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2020年の広告で、LGBTQ+はどのように表現されたのか?

どうも、ハギです。

広告業界も大きな変化に直面した2020年。広告は景気に左右されますから、多くの会社が広告量を減らしたり、屋外広告の代わりにWEB広告を出すなど試行錯誤していました。

内容としては、コロナの影響を受けておうち時間の提案や人・物のつながりを再認識させる広告もあれば、いつも通り変わらない姿勢を貫く広告もありました。その中で、個人的に印象に残った2つの広告について書きたいと思います。

自主プレで実現した「Netflix カミングアウト・デー ブランドキャンペーン」

10月7日にNetflix公式アカウントより投稿されたこちらのツイート。

10月11日の国際カミングアウトデーを祝して、LGBTQ+が登場するNetflixオリジナルシリーズ作品の一部シーンを切り取り、「#あたりまえのことをあたりまえに言える時代へ」をメッセージとして発信したキャンペーンです。

作品のシーンを切り取るだけでも素敵に仕上がるNetflixマジックかと思いきや、コピーを読んで思わず目頭が熱くなりました。

調べていくうちにわかったことは、クリエイティブに携わったチームがLGBTQ+(ダイバーシティへの取り組み)に真摯に向き合っているということです。Advertims.の記事を読むと、以下のような取り組みが制作の過程にありました。

・LGBTQ+の人物を平等に取り上げた
→LGBTQ+と言葉では並列するものの、メディアでの露出や当事者ではない人たちの知識には偏りがあります。例えば、ゲイやレズビアンは知っているけど、Q(クィア)って何?ゲイの人はみんな女装するの?というように。だからこそ、取り上げ方で差を作らないようにすることは大切です。

・同性パートナーシップ条例が日本で初めて成立した渋谷区に広告を出した
→利益を考えるなら渋谷区に限定する必要はないと思うのですが、この事実ありきで広告を見ると、LGBTQ+へのリスペクトを一層感じます。

・LGBTQ+に関する知識や理解を持ちながらも、自分たちの常識を疑い、当事者にヒアリングを行った
→これ、本当に大事ですよね。ポジティブなメッセージを伝えるつもりが、無意識に偏見や差別的にも受け取れることを発信してしまう。最近の広告の炎上事例を見てもわかります。だからこそ、リアルな人の声をねじ曲げずに、ちゃんと届けることが見る人の心を打つのではないでしょうか。

これだけ切り取っても、制作側の熱量を感じられます。後から知って驚いたのですが、このキャンペーンは代理店の自主プレゼンによって生まれたもの。だからこそのクオリティかもしれません。

LGBTQ+の元就活生に焦点「#PrideHair」プロジェクト

続いて、9月30日にヘアケアブランドのパンテーン公式アカウントより投稿されたこちらのツイート。

LGBTQ+の元就活生の体験談から、自分らしさを表現できる就職活動について考えた「#PrideHair」プロジェクト。「#PrideHair」という言葉のように、写真に映る2人の力強い表情が印象的です(左はトランスジェンダー男性、右はトランスジェンダー女性)。

トランスジェンダーはゲイやレズビアンに比べると知らない人も多いと思うので、この広告がSNSだけでなく新聞に掲載されたことは、LGBTQ+の存在が世の中に一歩踏み込んだように感じました。

公開されたムービーからは、彼ら彼女らの葛藤や悩みをリアルに感じることができます。

「知る」から「理解」へ

Netflixとパンテーンの広告に共通して思うことは、LGBTQ+だけでなく、自分らしく生きたいというメッセージに多くの人が共感しているということです。

「#あたりまえのことをあたりまえに言える時代へ」のメッセージも、「#PrideHair」プロジェクトも、それぞれの違いを認めながら誰もが自分らしく生きることの大切さを呼びかけており、多くの人に刺さるものとして反響を呼びました。

また、ダイバーシティへの取り組みは「知る」から正しく「理解」する段階に入ってきたということです。

ブレーンの記事によると、2015年に全米で同性婚が認められてから一気に増え出したというLGBTQ+向けの広告。もちろん広告だけではなく、社会課題としての取り組みであったり、さまざまな動きが積み重なってLGBTQ+は世の中に認知されていきました。

しかし、ただ彼ら彼女らを起用して宣伝するだけではこれからの広告の役目として足りないのだと思います。

あたりまえのことをあたりまえに言えるようになるまで

多様性の理解を深める広告を作るには、単発的なものではなく、Netflixのキャンペーンやパンテーンのプロジェクトのように、長期的な取り組みが必要不可欠。大きいメディアを使って発信できる広告は、簡単には解決できない課題に対してアクションを起こす役目が求められています。

2021年もこのような広告が話題に上がってほしいなと思います。

それでは、また。

文:ハギ
@よりみちコピーライター

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