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「研究はいつか役に立つから大事。」 と濁してしまうなら、その研究をする意味はあるのだろうか 。 前編3

前編の最後に、私が考えるこれからの日本の研究市場が盛り返す方法をいくつか提案します。

最初は界隈でよく言われる提案を書く。が、それは昔から言われており、宙ぶらりんのまんまだ。そこで次に、僕独自の提案を書く。

その1.  国や企業が援助する。

当たり前の話だが、最も大事なことだ。金がなければ備品は買えない。何にもできない。たとえば、生物学的研究はDNAを検出するのに、試薬がいるし、機器を使う。一回の実験あたり1万円の経費がかかることだってある。

だが、お金はないのは研究に限らずどこだって同じ。みんながみんなもらえるわけではない。国や企業から援助してもらうには、各研究室で競争することが求められる。

その2. 学生への援助

諸外国では、学生をRA(リサーチアシスタント)として雇い、給料を払うことが常識で、学生は基本水準の生活をしている。

一方で日本は、奨学金を借りる、親の仕送り、アルバイトで生活している学生がほとんど。扶養を外れて学費免除してもらうのは確かに可能ではあるが、生活費は一切支援してくれない。

有名大ならそんなことないが、無名大学(特に理学系)は交通費・旅費は一切保証してくれないし、RAの給料も年間15万円ほどだ。

残念ながら、全ての修士課程・博士課程の学生を援助するのは難しい。ここでもやはり競争することが求められる。

その3. 企業が博士卒の採用枠を増やす

ほとんどの方が、博士課程に進学したら大学に残って研究するのがお思いだろうが、就職するのも一つの手。だが、日本の場合は企業が雇わないのがほとんどだ。

その理由は、年齢が20代後半で社会経験がないこと。もう一つは、専門性が高いのが仇となって、研究以外は何にもできないというイメージが持たれている。

それに、わざわざ博士課程学生から採用せずに、修士卒の社員に博士号取得してもらう動きがある。会社からしてみれば、社会の常識が分からなくて、柔軟性のない博士卒よりも、社会経験が豊富で、柔軟性のある修士卒の社員の方が、どう考えても安牌だ。

ここまでの総評

ここまで読んできた中でわかるように、ほとんどがないものねだり、つまりTakerとしての考え方が多い。

「こうだったらいいなあ、できたらいいなあ。」と、まるでドラえもんのうたのように、ぼやいているばかりだ(僕も人のこと言えないです汗)。

次に僕が提案するのは、Giverとしての意見を申し上げる。研究とは、10年や20年で完結するものではない。後世にも伝えていかなければならないことだ。

その1. 自分の研究を伝える、啓蒙活動を行う

自分の研究がどんなに優れていようとも、界隈から評価されようとも、知らない人から見れば、何がすごいのかさっぱり分からない。

そこで、学部生に向けた独自のセミナーを開講して、研究の面白さを伝えたり、小学生や中学生・高校生、さらには、一般の方にも実際に実験をやってもらい、研究を体験してもらうなど、啓蒙活動に取り組むことだ。

ここで重要なのは、見返りを絶対求めてはいけないこと。自分のしていることが、将来研究するかもしれない子供たちへの財産となり、日本の研究市場に貢献していることを誇りに持つ。

これをやってほしいのは、50代の退官間近の先生。会議や、実習、学生の面倒で忙しいかもしれないが、自分がこれまでに積み上げてきた研究実績に対して、きっと興味をもたれることだろう。

その2. 研究室単位で、マネタイズ化に取り組む

国から、企業から、当たるかどうか分からない申請書を書くよりも、研究室単位でアルバイトしてみる、グッズを作ってみるなど、マネタイズ化して、研究資金にする努力はできる。

たとえば、ゆるキャラを作って、LINEスタンプや、文房具、研究室生活を書籍化して、売ってみるなど。研究者は、経営者の一面も持ち合わせている。それに「先生」というのはネームバリューとして、案外大きいものだ。

その3. 修士・博士課程学生も何か活動をする

活動するのは、何も大学教員だけでなくても良い。修士・博士の学生も、やったって良いのだ(もちろん基準値以上の卒業条件を超えなければならないが)。

Twitterで検索すればゴロゴロ出てくる。たとえば、サイエンスコミュニケーターを目指しつつ、シンガソングライターとして活動するReinaさんや、酒のレビューを書いている日本酒が苦手な修士学生さんが例だ。

この時、注意しなければならないのは、芸能活動など、研究に支障が出るかもしれない活動は、指導教官から許可をもらうことだ。

次回からは、後編の一般人から見た意見を書いていく。おそらく暴論となることをご了承願いたい。

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