読みやすいテキストとは、佐藤可士和のデザインのことだった
リモートワークが広がり、今までにないほどテキストによるコミュニケーションが増えています。わたしの体感だと2〜3倍です。
そんな時、気がついたのです。「佐藤可士和のデザインをマネすると、簡潔で明快なテキストが書ける」ことに。
読みづらいテキストはストレスを与える
デザインをマネしてテキストを書くってどういうこと? その説明の前に、気づきを得たきっかけを話します。
わたしは毎日「読みづらい」テキストを目にして、ストレスを感じていました。大部分はメールです。
たとえば、そのメールで完結せず受信ボックスを行ったり来たりさせる不親切なメールや、過剰な敬語のせいで何を伝えたいのかはっきりしないメール。これは以前、なくなってほしい現象として記事にしました。
読みづらさを生んでいるのは、テキストの情報量です。情報が多すぎたり曖昧だと内容が見えにくくなり、理解するのに時間がかかる。
相手が近くにいれば「ここはどういうこと?」と聞けば済むことも、メールだと「この◯◯は◇◇ってこと?」とこちらが解像度を上げてわざわざ言語化し、質問することになる。この割に合わない感じがストレスなのです。
できるなら、コミュニケーションはスムーズにしたいですよね。そのためには、相手にストレスを与えないテキストを書くことが重要になります。
ストレスを与えないテキストって?
ストレスフリーなテキストの具体例って何があるかな…そう考えながら立ち寄ったコンビニで、見つけました。
これだ!
パッケージの情報を抽出してみましょう。
すぐに使える(伝えたいこと)
ブロッコリー/Broccoli(商品名)
140g(量)
27kcal(カロリー)
情報がシンプルで、すぐに理解できる。スッキリしていて気持ちがいい。まったくストレスのないテキストだと思いませんか?
コンビニのなかでも、わたしはセブンイレブンに対する信頼度が高いです。味のクオリティはもちろん、コピーライター目線で言うとパッケージのわかりやすさがズバ抜けていると感じるからです。
デザインを手がけたのは日本を代表するクリエイターの佐藤可士和氏。セブン&アイホールディングス、ユニクロ、楽天などのロゴをはじめ、さまざまなクライアントのブランド戦略を手がけています。
このパッケージが優れているのは、「相手に伝えたい情報を決めて、それ以外は記載しない」ことだと思います。
そうです、このやり方をメールやチャットのテキストに応用すればいいのです。
佐藤可士和のデザインのようにテキストを書く方法
ためしに「メールの返信がない場合に送る、再送メールの文例」を、佐藤可士和のデザインのように書き直してみましょう。
例文が長くてストレスですが(笑)お付き合いください。
(元メール)
株式会社●●●●
●●●●様
お世話になっております。
ビジマナコーポレーションの山田太郎です。
先日、領収書の発行をお願いするメールをお送りしたのですが
こちらはご覧いただけておりますでしょうか。
もしかしたら前回のメールが届いていない可能性もございます。
そのため、再送させていただきました。
領収書は、月末の経理処理で必要となります。
お手数ですが、ご対応よろしくお願いいたします。
念のため、前回のメールを以下に貼り付けておきます。
よろしくお願いいたします。
↓
<佐藤可士和のデザインのように書くポイント>
相手に伝えたい情報を決め、それ以外は記載しない
↓
(修正メール)
株式会社●●●● ●●●●様
ビジマナコーポレーションの山田太郎です。
月末の経理処理で必要なので、領収書をお送りください。
よろしくお願いいたします。
どうでしょうか。相手に伝えたい情報は、太字にした「領収書を送ってほしい」だけです。それ以外はなるべく書かない。余計な情報は相手にストレスを与えるからです。
元メールには、「メールをお送りした〜」とか「前回のメールが届いていない可能性が〜」といった伝えなくていいテキストが多すぎます。前回送ったメールを貼り付けるなんて究極の無駄です。
この例文が載っていたサイトには、こちらに非がある可能性にも触れると親切だというヘンテコなアドバイスがありましたが、そんなことは必要ないです。
みなさん、ブロッコリーの情報量を思い出してください。あの簡潔さを目指しましょう。わかりやすいパッケージとは、読みやすいテキストのお手本にもなるのです。
ちなみに佐藤可士和氏のサイトでは、今年2〜5月に行われた「佐藤可士和展」をヴァーチャルで楽しめます。商品やブランドの価値を最大化するデザインとはどういうものなのか、勉強になると思います。
今回はちょっと変わった「読みやすい文章を書くコツ」を紹介しました。お役に立てたら嬉しいです!
文:シノ
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