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俺と師匠の情熱seitai life 8

コマモン(仮)の開業祝いで今回は先生と酒を呑むことが決まっている。

嫁さんが珍しく不安な顔で見送る。絶対に酒は飲まないでほしいとせがまれる。鎖骨を折った時の惨劇を思い出したのだろう。

そしていつもの高速バス、いつもの新宿の漫喫で俺は密かに感じていた思いを実行する算段をたてる。今回は俺の中での変化をみんなに見てもらいたい。渋谷での慰め合いが俺を変えていた。アイツは俺にいつも的確なヒントをくれる。

意を決して先生のsalonへ

セミナー中、俺はいつも先生の1番近くになぜか行ってしまう。まずはそれをやめる!ポジションもイメトレ済みだ(^^)そこは先生の人体模型コレクションの棚の前。ここなら1番遠く全体を見渡せる。

みんなの近況報告と先生のアドバイスを一滴もこぼさない思いで聴いてみる。心地良い静寂の中でみんなの話と先生のストラトキャスターvoiceが室内を軽く包み込む。

BGMはマイルスデイビス的なTONEのラッパが響きメロディーに合わせた手数が多いのにイヤミがないドラムが特徴的なインスト。

俺はこのBGMが大好きだった。先生の独特な会話の「間」と融和していく。ただ違うのは気持ちよくモーツァルトを聴きながら酔いしれているのとは全く別物、大勢の人間が2人の会話を聞いているからだ。壁中に糸が張りつめられたかの様な感覚、緊張感、そう、深い森の深夜から朝に変わる時間の様なmorning Blue...。

そして実技へと、ここも俺は策を練っていた。

トイレにしれーっと逃げ込むのだ!

そうすればペアになる時の嫌ぁーな思いは感じなくて済むからな(^^)

今日は大事なコマモンの開業祝いが待っている!俺がいつもの様にイライラして酔って台無しにしてはいけない。だから俺は嫌な思いを自分がしたり、させている理由を徹底的にシュミレートして今回のセミナーに臨んだんだ。

トイレから出ると驚いた!なんと先生がベッドに寝ている。泣きそうになった。わかってやがる!俺の練った策も意図も見破られていた。

そして今回はとても繊細なタッチ感が求められ、長尺の集中力を必要とする呼吸のテクニック。先生が台なら安心だ。雑にさわったり、不快にさせるような空気感は作らないだろう。そして事細かに教えてくれる。

凄く有意義な時間だった。

「ヨシナリ、いいぞ、カラダがだいぶ楽になった。このテクニックは効くな。」

先生はベッドからパサッと降り、軽く体を揺らしながら、左の足首と右肘の動きを自然に細かく確認していた。リヴァイ兵長かっ‼︎先生はとても華麗にしなやかな静かな動作をするのだ。

次のテクニック、柴田が俺とやろうと言ってくれた。 ヨシナリさんやりましょう!

いつもより爽やかな笑顔で。この日の柴田は超絶いい奴だった。たぶんシャイだっただけなんだろうな、バカ真面目なのは当たりだったが。

そしてみんな笑顔ですんなり俺と組んでくれる!最高だ!

ごめんな、みんな(泣)ダークサイドに落ちっぱなしだったのは俺の卑しい、捻じ曲がった性格と生き様が滲み出ていたのだ。

そんなこんなで、そのままベッドを使ってお祝い会の準備。かなり料理が並んだ。みんなどうやって持って来てるんだwデカイ焼売まである。デカイだけで横浜感、超うまそー!

乾杯‼︎ 

コマモンも焼売を狙っていたww  うめーー!

コマモンは飛行機で来ているため、名残惜しく時間ギリギリまで居て帰っていく。寂しいなぁ。

それぞれ帰路へと。その後お開きかと思ったが「おまえら、もうちょい呑んでくか?」

先生がお洒落な見たことのない柄のビールを俺たちに差し出す。残ったのは俺と柴田、ユキオ(本名)だった。

つづく


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