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  • スペインサッカーの話

    ラ・リーガとスペイン代表についての記事を書きます。マドリディスタなのでマドリーの話多めです。

  • The Retreat Time!! Scripts

    • 26本

    The Retreat Time の原稿集です。 Podcast で話した話題をノーカットでより詳細に書いています。 音声でも Podcast で聞くことができます。こちらもぜひ! Spotify https://open.spotify.com/show/7quHfsHoub6hBrvWFWHzre Apple Podcast https://podcasts.apple.com/jp/podcast/the-retreat-time/id1619788565 Twitter のフォローもよろしくおねがいします! Twitter https://twitter.com/RetreatTime

最近の記事

若きバスク人GKのサン・マメスデビュー戦

出場可能な選手が足りないチームのなかで、無名の若手がまぶしく輝く。ラ・リーガではよく見る光景だ。昨季のシャビ・バルサが得意としたパターンではあるが、決して彼らの専売特許ではない。 ラ・リーガの24-25シーズンはサン・マメスで開幕した。ホームでリズムに乗れないアトレティックを救ったのは、アレックス・パディージャだった。彼にとってこの試合は、トップチームでのデビュー戦でもあった。 20歳のゴールキーパーが真価を発揮したのは後半だった。アレーニャがパレデスをかわして放ったシュ

    • エンバペとレアル・マドリーの7年間

      生まれた赤子が、かけ算を覚えるほどの時がすぎた。 2024年6月、マドリディスタは絶頂の1週間を過ごした。聖地ウェンブリーで15度目の欧州王者に輝いた翌日、待望の男がベルナベウにやってくることが発表された。 「エンバペがくる」 この言葉をどれだけ聴いてきたことか。待ち侘びていた。2年前に裏切られた記憶がまだ色濃く残っていた。複雑な気分だ。絶縁したつもりだった。しかし交渉は続き、次第に憎しみは薄れた。大観衆が詰めかけるベルナベウでの入団セレモニーで、エンバペはマドリディス

      • 2000年世代の胆力 (vsウズベキスタン)

        サンティティエンヌでの騒動に話題を奪われている隙に、ラ・ロヒータはパリの地で最初の試合をものにした。ウズベキスタンの獰猛なプレスに苦しんだチームは、経験豊富なメンバーの胆力でプレッシャーを跳ねのけることに成功した。 先制点は、幸運にもFKのチャンスから生まれた。セルヒオ・ゴメスのキックをアベル・ルイスがフリックし、マルク・プビルのゴールをお膳立てした。 パフォーマンスを落としたクバルシとその相方のエリック・ガルシアは、ピッチを落ち着かせることができなかった。後方と分断され

        • パリ五輪に挑むスペイン代表の話

          なぜだかわからないが、スペイン国内では注目度が低そうだ。 パリ五輪の開幕が目前に迫っているなか、スペインのスポーツ新聞は女子サッカーやバスケの代表に誌面の多くを割いている。U-23 男子サッカー代表については、ほんの小さな記事でしか扱わない。下手をすれば、同時期に開催されている U-19 の EURO のほうが大きな話題になっているようにも見える。 しかしラ・リーガファンとしては、目を輝かせずにはいられない。若い選手が次々と台頭してくるスペインである。ラ・ロヒータ(スペイ

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        記事

          『誰がために鐘は鳴る』を味わうためのスペイン内戦の背景

          名作を読もう。 アーネスト・ヘミングウェイの長編小説『誰がために鐘は鳴る』はスペイン内戦を舞台にしており、アメリカ人のロバート・ジョーダンとゲリラ隊による橋梁爆破作戦の経過を主軸として語られる。 スペイン内戦は日本ではあまり知られていないため、『誰がために鐘は鳴る』に登場する内戦の背景が理解しづらいかもしれない。この記事では、作品を味わうための前提知識として、スペイン内戦の主要な事実をまとめてみた。歴史的背景を理解することで、ヘミングウェイの名作の深みをより一層感じ取るこ

          『誰がために鐘は鳴る』を味わうためのスペイン内戦の背景

          プロジェクトリーダーってなんだ

          ブックサンタという企画で、ジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』を寄付してきました。年末ですね。 スターフェスティバル Advent Calendar 2023 の2日目の記事です。よろしくお願いします。 スターフェスティバルに入社して4年が経とうとしています。昨年まではソフトウェアエンジニアとして開発に従事しておりましたが、今年からはロールが替わって Kitchen Success プロジェクトのプロジェクトリーダーとなりました。経験の枯渇しないことでお馴染みのスタフェ

          プロジェクトリーダーってなんだ

          クラシコ直前!両チームの現在地と展望 - レアル・マドリード通信 en Octubre 2023

          今季もクラシコが近づいてきました。今回は両クラブのスカッドをざっと眺めながら、怪我人や現状の序列などに思いを馳せていきたいと思います。 基本フォーメーションバルセロナのイレブンほぼ確定なのは、GKシュテーゲン、両SBのカンセロとバルデ、左WGのフェリックスです。フレンキーが離脱中の中盤は、ロメウ、ガビ、ギュンドアンの3枚が基本路線でしょう。ペドリが帰ってくる可能性もありますが、クラシコでいきなりスタメンに復帰するのは難しいかと思います。 状況次第な部分は、まずはCBの人選

          クラシコ直前!両チームの現在地と展望 - レアル・マドリード通信 en Octubre 2023

          23/24 ラ・リーガ開幕

          お金がない。他国と比べると、顕著に。それでも熱狂のラ・リーガは今年も開幕した。移籍市場の動きも激しくなっているなか、補強が順調なクラブにも、まだまだ選手が足りないクラブにも、ビッグクラブの動きに左右される中小クラブにも、第1節は平等にやってくる。 風格 - アトレティック・クルブ vs レアル・マドリーアトレティック・クルブ 0 - 2 レアル・マドリー 早々と移籍市場でのタスクを完了したかにみえた今夏のマドリーだが、7月後半からはエンバペ騒動に時間を使うことになった。そ

          23/24 ラ・リーガ開幕

          【Podcast資料】 #66 【ゆるフトコラボ!】近年の欧州サッカー戦術トレンドの変遷を語る

          Podcastの中で使った資料を公開します!放送回とあわせてお楽しみください。 ティキ・タカの全盛(2008 ~ 2012)メイントピック ペップ・バルサの登場 ポジショナルプレーの萌芽 偽9番 ポゼッションが世界で模倣される EURO2008, 南アW杯2010, EURO2012 でスペイン代表が優勝 その他 対ティキ・タカにはバスを停めるしかない(インテル, チェルシー, スイス代表) モウリーニョ黄金期 08-09 優勝:バルセロナ 準優勝:マン

          【Podcast資料】 #66 【ゆるフトコラボ!】近年の欧州サッカー戦術トレンドの変遷を語る

          世界一のSD"モンチ"とアストン・ヴィラ

          ラモン・ロドリゲス・ベルデホ、通称 "モンチ"。アンダルシアの古豪を歴とした強豪クラブへと押し上げた男の名は、今や欧州中に轟いている。 この夏、モンチはイングランドで新たな挑戦をスタートさせる。愛するセビージャで17年、ローマで2年、その後またセビージャで4年。2度目の国外挑戦の舞台は、時代の最先端をひた走るイングランドの古豪、アストン・ヴィラ。プレミアリーグの勢力図は、敏腕SDによって新たに塗り替えられることになるのだろうか。 スポーツ・ディレクターSD(スポーツ・ディ

          世界一のSD"モンチ"とアストン・ヴィラ

          祝砲10発、上々の新体制

          祝砲が轟々と鳴り響いた。新体制の船出として、これほど賑やかなことも珍しいだろう。 ロベルト・マルティネス新監督が率いるポルトガル代表は、EURO2024予選の最初の2試合に臨んだ。終わってみれば2試合で10得点、そのうち4得点が元気いっぱいの英雄・クリスティアーノ・ロナウドのものだった。 新監督は、いかにストライカーの世代交代を進めるかということに頭を悩ませているはずが、出場すればこれだけ点をとってしまう男だ。どう説明を施したとしても、ベンチに置く選択を取りづらいことは間

          祝砲10発、上々の新体制

          帰ってきた、愛せるはずのスペイン代表

          おかえりなさい。 3ヶ月ぶりに、ではない。僕らのスペイン代表は、ルイス・エンリケFCによる支配から4年ぶりに解き放たれた。 内部昇格の形で就任したルイス・デ・ラ・フエンテ新監督によって、ラ・ロハは代表チームとしての性格を取り戻そうとしている。ベテラン・若手に関わらず、所属クラブで好調な選手が招集される。すべての有資格者に、ラ・ロハへの門戸が開かれている。所属クラブでの努力が適切に評価される。そんな代表を心待ちにしていた。このチームは愛せるはずだ。そう確信していた。しかし、

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          ロベルト・マルティネスの26人〜ポルトガル代表の新体制〜

          才能という才能を、あつめてうまく料理する。それを得意とする。 ロベルト・マルティネスのベルギー代表での戦績を振り返れば、主力の高齢化による黄金時代の終焉よりも、それ以前の成功を褒め称えねばなるまい。 ポルトガル代表監督への就任会見で、ロベルト・マルティネスが記者に向かって約束したことは2つ。まずは一刻も早くポルトガル語を学ぶこと。そして、EURO2024の王者となることだ。 49歳のスペイン人監督は、2008年以来となる歴代3人目の外国人監督として迎えられた。EURO2

          ロベルト・マルティネスの26人〜ポルトガル代表の新体制〜

          市場を創造する男 ジョルジュ・メンデス

          黒幕は悪い男であってほしいものです。マーケットを支配するものの存在を感じたとき、生理的な現象として、その黒幕を憎もうとしてしまいます。 今年からポルトガルサッカーをみていくぞ!と宣言してからというもの、国外へ多くのタレントを供給し続けるポルトガル3強の、移籍市場での戦略を意識するようになりました。 その視点で現地メディアを追っていると、当然ながらある事実に行き当たることになります。3強が持つその利益構造は、単にクラブの戦略と努力のみがもたらしたものではなく、ある一人の代理

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          開幕

          磐田原台地に燕脂の咆哮が轟いた。 J2開幕戦で見せた新生ファジアーノ岡山のサッカーは、今季の成功を確信するには十分すぎるものだった。 櫻川ソロモンと坂本一彩の新しい2トップが躍動し、前半のうちに2得点を挙げた岡山は、後半にまたしても若い前線のユニットによって佐野航大のゴールを演出した。 岡山サポーターの期待は確信へと変わり、クラブが掲げる過去最も高い目標、「J2優勝」に対する覚悟がピッチとスタンドの間で共有されていた。 名門ジュビロ磐田においてそのポテンシャルの高さを

          クライシスが来て、去った - Real Madrid 通信 en Febrero 2023

          W杯の中断が明け、1ヶ月近くが経ちました。この一ヶ月ほどのレアル・マドリーは、コンディション不良と怪我人の続出による低調なパフォーマンスが続き、クライシス報道が絶えない状態が続いていました。 しかしその心配も束の間、コパ・デル・レイ4回戦のビジャレアル戦で劇的な逆転勝利を収めたあたりから、クライシス報道はどこ吹く風。続くリーガのアトレティック戦、コパ・デル・レイ準々決勝のマドリードダービーで強さを見せ、過酷な日程が待ち受ける2月を迎えることができています。 クライシス中断

          クライシスが来て、去った - Real Madrid 通信 en Febrero 2023