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太陽系の元素組成から垣間見る原子核の構造

原子核は「陽子と中性子の集合体」だ。その集合体が生み出す性質はとても豊かで、かつ、まだまだ謎に包まれている。原子核の「構造」の重要性は太陽系の元素組成からも垣間見ることができる。

さて、私たちの住む太陽系はどのような元素でできているのか。太陽光や隕石などの分析によって、それは明らかにされている。

太陽系の元素組成。データは『理科年表』より。ケイ素(Si)で規格化されている。

上図は太陽系の元素組成を表したグラフだ。縦軸が各元素の割合を示し、横軸が原子番号(つまり元素)を表している。

グラフの特徴からは、原子核が“単なる”陽子と中性子の集合体ではないことを読み取ることができる。例えば、ヘリウム(He)に続くリチウム(Li)・ベリリウム(Be)・ホウ素(B)の割合がとても少ないこと、ヘリウム(He)の次に多い元素が酸素(O)であること、その次が炭素(C)であることが挙げられる。

ヘリウム(He)の原子番号は「2」、酸素(O)は「8」だ。原子核物理において、この「2」や「8」は、魔法数(magic umber)と呼ばれています。この数の陽子数もしくは中性子数を持つ原子核は、とても安定になるためだ。これは原子でいうところの希ガスに相当する。魔法数は他にも「20」「28」「50」「82」などがある。

ちなみに、炭素(C)の「6」は、魔法数ほどではないが、原子核が安定になる数で、魔法数に準ずる数(submagic number)となっている。

このような魔法数の存在は、量子力学に基づいた理論で説明することができる。それは「原子核の殻模型」と呼ばれる理論で、Mayer博士およびJensen博士らの研究によって発展させられた。この業績には、1963年のノーベル物理学賞が贈られた。

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