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『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』(菅野仁 著 筑摩書房 2008)読書感想文

お笑い芸人の又吉さんもテレビで紹介した本とのこと。購入したときは、書店のレジ近くに平積みされていた。

もちろん、僕がこの本を買った理由は「又吉さんもテレビで紹介した」「レジ近くに平積みされていた」からだけではない。僕も「友だち」だったり、人間関係に悩んだりするからである(大学院生のとき程ではないが…)。

「そうそう」と、うなずきながら、『友だち幻想』を読み進めると、心が救われる文章が多いことに気付く。例えば、以下だ。

ある程度社会経験を重ねれば、のらりくらりとかわせることも、若い人は真正面から受け止めてしまいがちです。

菅野仁『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』筑摩書房 2008

まだまだ「社会経験」が十分でない僕は、こういう面が残っているのかな、と省察しながら、少し軽い気持ちになる。

また、『友だち幻想』からは言葉の大切さも再認識することができた。本の中では、「生のあじわい」「同調圧力」「ネオ共同性」「ルサンチマン」などの印象的なキーワードが散りばめられている。このようなキーワードに出逢うことで、ほんのりと気持ちが楽になるのは、以下のような理由だろう。

今までもやもやと不快だったことが、こういうキーワードを与えられることでスッキリすることがあります。

菅野仁『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』筑摩書房 2008

一方で、「ムカツク」や「うざい」などの言葉の危険性も、

異質なものと折り合おうとする意欲を即座に遮断してしまう言葉

菅野仁『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』筑摩書房 2008

として紹介されていた。やはり、生きていく上で、言葉との出逢い、そして、その使い方はとてつもなく重要なのだ。以下のような説明もあった。

言葉というのは、自分が関わっていく世界に対していわば網をかけて、その世界から自分たちなりの「意味」をすくいとることによって、自分たちの情緒や論理を築き上げていく知的ツールなのです。

菅野仁『友だち幻想 人と人の〈つながり〉を考える』筑摩書房 2008

言葉によって、世界と僕たちの〈つながり〉が育っていくのだ。

“人と人の〈つながり〉”について悩んでいたり、考えている人は手に取ってみても良い本だと思う。

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