い

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は24回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

前回「#23: M&Aと領土拡大」では、国や会社が競合の吸収などにより大きくなる際に行うべき活動をまとめました。その中で共通ルールの構築や平等な制度について触れました。詳細は、前回の記事をお読みください。今回はそれらルール作りにおける根本の話をしたいと思います。

我々現代社会人は生まれた頃から法という大原則のルールに従う事が前提となっているため、特に法律家でない限り、その事についてあまり深く考えた事がなく、また、疑問を持つ人も少ないでしょう。

キングダムの時代は、その国の王様が絶対的なルールでした。ですので、もちろん国にルールは存在するのですが、そのルールも王が決め、王令は絶対、王は誰にも支配されない、神のような存在でした。その根本を覆したのが、秦王嬴政という事になります。嬴政は王建王との会談で、中華統一した際は王を含め全国民が法の下に平等である法治国家にすると主張します。つまり、王様も犯罪を犯せば法の下、さばきを受けるという、ルールにするのです。これは当時からすると、あり得ない発想でした。逆にそこまでしないと、統一後の6国を収めるのは難しいという考えです。

法治国家
まずは、法治国家の意図とメリットについて考えます。

法治国家のメリットはいくつかありますが、マクロな視点で考えた時の一番のメリットは「皆平等」という事です。平等な社会になると基本的には実力主義になり、国に貢献した人が報われる社会になります。つまりは、努力は報われる社会になるのです。その結果まじめに頑張る人が増え、軋轢や犯罪が減り、社会が発展するという事になります。もちろん、これらは理屈ではそうでも現実では細かい問題が多く発生し、絵空事になる可能性も大いにありますが、大きな組織を正しい方向に導くというやり方としては理想的です。

会社も同じです。特定の人物や組織だけが優遇されたり、ルールがあってないような会社では必ず軋轢が生まれ、企業として成長する事はできません。平等な制度や規則が社員のモチベーションを高め、各人のパフォーマンスを上げ、果てには企業として大きく成長する事ができるのです。

次に、その法の中身をどのような内容にするのかというのが大きなテーマになります。

キングダムでは法の番人李斯が法に関して興味深い事を言っていました。昭文君との問答で法とは「願い」だと言っていました。「願い」というと感情的なもののように思いますが、李斯は「国家がその国民に望む人間の在り方の理想を形にしたもの」と述べています。そうする事により、国はよりよい方向へと進みます。

李斯 3
経営者もその会社の規則を作る時にどのような企業、社員でいて欲しいかという事を軸に規則作りをするとそれに見合った方が活躍できる会社になります。例えば、皆さんご存じのGoogleという会社は、全てにおいて、イノベーションという事を大切に捉えています。そのため、10数年も前から、社員に就業時間中一定時間自由な時間を与え、好きな事をやらせています。その結果生まれたサービスというのは、今のGoogleを作り上げています。また、カラフルで遊び心満載のオフィスと言うのも当時は斬新でした。みんなが同じスーツを着て、同じ時間に集まり、同じようなデスクで毎日同じ業務を繰り返す日本企業からはGoogleのようなアイディアは生まれません。このような日本企業が悪いと言う訳ではなく、この日本の仕組みは、高度成長期の欧米のシステム、技術、サービスを模倣し、大量に作り出すというビジネスモデルにおいては極めて有効でしたが、イノベーションというエリアでは、このようなやり方や規則ではGoogleと同じ土俵に立てないという事です。自分達がどうなりたいかという「願い」を持って規則を作るという事はとても重要なのです。

今回は今まで以上に経営者としての視点で、法治国家が企業で意味する所を考えてみました。経営者にとっては言わずもがなとても重要なテーマですが、社員の方も、この会社や経営者はどういう「願い」を込めているのかという視点で会社の在り方を客観的に見てみると、より会社や経営層の事を知る事ができると思います。

12月最終週は休載にするため、今年は今回の記事で最後になります。

それでは、皆さん良いお年を。また来年。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用


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