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IBDP日本語A(作品記録)

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IBDP日本語Aのチューターとして関わってきた作品分析のヒントを記録しています。私もまだ分析は勉強中ですが、私の授業のイメージの参考になったり、皆さんの分析に役立てば幸いです。
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#学問への愛を語ろう

「普通」とは何か?資本主義社会で「世界の部品」となった私たち〜村田沙耶香『コンビニ人間』より[410]

「普通」とは何か?資本主義社会で「世界の部品」となった私たち〜村田沙耶香『コンビニ人間』より[410]

 2020年にIBDP日本語Aのチューターサポートをスタートしてから、私自身も文学作品が描くそれぞれの世界観や作者からのメッセージに魅了されています。それまで実用的な書籍しか読んでこなかった私ですが、文学の魅力に触れてから、仕事として読むこともありますが、そもそも文学作品をもっと読みたい!という気持ちになっています。

 今回記録しているのは、2016年に芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの『コンビニ

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時代が変わっても変わらない普遍的な「人間の幸せ」とは?〜カミュ『ペスト』を読んで[265]

時代が変わっても変わらない普遍的な「人間の幸せ」とは?〜カミュ『ペスト』を読んで[265]

 自分の興味と文学分析の練習を兼ねて、カミュの『ペスト』を読みました。伝染病が流行し、封鎖された街に暮らす人々はこの作品ではどのように描かれているのか、私たちがここ数年で経験したことと、約70年前に書かれたこの作品を読んで比較してみたいと思いました。そして、作品を読んでいく中で本質的な「人間の幸せ」とは何かについて考えることができました。

 作品の内容に関して少し触れているところがあるので、まっ

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