『放物線を描くように』

『放物線を描くように』


神様、このまま落下しちゃうよ。

あの道みたいに。白い大きな"止まれ"の文字の先。あの下り坂のように。

道は続いているけれど、灯りは途絶えているよ。色鮮やかな海峡大橋と静かな夜景が、絵のように遠くで広がっているけれど、その中に呑み込まれていくように、"止まれ"のその先は見えないよ。

この先の灯りは、まるでクリスマスのイルミネーション。あの連なった電球みたい。綺麗に等間隔で光って、綺麗に下り坂の行く先に寄り添って、落下して。誰かが安心させようとして灯りを綺麗に取り付けたに違いない。けれど、私の心は、その丁寧さに怯えてる。だってこの世界の本当の姿は、綺麗なんかじゃない。


もう大きくなり過ぎた私は、犯罪者みたいな心地で、今日を生き延びているの。

ねぇ、神様。この広い宇宙の中で、あなたも息をしているの?あなたは無期懲役を食らった心地?それとも、息をしていないのなら、わたし、隕石のようなあなたに話しかけているなんて、バカみたいね。

何度立ち止まって、何度眺めたって、いつ見ても綺麗で、いつ見てもこわいの。今、この瞬間が。




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