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漫画キングダムから学ぶ会社経営 #23:M&Aと領土拡大

本記事は、「漫画キングダムから学ぶ会社経営」と題し、毎回、様々な視点から漫画キングダムとビジネス(特に経営)での共通点及びそこから得られる学びについてまとめていきます。今回は23回目の記事になります、過去の投稿はこちらからご覧ください。

今回は一般のビジネスマンはあまり触れる機会は少ないですが、経営者にとっては非常に重要なテーマになりますM&Aについて、実はキングダムからも学ぶところがありますので、まとめます。

M&Aといえば、「Mergers and Acquisitions」の略で、資本の移動を伴う企業の合併と買収を意味します。細かい定義や言葉の説明に関しては、専門書をお読みください。ここではあくまで、わかりやすくイメージとして捉えてもらう事を目的にしておりますので、どんなケースであれ会社同士が一緒になるとイメージしてもらえれば構いません。とは言え、一緒になるには基本的には上下関係があり、仲良く完全にイーブンなんて事はあり得ません。ですので、M&Aには食う側と食われる側があるという事をご理解ください。食う側の基本的な目的は事業拡大です。

それってキングダムでの秦の中華統一と似ていませんか?秦が中華統一を行う行為はまさに6国とのM&Aなのです。M&Aと言うと交渉して、お互い納得の上、交渉成立というイメージがあるので、キングダムで言う所の、秦王嬴政と斉王王建王の会談での約束のイメージが一番近いですが、武力行使で他の国を奪い取ろうという姿勢もM&Aに含まれます。ビジネスで言う所の敵対的買収です。しかし、敵対的買収をしてしまえば、合併後の移管がスムースに行かないのは火を見るより明らかです。そのために企業が行う事と、秦が行おうとしている事は何でしょうか。

1) 共通ルールの構築
2つの異なる文化をもった国同士が一つになるとき、まず最初に問題になるのが、文化(言語、法、宗教など)の相違による混乱です。これらは人間の根底にあるので、非常に重要な問題で、細かいズレから大きな軋轢が生まれるため、早急に整備し共通ルールを構築する必要があります。会社同士の合併でも、全く同じで、社内規則、人事制度から社内の習慣的な部分まで同じ業界や規模であっても大きく異なります。異なる習慣を取り入れるのは誰しもストレスがかかり、全員が納得できる制度作りはあり得ないのですが、そんな中いち早く共通ルールを構築する必要があります。

山陽計画

2) 平等な制度
これは特に、食われる側が懸念する事で、吸収された後は、平等に評価されないのではないか。特に、キングダムの時代では吸収されたら完全に奴隷のように扱われる事が実際多く起こっており、そのような理由から戦争で負ける事は国民にとっても死に近いものがあります。それをさせまいとしているのが秦王嬴政です。嬴政は統一後の中華は法に統治させる法治国家をうたっており、どの国のどの人間も法の下に平等にすると理想論を掲げております。現実はそんなに甘くないでしょうし、多くの問題も山積みでしょうが、この時代においては画期的なアイディアだと思いますし、そのような考えがあったから中華統一もできたのだと思います。これは企業のM&Aにおいても同じで、吸収された側は平等に評価されないのではという懸念が常に付きまといます。吸収する側の企業はそうあってはならないと強く平等を主張しますが、現実問題として、100%そうなっていない事が今も課題として残ります。

法治国家

3) 物理的な移管
上記二点の制度や仕組みの構築ももちろん大事ですが、それと同時に行わなければならないのが、物理的な移管です。例えるなら、まず人の移動です。国の吸収では、その領土にまず多くの人を送り込み、新たな制度や仕組みをいち早く浸透させるのが重要になります。また、企業においては、取締役や執行役員の送り込み、また、主要事業部への人の交流です。これらは同じく新たな制度や仕組みをいち早く導入し、同じ飯を食う仲間としての意識改革にも繋がります。

秦人移動

これらのやり方は今でこそ当たり前になっていますが、紀元前秦の時代には全く新しい事でした。あの当時は食われたら終わり、孫の代まで奴隷、下僕、なんて事が平気でまかり通っていました。それを変えたのは紛れもなく秦王嬴政であり、その仕組みは現代社会にまで通じるものとなります。

今回は大きな視点で、国や企業を吸収した後どのようにしたらスムースに事業が展開できるのかという手法についてまとめました。多くのビジネスマンにとってM&Aというのは実感のない事かと思いますが、M&Aというのは決して他人事ではなく、いざ自分が当事者となった際にこれらの事を思い出してもらえればと思います。

では、また次回。

注)写真はすべて漫画キングダムより引用

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