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いま一番遊び心がある広告は、電車の「中吊り広告」かもしれない

中吊りなかづり広告」と言われて、みなさんはどのような広告をイメージしますか?

通勤・通学している人なら毎日視界に入ってくる、宙ぶらりんの広告。

これはスタンダードなタイプ。でも、中吊り広告のポテンシャルはもっと高い!

というのも、最近SNSを通じて面白い中吊り広告をよく見るのです。




ハッピーターンの広告を見てハッピーになった

先日、偶然にもトレインジャック(中吊りや窓上など、電車内のすべての広告枠を自社広告で埋め尽くすこと)されている電車に遭遇しました。

車内に入ると、巨大なハッピーターンが吊るされている・・・!?

わけではなく、これは広告。

見た目が結構リアルで、普通にハッピーターンが食べたくなる。

広告業界の人間でありながら、あまりトレインジャックの車両に乗り合わせたことがなかったので、思わず写真を撮りました。他の人も上を見上げたり、スマホを上に向けていたので、同じような気持ちだったと思います。

実際に体験してわかったのですが、広告なのにイベント感というか、非日常的な演出にワクワクしますね。お菓子の名前の通り、ハッピーな気持ちになりました。

調べてみると、他にも個性的な中吊りの事例がたくさんありました!


アイデアが光る中吊り広告の事例【5選】


物を吊ったっていい。

さてさて、ずらりと並んだものは何でしょう?

そうです。たすきです。

これは、第100回記念大会を迎えた箱根駅伝のPRとして、出場する23チームのたすきをデザインしたもの。

中吊りなのにたすき?そんなこともできちゃうのね、とコピーライターもびっくり。

大会の大事なモチーフを飾るだけで意味がわかる。粋なアイデアです。


並べたっていい。

読者なら心を掴まれること間違いなし。少女まんが雑誌『花とゆめ』が創刊50周年を迎えるにあたって、JR京浜東北線車内にて中吊り広告をジャック。

プレスリリースより

一枚絵の広告ではなく、名作漫画の表紙を分割して並べています。この違和感に惹かれますね。

また、表裏の両面が見えることを活かして、作品ごとにキャッチコピーが書かれています。

知ってる漫画だとテンション上がりますね

実際の掲出はこんな感じ。ついつい裏ものぞきたくなる仕掛けです。


ここまでに紹介したハッピーターン、箱根駅伝、『花とゆめ』の広告の共通点は、商品そのものを中吊りにするアイデア。シンプルイズベストな事例です。


切り取ったっていい。

“ジョジョASBトレイン”が
“交通広告グランプリ 2014”企画部門・優秀作品賞を受賞

ジョジョ好きならわかるこの仕掛け。今にもスタンドが飛び出してきそう。

これは、プレイステーション3用ソフト『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』の発売を記念してつくられた広告。

ジッパーが開いている部分は、実際に切り取られており、車両の奥が見えます。通常の広告でこのようなギミックはあまり効きませんが、宙吊りにされている中吊りだから立体感が出て面白くなりますね。


透明だっていい。

続いてはこちら。

RADWIMPSの「汗かいた中吊り広告」
東横線に登場し話題、仕組みは?

?????

透明のシートが奥まで永遠と続く。なんじゃこりゃと思って近づいてみると・・・

これは水滴?

Xのポストより

ないと思ったけど、ありました文字。人気ロックバンドRADWIMPSの宣伝だとわかりました。

「カタルシスト」は、フジテレビ系サッカーのテーマ曲。スポーツの体験や記憶と切り離せない「汗」をモチーフとして、透明フィルムに大量の水滴を印刷し、中吊り広告に汗をかかせたというわけです!

一見すると何かわかりませんが、意味がわかると感性を刺激される表現ですね。こんな特殊な印刷もできちゃうことに驚きました。


触れたっていい。

さて、最後は大胆にも"触りたくなる"広告。

「都会のなかで"ほっこり"しちゃおう。
思わず触りたくなる広告。」

なんと、中吊りがふっかふかのお布団に。

手掛けたのは寝具メーカー・西川産業。「東京西川」の羽毛布団の広告として、実際の羽毛布団のダウン素材を使った中吊り広告を東京メトロ全線に展開しました。

通勤・通学中にこんな広告、飯テロならぬ布団テロだ・・・。

吊ることができれば、多少厚みのあるものでもいい。「中吊り広告=紙」という固定観念にとらわれると思いつかないアイデアです。

布団の中吊りは東京メトロとしても初の取り組みだったそうで、チャレンジングな試みだったことがわかります。こういう企画をきっかけに、どんどん遊び心のある中吊りが増えているんだなと思いました。


なんでこんなに遊べるんだ?

いくつかの事例を見て、中吊り広告は普通の広告よりも自由度が高いとわかりました。では、なぜこんなに多様なデザインが可能なのでしょうか?

それは、中吊りという"媒体の特性"にあると思います。

吊られるので、一枚絵の広告と違って

・固定の枠がない(大きさ・形状・材質などの制限が減る)
・表裏がある(両面を使える)

既存の広告の形にとらわれず、媒体の特性を活かした結果、遊び心あふれる中吊り広告が生まれている。

まだまだ遊びがいのありそうな中吊り広告。これからもどんな新しい表現や仕掛けが生まれるのか注目しつつ、自分もそんなアイデアを生み出せるように企画の案出しに取り組みたいと思います。


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文:ハギ

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