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パンみみ日記「会社辞めるのに人脈を広げる心意気」


日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。


5月28日(日)
前日の結婚式で終電近くまで飲んでいたので、遅い朝を迎える。特に用事もないので、このままダラダラしていたら確実にYoutubeを観て1日が終わってしまう。

そんな1日を阻止すべく、モゾモゾと起き出しお馴染みの図書館へ。今日はいつもより遅い時間だったので、お気に入りの席たちがことごとく埋まっていた。今週の不覚。

吉本ばななの「キッチン」を読み切った。とても寂しいのに、なぜか守られているような温かさに包まれる不思議な作品だった。ずっと夢を見ているみたい。夢だとわかっているけど、覚めないでほしかった。

そして作品の中で主人公がラーメンを作っている時に抱いた気持ちが、この本へのそのままの感想になる。

ものすごいことのようにも思えるし、なんてことないことのようにも思えた。奇跡のようにも思えるし、あたりまえにも思えた。
なんにせよ、言葉にしようとすると消えてしまう淡い感動を私は胸にしまう。先は長い。くりかえしくりかえしやってくる夜や朝の中では、いつかまたこのひと時も、夢になってゆくかもしれないのだから。

吉本ばなな「キッチン」より

この本で感じとったことを言葉にしようとしても、その作業が感情を溶かしてしまう気がする。(感想を言語化できない技術不足を、それっぽく言い訳しています)

なんにせよ、また読み返したい作品だった。心のカタチがいびつだと感じ取ってしまうときに、手に取ろう。


5月29日(月)
ずっと知っていたけど、お話をしたことがなかった方と夜ごはんへ。

性格は違うけど価値観は似ているというか。とても不思議な心地になる会話を繰り返した。

最近、自分の心のカタチを誰かに話すようにしている。イメージと違うとか、ちょっぴり引かれちゃうかなとか考えるんだけど、気にしない練習を少しずつ。

伝えられる相手でよかった。こうして、自分の心の居住地を広げていきたい。


5月30日(火)
今日はサテライトオフィスでお仕事。すると、他の部署の先輩から声をかけられた。

「よさくくん、お昼食べた?よかったら昼メシ行こうよ!」

この人は…誰だ…?死ぬほど失礼な話だけど、この先輩をぼくは知らない。同じフロアだから顔はなんとなく見たことがある気がする。ぼくの名前をなんで知ってくれてるんだろう…?

あいにくごはんを食べてしまっていたので、丁重にお断りをした。

誰だったんだろうあの人。最近入ってきた得体の知れない後輩を誘ってくれるなんて、すごい心意気だ。あんなメンタルがほしい。

逆に先輩のことを知らない上に、お誘いを断るよさく、失礼千万すぎる。


5月31日(水)
会社。机の中から白い恋人が出てきた。ぼくが北海道から転職してきた際に、おみやげとしてもってきていたものの余りだ。結構ある。

幸いにも賞味期限が6月1日だった。今日中に食べなくてはと思い、10個くらいムシャムシャした。

もっと前にみんなに配ればよかった。なのに、賞味期限ギリギリで1人むさぼってしまう自分を情けなく感じた。

「ぼくは白い恋人を分け与えず、独り占めしてしまうような罪な人間です」

懺悔の気持ちを胸に帰宅した。おみやげはすぐに配ろう。


6月2日(金)
会社の人たちと飲み会。他の部署の知らない先輩もメンバーに入っていたので、ドキドキしながら居酒屋へ。

すると、「おう!よさくくん!ちゃんと話すのは初めてだね!」とフランクに話しかけてくれる先輩が。あ!この間お昼ごはんに誘ってくれた知らない人だ!(失礼)

とても面白く話し上手なので、キサクさんと呼ぶ。今回の飲み会はキサクさんが色んな人と交流をしたいという声から始まったらしく、なぜかキサクさんが「よさくくんを呼ぼう!」と言ってくれたらしい。

めちゃくちゃ嬉しいが謎すぎる。しかも、キサクさんは今月いっぱいでこの会社を辞めてしまうらしい。最後の最後に、最近入ってきた人と交流を深めようとするって、どういう情緒?粋すぎない?

キサクさんとのおしゃべりは楽しく、お腹を抱えて笑わせてもらった。前回の日記で「会社の飲み会は好きじゃない」みたいにスカしたこと書いてたけど、今日はとても楽しかった。単純なやろうである。

あーあ、でもせっかく仲良くなったのに。キサクさん、いなくなっちゃうのか。

キサクさんは金融業界へ転職するという。元々ぼくも金融だったのもあり「よさくくん、俺と一緒に戻らないか?」と冗談だけど声をかけてくれた。なんか海賊の船長みたいだった。「へへっ、ついて行きやすぅ!」と下っぱ団員みたいに返事しそうだった。危ねえ。

こんな風に、ギリギリの接点に興味を持って、大きく広げていけるような大胆な心意気に憧れる。ぼくにはないものを持っている人だった。そんな人に心のどこかがすごく引っ張られる。

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