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原子核反応を使えば新しい元素をつくることもできる

原子核反応を使えば、陽子の数(原子番号)を変えることもできる。それは、元素を変えることに相当する。つまり、ある元素から、別の元素を作ることができるのだ。

例えば、43番元素テクネチウム(Tc)や61番元素プロメチウム(Pm)は原子核反応を通して人工的に合成し発見された元素だ。このように、原子核反応を使って、未知の元素を発見することもできる。

2016年に、以下の四つの新元素が国際的に認定され、元素周期表に載ることが決まった。

「113番元素」→ Nihonium「Nh」(ニホニウム)
「115番元素」→ Moscovium「Mc」(モスコビウム)
「117番元素」→ Tennessine「Ts」(テネシン)
「118番元素」→ Oganesson「Og」(オガネソン)

ニホニウム(Nh)は日本の研究グループが発見した元素で、日本初の新元素だ。また、欧米以外で発見された初めての新元素でもある。ニホニウムについては、理化学研究所の特設ウェブサイトで紹介されているので、ぜひ一度参照してみてほしい。

さて、上記四つの新元素も全て、原子核反応を用いて人工的につくられた元素だ。例えば、ニホニウムは以下の原子核反応を用いて合成された。

ビスマスの原子核(陽子数83)に亜鉛の原子核(陽子数30)をぶつけて、ニホニウム(陽子数113)をつくったのだ。原子核反応式の最後の「n」は中性子を表している。

できたニホニウムの原子核は一瞬で、113個の電子をまとい、原子となる。こうなると、新元素の誕生となる。元素とは原子の種類のことだからだ。

ニホニウムはすぐに壊れてしまうのだが、実験的にニホニウムができていた証拠をつかむことに成功したため、新元素として認定された。他の三つの元素(Mc、Ts、Og)についても事情は同様だ。

現代の新元素探求は、原子核反応を用いた新元素の合成・検出となっている。今後の研究が進めば、119番元素や120番元素といった新元素候補が見つかってくるだろう。

元素周期表は原子核反応によって、進化しているのだ。

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