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今夜のこころ予報は曇りのち晴れ

なんだか急に悲しくなってきた。

本当は明るいnoteにしようと計画していたが、机に座りパソコンを開け、少量の音楽を流しながら、薄暗い部屋の中に浮かぶ液晶画面を見つめているとどこか心が痛くなってきた。

それは今日新しく出したパジャマがタンスのなかでギュっと閉まっていたからか、ツンと鼻に刺さるような独特のタンスの匂いのせいだろうか?

それとも今かけ流してる音楽がレミオロメンの「茜空」というバラードの曲のせいでこんな悲しい気持ちになっているからか?

もしかするとそれ以外に何か他に原因があるのかもしれないが、これ以上曖昧のかけらを集めるのはやめにしよう。

だけど消えない。胸の中がこんなにもざわめくのはなぜだろう。めちゃくちゃな言葉を大きな声で吐き出したい。できることならひとり涙を流したい。そうやって時が浄化してくれることを願いたい。

だけどネガティブなことばかりを書いていては気分も悪くなってくるし、読んでくれる方々にも負の気持ちを伝染しかねない。


最近のことですが、用事で外に出かけなければならないことがあり、いつも通りにイヤホンをつけながら最寄りの駅に向かう途中のこと。普段は音楽を聴きながら外を歩くのですが、今回はなんとなくradikoを起動し、ラジオを聴きながら歩いてみた。

いつも聴くお気に入りのラジオ局ではなく、適当に選んでみた。お昼だからか報道系が多く、また政治家が何か問題を起こしたや殺人が起きたやコロナ関連ばかりだ。

仕方ないか、こういったご時世自分のストレスを発散する機会がなく、さらには連日コロナと企業の経営困難の暗いニュースばかりだ。そんなモヤモヤが増えてくると、それに並行して犯罪も増えてくる。

こんな時間があと何年続くだろうか。

一通りのニュースを終えると、番組は明るい声の男性パーソナリティに変わった。どうやら偶然聴いた時間がニュース枠の時間帯だったらしい。

「先程から募集してます私の県民リスナーコンプリート。今回は兵庫県ですが、残りは○○区、○○区、○市、○○市...」

詳しくその番組を聴くと、ひとつの都道府県をピックアップして今リアルタイムでその番組を聴いてるリスナーからのメールを募集し、対象となる県や府の市町村区を全てコンプリートしようということだった。

僕が聴いた時の放送は偶然にも兵庫県。関西よりとはいっても微妙なところで生まれた僕からしたら、コテコテの関西弁を喋れるかと言ったらそうではない。だけど兵庫県は決して馴染みがない県ではなかった。

「なんとかコンプリートしてみたいので是非兵庫出身のリスナーはどこの市町村区かを明記して送ってくださいね~」

パーソナリティの方は明るい声でリスナーに話しかける。YouTubeでラジオをしてる身からしたらとても羨ましい。うるさくもなく静かすぎず心地よいバランスを保ちながら話している。こんな風に僕もなりたい。

「ではではここで一曲お聞きください。兵庫だけでなくやっぱり関西といえばこれでしょ!六甲おろし!」

「ふふっ」

公共の場なのにその曲名を聴いた瞬間に少し吹き出してしまった。イヤホンからは六甲おろしが本当に流れてくる。まさか六甲おろしをラジオから聴く瞬間がくるとは。

何年か前に友達と野球観戦のため西宮の甲子園球場まで行ったことがあった。確か阪神対広島戦だった。プレイボールまでまだ1時間もあるというのにトランペットやドラムの音が響き渡る。バックスクリーンに映し出された今日のスタメン発表を終えると、阪神ファンはスタメンの1番から9番までの選手の応援歌を口ずさむのだ。

バックネット寄りで見ていた僕と友達だったが、そこまで聴こえてくる阪神ファンの応援。それはお腹の底まで響くようにうるさくもなくずっと声を聴いていたいぐらいだった。そして自然と口角があがったのを忘れない。

時折り聴こえてくるヤジもあったが、それでも楽しかった。その時の試合は阪神が勝ち、試合後は全員で六甲おろしを歌う。近くの席にいた酔っぱらったおじさんや小学生くらいの男の子も大きな声で六甲おろしを気持ちよさそうに歌っていた。

めっちゃおもろいやん。

イヤホンから聴こえてくる六甲おろしを聴きながら僕は小さくつぶやいた。目の前は何万人の阪神ファンが埋め尽くす甲子園ではなく、最寄りの駅のホームが広がっていた。

コロナの影響で大声の応援はできず、観客も制限されている。

あの時に見た何万人もの阪神ファンはどうしているだろうか。そして隣にいた酔っぱらったおじさんと小学生くらいの男の子はどうしているだろうか。

「お聞きいただいたのは六甲おろしでした。お知らせのあとも番組は続きますよ!」

そうパーソナリティの方が言うとちょうど電車が来た。そして僕は目的地に向かうため箱の中で揺られるのだ。


という出来事がありました。

なんか一通り書いてると当時の出来事をもう一度思い出せた。そして少しだけ心が晴れた気がする。

これは僕の心が単純なのか?

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