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原子核で元素を読み解く

水素(H)、ヘリウム(He)、ニホニウム(Nh)...このような元素の分類は原子核で決まっている。

原子核には、陽子と中性子、という二つの構成要素がある。図の左は、炭素(C)を例にした原子核の概念図だ。図の右には、元素記号を用いた原子核の表示例を示してある。

元素の名前は原子番号に対応している。そして、その原子番号の正体は陽子の数だ。今の場合、陽子が6個あるので、炭素(C)となる。

陽子が1個(原子番号が1)は水素(H)、陽子が2個(原子番号が2)はヘリウム(He)、陽子が113個(原子番号が113)はニホニウム(Nh)といった具合になっている。

原子番号は元素記号の左下に書くことが通例だ。ただし、原子番号と元素記号(元素の名前)は一対一対応しているので、原子番号が省略されることも少なくない。

元素記号の左上に書かれている数字は質量数と呼ばれる数で、その正体は、陽子と中性子の合計数だ。図の場合は、陽子も中性子も6個ずつなので、質量数は12となっている。

自然界には、炭素の中でも、中性子数が異なるものがあるため、この質量数は大切な数字となる。つまり、陽子は6個(炭素)だけど、中性子が6個のもの(質量数12の炭素)もあれば、7個のもの(質量数13の炭素)もある、ということだ。

陽子数が同じで、中性子数が異なるものは同位体と呼ばれる。同位体を区別するときには、「炭素12」だったり、「炭素13」といった言い方をする。このときの元素名に続く数字は、質量数を表す。

原発事故のニュースでも「セシウム137」や「セシウム134」などといった言葉を耳にした。これらも同位体を表している。この場合、陽子の数は55個(原子番号55:セシウム)だけど、中性子数が82個(セシウム137)と79個(セシウム134)という違いがある。ちなみに、それら同位体は、現実には、電子をまとった原子で存在するため、同位元素と言われたりもする。

元素の名前は陽子の数(原子番号)で決まり、同位体を区別するためには、中性子の数も勘定に入れねばならない。元素を読み解くためには、原子核の理解が不可欠なのだ。

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