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社会起業家を目指すなら協会をつくろう

今、協会を設立したいと考える人が増えています。とくに、若者の中にたくさんいます。僕のところにも、毎日のように問い合わせがあります。

彼らの話を聞くと、ただ利益を追求するだけでなく、自身のビジョンやミッションの達成に重きを置いていて、心の充実を求めます。

ウィズ/アフター・コロナで、人生の価値やあり方の大切さを考えたので、さらに増えてくるだろうと思います。

そういった人たちは、「社会起業家」と呼ばれます。

協会がピッタリくる

社会起業家には、協会というスタイルが合います。おすすめします。

協会は、どんな人でもすぐに立ち上げることができます。そして、「◯◯協会」と名乗るだけで、協会が立ち上がります。

でも、ただ利益を求めるだけならば協会でなく、会社を立ち上げるほうが得策です。協会をつくるからには、理事長さんが描く理念に沿ったチームがあり、その理念に賛同したたくさんの会員さんがいることが大切です。

任意団体で協会をつくる

屋号で名乗るだけの協会は、法律用語では「任意団体」と呼びます。任意団体は、登記をしない団体です。

大学のサークルや地域の町内会、マンションの管理組合などのように、会費をとって運営していくような組織がこれに該当します。

「協会」と名前がつかなくても、協会が活動するようなことをする団体は、広く協会と呼びます。協会以外の名前としては、「研究会」「推進会」「〇〇する会」など、いろいろあります。

協会を任意団体から始める方法は、よい方法です。

しかし、その場合には将来、協会が発展した時点で、任意団体から法人成りをすることを念頭に入れておくようにしましょう。

法人で協会をつくるには、手続きが必要

商店街の八百屋さんは「屋号」で営業しているところが多いですが、多角的に経営する場合には、会社をつくります。法人登記することで、社会的な信用度を得ます。

それと同じように、協会も任意団体で運営するよりも、法人成りで運営する方が、社会的信用を得ることができます。

法人には、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人などがあり、また株式会社や合同会社、有限責任事業組合などでも協会を作ることが可能です。要するに、協会というのは、法人でなくとも、あるいは、いかなる法人であっても作ることが可能です。

大事なことは、受講生や会員から見て、どう映っているかということです。その点を鑑みて、どのスタイルで協会を立ち上げたら良いか検討しましょう。

なお、協会の法人は、一般社団法人が選ばれることが多いですが、それには理由があって、一般社団法人は「非営利団体」になるからです。

協会という公益性あるイメージの組織を立ち上げる時には、営利目的の株式会社よりも相応しく感じられるからです。

協会と会社は似て非なるもの

協会とはどのような組織なのかを考える際に、協会と会社を比較してみると分かりやすいです。

協会と会社は似て非なるものです。協会を会社と思って経営すると、うまくいかないことがあります。その問題を解決するには、この本質を捕まえると、協会という組織の運営のイメージがよく分かると思います。

会社というのは、顧客が払う商品や役務の代金で運営します。顧客はその会社が提供する商品やサービスにお金を支払ってくれます。

いっぽう、協会というのは、会員が払う「受講料」や「会費」で運営します。受講生や会員は、協会の「理念」に共感して、お金を支払ってくれます。

つまり、会社にとって大事なことは、商品やサービスを顧客がどう評価してくれるかということであり、協会にとって大事なことは、理念や姿勢を受講生や会員がどう評価してくれるかということになります。

これから協会を立ち上げるならば、受講生や会員から共感を得られる理念を作るところから始めてください。

協会には、大きく分けて2つのパターンがある

協会の型を2つに分けると、好きなこと・得意なことを講座(サービス)にして受講生を募るタイプのものと、主に業界の活性化のために集うタイプのものに分かれます。あるいは、そのどちらの要素の取り入れたタイプで協会を立ち上げることもあります。

好きなこと・得意なことで協会を立ち上げる

世の中には、「セラピスト」として活動されている方がたくさんいます。あるデータによれば、日本にはセラピストの資格保有者が40万人ほどいるようです。また、カウンセラーやコーチなどのように、個人事業主として活躍されている人もたくさんいます。

好きなことや得意なことを仕事にする人が増ています。働き方が多様化してきている背景があって、単に自分一人の発信に留まらず、好きなことや得意なことをよりたくさんの人に広めたい。そして、たくさんの人たちを幸せにしたいと考える人が増えてきています。

個人のビジネスでは描けなかったスケールも、協会という専門性をもつ大きな枠組みで提案できることは、よりたくさんの人を助けることができます。

そして、それは自己実現の質を高めることができます。

業界を盛り立てるために協会を立ち上げる

同じ業界に属している人や企業が集まり、情報を共有し、同じ方向に向かっていくことは、とても有意義なことです。そういったコミュニティに属することで、それぞれの利害の充実が図れます。 

また、好きなものが同じ人同士が集まり、個人の趣味の追求、さらには、それを生かした社会貢献をする。そういったコミュニティを形成することで、心の充実が図れます。

協会と受講生・会員の関係

協会の講座に受講料を支払ってくれた人は、協会から見ると「受講生」です。
協会に対して会費を支払ってくれた人は、協会から見ると「会員」です。

では、会員の方や受講生の方から協会を見た場合には、彼らは自分と協会との関係性をどのようにとらえるでしょうか?

じつは、ここに協会が成長するかしないかの分岐点が存在します。

受講生・会員は協会のパートナー

もし受講生の人が「自分は協会にとって単なる顧客である。なぜならば、受講料を払ったのだから」とか、もし会員の人が「自分は協会にとって単なる顧客である。なぜならば、会費を払ったのだから」と認識している場合、協会は成長できません。

そうではなく、受講生や会員の人が、「自分は協会にとってパートナーである。同じ方向に向かって歩いている。つまり仲間だ」と認識してくれた場合、協会は大きく伸びていきます。なぜならそこには、善意で情熱的なクチコミが誕生するからです。

協会はパートナーを強要しない

しかし、パートナーであることを協会が強要しても、パートナー関係は決して生まれません。むしろ、受講生や会員は、わざとらしさを感じて、協会と距離を置こうとしてしまいます。パートナーであることは、強要はできないものです。

つまり、協会は、受講生や会員を顧客として扱い、心から大切にすること。
受講生や会員は、そんな協会をパートナーと感じること。

この関係性を正しくつくることです。これが協会を設計するうえで、最も重要なことになります。そして、この関係を築くためには、協会は受講生や会員が感動する「理念」を作り上げ、理念経営を行うことです。

協会の立ち上げに関する誤解

協会をつくりたい方からの問合せで最も多いものが、「協会は講師を次々につくらないといけないのですか?」という質問になります。そのように誤解している人が少なくありません。実際には、そんなことはまったくありません。

また、「講師になるというメリットがなければ受講してくれない」や「資格講座というのは講師を育てるものだ」と思い込んでいるケースもよくあります。これもまた誤解です。

ビジネスモデルを選択する

協会のビジネスモデルは大きく分けて7種類あることを前述しましたが、講師養成型の「フランチャイズ型」の協会は、そのうちの一つにすぎません。他にもビジネスモデルはあるのです。

伝えたい・広めたいことを受講生のターゲット像(ペルソナ)に照らし合わせて、それに合う講座の内容や種類を選び、ビジネスモデルを決定していきます。

目的に沿ったビジネスモデルを、自分に合ったビジネスモデルを選べばよいわけです。

まとめ

会社は、利益を求める競争社会の中で闘います。市場を占有して利益を上げるためにライバル会社と日夜争います。

会社はその争いの間で、競争に敗れ、業績が悪化し、会社の存亡の危機にさらされることがれば、会社を存続させるために業態を変えることがあります。紡績会社が化粧品会社に業態を変えたり、フィルム会社が製薬会社になるようなことがあります。

いっぽう協会は、「ゴーイング・コンサーン」の原則があります。一度始めたならば、最後まで真っ直ぐ進まなければなりません。

会社と違ってうまくいかなくなったときは、業態の変化ではなく解散になります。収益が上がるからといって、協会の主軸サービスを変えてしまっては受講生が困惑するのでやってはいけません。

つまり、協会には会社以上に、「理念経営」が求められます。理念に沿った運営をしていくことで、理事長も会員も理念に沿った生き方、関わり方をするようになるのです。理念は初めから備わっているわけではなく、毎日声に出して、育んでいくものなのです。

この本質をしっかり理解されていれば、協会はしっかり立ち上がります。


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