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「みんなで支え合う論」は社会全体を救う

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「みんなで支え合う論」は社会全体を救う

 デヴィッド・スタックラー, サンジェイ・バスの『経済政策で人は死ぬか?-公衆衛生学から見た不況対策-』によると、1930年代の大不況、1990年代のソ連崩壊による東側諸国の大不況、
 同じく1990年代のアジア通貨危機と、それぞれの歴史的な大不況の事例の中で、各国の経済政策を調べ上げ、その結果を統計学を駆使して分析し、全ての事象に対して同じ結論を出している。

 緊縮財政政策を取った国は悲惨な状況に陥り、財政政策を選んだ国は、その経済不況の衝撃を緩和することを達成している。

 従い、「不況な時こそ貧困者助けることにお金を使用したほうが経済的にお得」であると著書では述べている。

日本の「自己責任」には8つのタイプがある

 日本の「自己責任」にも様々なタイプがある。

 青山(2020)は言説分析(言葉の「語られ方」についての分析)を行い、日本社会における「自己責任」は8つのタイプに分類されるという。
 
■〜90年代初頭
①「経営・金融原則タイプ」:「経済市場」における企業の営利活動と競争の前提には、その行為が「自由」のもとで行われ、競争によるリスクを引き受ける主体として企業の「責任」が指示されている。

■「情動-」タイプグループ:規範性を伴った理知的な自己責任ディスコース(※ディスコースとは…言語・文化・社会を論じる際の専門用語としては、「書かれたこと」や「言われたこと」を指す。)

②「権利/覚悟タイプ」:個々人の「自由」が規範的な前提となり、自由を行使するにあたっての「権利」や「覚悟」が強調され、その結果として「自己責任」を引き受ける/引き受けるべきものとする。

③「自主自律タイプ」:前提として個人の自律的な行為を行うことが規範的に位置づけられ、行為に対する結果は他者をはじめとした諸要因に帰するのではなく、個々人による自律の結果として「自己責任」が言及される。

④「自己統治/啓発タイプ」:前提として個々人の自由意志による行為と同時に能力拡張/付与がなされうることが自己責任として規範化されている。つまり、行為の結果を本人の意志や努力により解決することが遂行的に称揚される。

⑤「リスク管理タイプ」:ある活動や行為に付随するリスクに対する規範意識から、逸脱する行為に対して言及される。

■「情動+」タイプグループ:ある出来事や社会的行為に対する前提的な規範が守られなかったことに対する感性的な自己責任ディスコース
⑥「無責任タイプ」:ある行為とその結果の当事者による受け入れやリスク管理の失敗を他責化する認識に対して、「無責任から自己責任へ」という規範性を促す。

⑦「謝罪要求タイプ」:ある行為に対する結果が他者への「迷惑」となるという規範性であると同時に、迷惑をかけたことに対し謝罪を要求する。

⑧「弱者切捨タイプ」:相対的弱者の行為やその結果の因果を個人に帰責することが自己責任ディスコースに対するメタ的な認識として言及される。

【参考】
青山俊之 (2020). 自己責任ディスコースのメタ語用論的範疇化によるタイプ分析 国際日本研究

他人に期待せず、それも「自分の人生」として諦める


 8つのタイプに共通するのは「他人に期待しすぎ」な点である。

 アルフレッド・アドラーは「課題の分離」において、「自分の課題」と「相手の課題」の区別を明確にしろ、「相手に期待すること」は「相手の課題」に対して踏み込んでいる行為だと定義づけている。

 他人、或いは自分に対して、不満があったとしても、過去や他人のせいにしない。
 「目的論」 に従って、 「自分が選んだ結果」 として、認めなくてはいけない。

 このようにして、これまでの自分に責任を持てば、人生に対して主体性を取り戻すことが出来る。
 主体性を取り戻すことによって、今後の人生を、自分の意思で変えられるようになる。

自己責任は50%で良い

 自己責任は50%で良い。
全て社会や家族、今回のコロナウィルスのせいにして「失業だ」、「まともな教育を受けられない」と後ろ向きな事ばかり言っていても仕方がない。
 そう言っていたら「努力をする」必要性がなくなる。

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