目がだまされる?不思議な現象「タイポグリセミア」を使った広告
最近知って「こんな発想が世の中にあるんだ!」と思った広告があったので、記事で取り上げてみることにしました。
とある現象を使ったユニークな広告事例を2つご紹介します。
SNSでも話題になったので、見たことがある人もいるかもしれません。
どら焼きの老舗が出したキャンペーン広告
こちらは、富山県にあるどら焼きの老舗「中尾清月堂」が2018年に出した広告です。
コピーを読んでみると、あれ?日本語がおかしいのに?読めちゃう!なんとも不思議な感覚。
どうやら、写真の美味しそうなどら焼きの味がリニューアルしたようです。
不自然な日本語なのに無理なく読めてしまうこの現象は「タイポグリセミア」というもの。
科学的には証明されておらず、名前もあくまで俗称らしいですが、脳みそが無意識に言葉を変換しているのがすごいですよね。錯視を利用した絵を見た時のように、人の認知が事実とズレるのが面白いなぁと思いました。
タイポグリセミア現象を使ったこの広告はSNSを中心に話題になり、富山県内のみの販売にも関わらず、どら焼きは過去最高の売り上げを記録しました。
商品のリニューアル報告ですが、手法がユニークだったことで多くの注目を集めることに成功したのです。
これを見てから「タイポグリセミア」というワードと、どら焼きが頭から離れず(笑)、気になって調べてみると、このユニークな手法は最近の広告でも使われていました。
説得力がある!とある英会話教室の広告
2021年に「コペル英会話教室」が出したこちらの広告。
長めのコピーですが、相変わらず読めてしまう。タイポグリセミア恐るべし。
コピーを読み終えると、英会話にチャレンジしてみたい!という前向きな気持ちが湧いてくるのではないでしょうか?
言葉を教える企業が出すメッセージだから、手法がとても効いてますね。
アイデア先行でなく、本当に伝えたいことが見る人にちゃんと伝わっていることがコミュニケーションとして素晴らしいです。
この試みが面白いと思ったのは、コピーライターの視点から2つ理由があります。
1.「読みにくい」という切り口が面白い
2.「読みにくい」原稿は企業側にとって”チャレンジング”
1.「読みにくい」という切り口が面白い
文章って読みやすいに越したことはないのです。広告をつくるときに、読みやすさを無視することはできません。
なぜなら、読みにくい文章は読み手の意欲を削ぎ、最後まで伝えたいことを伝えきれずに終わってしまうことがあるからです。
でも、上にあげた2つの広告は真逆です。タイポグリセミアを使って、わざと文章を読みにくくしてますよね。読みにくさを強調して、見る人の興味を集めています。
綺麗な広告がたくさん並ぶ中でこれは特異な存在。タイポグリセミアという不思議な現象に着目したからこそ、実現・成功したアイデアだと言えます。
2.「読みにくい」原稿は企業側にとって”チャレンジング”
ここで言うチャレンジングというのは、リスクがあるということです。
上2つの広告は話題になった結果、企業の認知度と売り上げ貢献につながっていますが、他の企業が同じことをしたからといって必ずしもうまくいくとは限りません。
伝え方が下手だったら「なんか変な原稿だな?」で終わるかもしれないし、そもそも目に入らない可能性もあります。
それに、タイポグリセミアの文章が大半を占める2つの原稿は、普通の広告と比べて商品情報やブランド名を出すスペースも最小限というか、ほぼないに等しいです。
手法は面白くても、世に出るまでは賭けです。
小さい媒体でもプロに作ってもらえばそれなりのお金がかかりますから、このような変わった広告を企業が出すのはリスクがあるとわかります。
なので実際に、こういうユニークな案は通らない場合もたくさんあります。
そう考えると、作った広告会社だけじゃなく、その案でやってみよう!とアイデアに賛同してくれた企業側もすごいんですよね。
でも、文字チェックの時は注意してね
面白い広告の手法として、「タイポグリセミア」をご紹介しましたが、自分で文章を書く時にも起こる現象なので要注意です!
書き終わった原稿を流し読みをすると、ミスに気づかないことは全然あります。特に、タイプミスによる文字の入れ替えのミスが多いので、パソコンやスマホで文章を書く人は気をつけましょう。
対策としては、見直すときに1文字ずつ読むことでミスを防ぐことができます。
noteの注目記事にも取り上げられた、プロの校閲者から学べる文字チェックの方法を下記にまとめていますので、気になる方は読んでみてください!
文:ハギ
@よりみちコピーライター
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