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サンドウィッチマンの漫才から見る情報の「乗り換え・持ち替え・着替え」

『アウトプットチャレンジ:自分を変えるための30の行動』という本からです! よろしければどうぞ!


「店長を冷凍イカで殴っちゃったんです」

  サンドウィッチマンのM-1グランプリ2007の最終決戦における漫才「ピザの宅配」という傑作があります。

 ツッコミの伊達さんがピザを待つお客様側、ボケの富澤さんがピザの配達をする側。
 しかし、「店長を冷凍イカで殴っちゃったんです」という言い訳と共に遅れたり、注文を間違えたりしてしまいます。

(富澤さん)「それがバイトのやつが店長と喧嘩しちゃって」
(伊達さん)「喧嘩?」
(富澤さん)「店長を冷凍イカで殴っちゃったんですよ」
(伊達さん)「冷凍イカで?」
(富澤さん)「血とかもいっぱい出て」
(伊達さん)「店長の!?」
(富澤さん)「イカの」
(伊達さん)「イカのかよ!」

【引用】サンドウィッチマン「ピザの宅配」

(富澤さん)「もしもし、お客さん怒っちゃってテクニシャン出せって…」
(伊達さん)「言ってねえよ!テクニシャン!? 面白そうだなちょっと待ってみようか!」

【引用】サンドウィッチマン「ピザの宅配」

  「ピザ屋」フレームにはピザ屋らしい言葉遣いや手続きの「スキーマ」が連なっています。

「ピザ屋なのに」というおかしさ

 「ピザ屋ならこうするはず」というフレームが共有されているうえで、やたら馴れ馴れしいとか、こちらからのフレームやスキーマから外れていくときに、「ピザ屋なのに」というおかしさが生まれてくるというわけです。

 漫才を見て笑うのも、貴方がこの文章を読んでいるのも、必ず何かしらの思考の枠組みを使って理解したり反応したりしているわけです。 

「フレーム」や「スキーマ」

 MITの人工知能研究所創設者で人工知能の父と呼ばれたマービン・ミンスキーはこの頭の中の構造を「フレーム」と「スキーマ」という考え方で整理しました。

 ミンスキーの言う「スキーマ(schema)」というのは、頭の中に入ってきた情報を処理するために使われる知識の基本的なまとまりのことです。
 思考のための枠組み、器、入れ物と考えてもいいでしょう。

情報の「乗り換え・持ち替え・着替え」

 情報は、常に外部の何かと組み合わさりながら認識されています。

 まず、情報は何かしらの「乗りもの」に乗っています。

 テレビやSNSや本のようなメディアのときもあれば、社長のスピーチや子供との会話やレストランのメニューのような情報の形態の場合もあります。

 プロジェクトや仕事やアイデアがスタックしてしまっているようなときは、乗り換え・持ち替え・着替えを思い切っておこす方向に舵を切ると、錆びついたつっかえが弾けるように、ことが動き始めることがあります。

 「フレーム」や「スキーマ」が動いていることを自覚して、そこを覗き込んだり飛び移ったりすることで、情報の乗り換え・持ち替え・着替えは進んでいきます。 

「連想」と「要約」を交互に行うことは出来ない

 未知の方向に思考を拡散していく「連想系」のベクトルと、既知の方向に情報を束ねていく「要約系」のベクトル、これらをかわるがわる起こしていくことが重要です。

 というのもこの「連想」と「要約」に同時に向かうということが、わたしたちの脳jはできないのです。

 何かのアウトプットに向かっている時に一向に手元が進まなくなったり、会議での議論が行き詰ってしまうようなときは、たいていこの「連想」と「要約」を無自覚なままにいっぺんにやろうとしています。

 アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態です。

どっちが正解なん?

 子供に「自分の頭で考えなさい」と言いながら「早くしなさい」と急かしている、会議で「自由に発想するように」と促されながら、発言すれば「実現可能性は?」と問われる、など。

 わたしたちの思考は「連想」と「要約」のハイブリッドで進みますが、それは常に「かわるがわる」を意識しないと十分に動かないものです。

 このことを踏まえるだけでも、子供への声がけの仕方も企画書の作り方も会議の進め方も変わっていくでしょう。

【参考】安藤 昭子(2020). 「才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10の思考法」ディスカヴァー・トゥエンティワン Kindle版 pp.491-590

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