実録 小説家のなりかた 24日目

8月に応募する短編はまだ完成していない。ひとしきり直した後、いじらずにそっと置いてある。村上春樹も書き終わったら自分から離すために熟成させる期間を作るらしい。積極的にプロのやり方を取り入れていくところなど、さすが吉田は違うなと思う。柔軟性とスピードは他の追随を許さない。

今日はデニーズに来て、特に「ウォーク・ドント・ラン」を読む以外にすることもないから、これを書いている。今、ワキガのウェイトレスが隣を通って、何とも言えない夏の香りが漂っている。

昨日、妻とセックスをしなくなってどれくらい経つのか調べて見たら75日だった。２ヵ月半！　これは結婚してから10年で、最長記録に近い。１人目を出産した後、半年はセックスをしない期間が意図的にあったが、それ以来のことだ。自己肯定感がメルトダウンを起こして、大変なことになっている。
夫婦カウンセリングに行ったり、認知行動療法をしたり、2人で熱心に話し合ったりして解決を図っているが、セックスレスの根は深いので、まだまだ解決しそうにはない。今は一日一回、軽いハグをするのが精いっぱいだ。

3万字近い小説を書いたら自己肯定感が3ヶ月はMAXになると思ったら、40くらいしか回復しなかった。一時的な回復薬みたいなもので、永続的に回復するのではなかった。これにはがっかりした。

先日、妻からメールが送られてきて、とても長い間、考えこんだ。

あなたはまず、自分で自分の心を満たせるようになるべきです。それができてないから仮にセックスをしても一時凌ぎにしかなっていないのです。

妻のメールより抜粋

自分ひとりで幸せになれていないこと、セックスで自己肯定感を高めようとしていることを見抜かれていて、とても恥ずかしかった。
自尊心（プライド）が高く、さらに理想も高い自分を、自分だけで満足させることは難しい。「自尊心と理想を下げて、今持っているもので満足する」ということが必要があるということは頭ではわかっている。それでも、なかなか実践ができていない。
考え方を変えるというのは、習慣を変えるのに似ていて、おおよそ3ヶ月以上かかる。3ヶ月後、自分の心を満たせるようになっていたい。

転職活動の内定が出たら、8月の〆切を意識する必要が出てくるだろう。また短編を磨きたいと思う。