近藤寛峰(Yoshimine Kondo)

作曲家、編曲家、打楽器奏者、音楽、その周辺、倫理、美術、哲学、舞台、ビジネス、テクノロ…

近藤寛峰(Yoshimine Kondo)

作曲家、編曲家、打楽器奏者、音楽、その周辺、倫理、美術、哲学、舞台、ビジネス、テクノロジー 音楽制作スタジオ Studio Zen/ (有)近藤工房の音楽と製造業の二足の草鞋の生活をしています。

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最近の記事

フリーインプロの抱える問題点⑤ 感性と理性 真似する事と壊す事

技術を壊したり理性を外すものや感覚として語られるフリーインプロの話です。 感覚と理性 この辺りでよく語られるのが感覚派と理性派に分かれてどうこうと言ったどこかのコンサルが他人の適格を見るようなやつに似ているのを見たりはしますが、そもそもの話として、自称感覚派に理性が存在しない訳ないですし、自称理性派にも感覚が存在しないわけがないわけです。 そしてそれらは哲学の認識論的な話の新書でも適当に1冊おさえればそんな二つにわれるほど簡単じゃないのはすぐにわかる話であるわけですが、

    • フリーインプロの抱える問題点④ 即興は芸術なのか、実験パフォーマンスについて

      ・即興は芸術なのか 現代においてなぜか即興と芸術は結びつきやすく現代のパフォーマンスといえば即興といった路線の語り口は自分も使った事があります。 が、関わっていると即興だからそうなのか?みたいな疑問が朧げに浮かび上がって以下略、、 正直なところフリーインプロと呼ばれるノンイディオムな即興は楽器系ですとアヴァンギャルドジャズ、所謂フリージャズのオーネット・コールマン以降の流れにはなるのかと思われますが、、 歴史を学べば学ぶほど即興自体は古代から延々と行われてきている営みな

      • フリーインプロの抱える問題点③ 哲学専門用語編

        フリーインプロが自由でも平等でも個人でも扱うのが難しく政治を主にする、ということを踏まえた上で、哲学の概念系のパフォーマンスもかなり多くありそれらにもかなり矛盾が潜んでおり考慮したほうがいいんじゃないか、とか思ってしまう哲学的な概念をいくつかあげてみようかと思っております。 専門用語で伝わらないかなとは思いますがご容赦を、、 ・社会学者デュルケームのアノミー 社会の規制や規則が緩んだ状態においては、個人が必ずしも自由になるとは限らず、かえって不自由かつ不安定な状態に陥ります

        • フリーインプロの抱える問題点②:個人と政治

          前回は自由と平等の話、ジャンル周りの話でした。 今回は個人とそこからつながる政治の話をしようかなと思います。 個人について 前回は何かを受け取ることに関して個人の資質が大きいと書きましたが、その上で反対に出力側の話で「個の表現」のようなのも多く見ることができます。 個人というのもまた厄介な問題かなと思っておりまして、そもそも個人とはなんぞやという話です。 この辺りも哲学の話になりますが、西洋では2500年以上積み重ねた大仰な論理展開があり、そのあたり勉強してないとここを

        フリーインプロの抱える問題点⑤ 感性と理性 真似する事と壊す事

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        • 音楽人類学 ~現代音楽から今へ~
          6本
        • 音楽人類学〜アメリカ伝統音楽としてのJazz〜
          3本
        • 音楽人類学 〜インド古典音楽とその精神〜
          1本
        • 音楽人類学 ~西洋音楽基礎としての古代ギリシア~
          2本
        • 音楽人類学 〜日本の音楽を辿る 〜
          2本

        記事

          フリーインプロの抱える問題点① 自由と平等について

          なんでもありの即興パフォーマンスと呼ばれる物やいわゆるフリーインプロと関わって現在は少し離れておりますが、その問題点などをつらつらと、、 今回は自由と平等についてです。 自由について フリーインプロの面白みは分からないものとの遭遇ですが、自由だとか誰でもやれるとかよく言いますが、結局個人の資質の部分が大きいよな、とか。 色んな人とやりましたが、分からない物に対する反応が受け入れか拒絶かで、そこが才能の線ですね。 音をしっかり聞くとか、画を見るとか、動きを感じるとかこ

          フリーインプロの抱える問題点① 自由と平等について

          即興演奏概論 序

          音楽において即興演奏というとよくあるのが、ジャズにおけるソロの時に行われる各パートが音のキーに合わせソロパートをその場で作り演奏するといったものが一般的に有名な物だと思います。 そのように、その場で演奏を作る行為を即興演奏と呼び、古くではバッハ、モーツァルト、ベートヴェンなどのクラシックの大家も即興演奏を行っていたとされ、音楽家、とりわけ作曲家などはその場で演奏を作り出す行為が音階や和声を作り出すのに必要不可欠な行為となります。 クラシック、ジャズ以外ではいわゆる民族音楽の

          即興演奏概論 序

          アート鑑賞のススメ その①

          休日になると何をするかというと友人や恋人と食事や旅行へ出かけたり、スポーツをしたり、お酒を飲みに行ったり様々な娯楽がある中で、お勧めしたいのが美術館や博物館へ行くことがあります。 芸術を鑑賞するのはハードルが高いように思えるし、有名な画家の書いた綺麗な絵、気味の悪い絵や風変わりな芸術家の作ったどことなくヘンテコな物体や変わった作品、様々なアートと呼ばれる物体。 美しいものならともかく、ヘンテコなものが出てきたときに何が面白いのかよくわからないといったのが率直な話だと思いま

          アート鑑賞のススメ その①

          芸術と政治 ~あいちトリエンナーレを終えて~

          あいちトリエンナーレ閉幕ということで、愛知出身で愛知県在住の自分としては動向を観察していたのですが、この国際芸術祭で大きく目立ったのは政治的な現代アート作品でした。 この国際芸術祭で起きた事象として ・表現の不自由展というほぼ反日本的な自己反省を促す作品が多数展示され、それにともない電話での抗議が脅迫ととれるレベルで多数行われた事 ・それに対するアーティスト達の自立した動きがあった事 ・愛知県知事と名古屋市長の間で分断が起きた事 ・終わり掛けに表現の不自由展が厳戒態勢で再

          芸術と政治 ~あいちトリエンナーレを終えて~

          サウンドスケープ概論

          音の風景私ごとの話からで恐縮ですが、一時はギャラリーでのパフォーマンスや美術屋向けにやっていたのですが、最近では音の採取のみで外に出す事もなく、一人で採取して楽しんでいる事の一つに音の風景を採る、のような事をしています。 その音の存在はあまり知られる事なくそこに気づいた一部のミュージシャンがライブや音源のワンアクセントに使ってたりするのはたまに見かける程度で、それらは通常ほとんど意識される事もなかったりするような普段から存在しすぎていて感じられない音達。 ふとした瞬間の夏の

          サウンドスケープ概論

          スコットジョプリンとラグタイム

          ラグタイムとその特徴 ラグタイム(Ragtime)という音楽を聴いたことがありますでしょうか。 おそらく聴いたことがない、という人が多数に及ぶと思うのですが、おそらくメロディを聞くと”これ知ってる”となる機会のが多いくらい浸透している音楽ではないかと思います。 19世紀初頭にできた音楽でブルースと並びジャズのルーツのひとつと言われている音楽です。 大元は軍隊で演奏されていたマーチであり、リズムの特徴もラグタイムの大きな特徴であるシンコペーションを除くとマーチである事がわかりま

          スコットジョプリンとラグタイム

          ニューオーリンズとクレオール文化 Jelly Roll MortonとJazz

          ニューオーリンズとクレオール文化 クレオール(Creole)というのは植民地生まれ、と言った意味だそうです。 ニューオーリンズ(New Orleans)は1718年にジャン=バティスト・ル・モワン・ド・ビエンヴィル(Jean-Baptiste Le Moyne de Bienville)というフランスの植民地活動家により設立されました。 また1722年にフランス領ルイジアナの首府となります。 1763年 イギリス、フランス、スペインにより行われたパリ条約によりスペイン領とな

          ニューオーリンズとクレオール文化 Jelly Roll MortonとJazz

          天文学と幾何学、哲学、四学の中の音楽

          天球の音楽 ピュタゴラスは宇宙の理、星や太陽、惑星などその調和の根元がどこにあるのかを理解しようとしました。 古代ギリシャではライラなどの演奏も行われていましたが、そうした目的よりも、ピュタゴラスにとっての音楽は自然の中の理、宇宙がどのように構成され、人間がそれをどのように享受しているかを解き明かす為の物としていました。 宇宙は数の調和により構成されており、音楽も同様に数の調和により構成されていると考えました。 そのため、ピュタゴラスは音楽を解き明かせば宇宙の真理に突き

          天文学と幾何学、哲学、四学の中の音楽

          インド古典音楽の創生と宗教

          インド古典音楽の現在と特徴 インド音楽というと、どことなく懐かしいような、それでいて初めて聞くようなシタールの音や様々な楽器を使ったドローン音、内面に没入するような優しく静かで神秘的な音が特徴です。 まるで自己の内面をより深く深く潜るような、、 現代でいうとビートルズ、詳細にはジョージ・ハリスンのシタールの師匠でありジャズシンガーのノラ・ジョーンズのお父さんのラヴィ・シャンカールやジョン・マクラフリンとシャクティをやっていたタブラのザキール・フセインなどインド音楽の達人の名

          インド古典音楽の創生と宗教

          自然現象としての音楽 古代ギリシャのピュタゴラス

          ピュタゴラスと数、音の調和 音楽を構成する音というのは自然現象であり、地球上において空気の振動を人間の感覚器官である「耳」を通じてキャッチしその判別を行う事ができるからこそ可能な原理といえます。 現代では「国語」「算数」「理科」「社会」「外国語」がいわゆる教科とされますが、古代ギリシアでは「哲学」「音楽」「幾何学」「天文学」が四学と言われていました。 音楽において初期の研究を成したとされるのが紀元前 580年ごろに生まれた有名なサモアの賢人とも言われたピュタゴラスでピュ

          自然現象としての音楽 古代ギリシャのピュタゴラス

          権力を嫌うという事

          アメリカのトランプ大統領というのは、今では世界の権力の象徴で、割とこれでもかというほど嫌われている人物なのですが、実際確かに言っている事も、かなりとんでもない事を言っていたり、そんなの在りえないだろというような事をやっていたり、、 言い換えると、嫌われているがゆえにまともにその中身をみられる事のない人物ではないでしょうか。 とか書いていると芸術寄りの友人に縁を切られる危険性を感じるほどに憎しみの対象になっています 笑 トランプ大統領を嫌っているのは、基本的に政治思想でも左翼

          権力を嫌うという事

          アメリカ伝統音楽としてのJazz① Buddy Bolden

          Jazzがいつ始まったのか、というのを詳細に辿るとまずたどり着くのがJazzの創始者ともされるBuddy Boldenに行き着きます。 Buddy BoldenはNew Orlearns出身のコルネット奏者で録音も残存しているか謎で口述で色々な逸話が語られる程度にしか知られていません。 Jazzバンドの創生は1820年ごろからCongo Squareという広場(現Louis Armstrong Park)で奴隷にされたアフリカン・アメリカンの人たちが日夜アフリカ音楽による

          アメリカ伝統音楽としてのJazz① Buddy Bolden