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北欧の学校に「部活」がない理由

北欧諸国の小学校、中学校、高校にはいわゆる「部活」がない。その代わりに子どもたちは放課後、地域のサークルで活動するのだそう。そのサークルの種類はサッカーから手芸や語学に至るまで多様で、地域の子どもから大人まで所属し、みんなだいたい複数のサークルに所属して曜日ごとに各サークルに出かけて活動に参加している。学校を卒業してもずっと同じメンバーで続けられるために「安心安全な居場所」としても機能している。

日本も学校の先生の労働時間が問題になっているけど、大きな負担のひとつである部活をやめてこのような地域サークルに移行すると、先生の労働時間のみならずいじめの問題、社会的孤立などのいろんな問題が解決するのでは…と思うのだが。

ちなみに英国人ジャーナリスト、マイケル・ブース氏が北欧諸国の国民性を実際に各地に滞在してインタビューをし、それぞれの国の国民性をイギリス人らしいシニカルな視点も織り交ぜてユーモアたっぷりに表現したこちらの本によると

デンマークには、地方レベルの団体が8万3000、国レベルの団体が3000あり国民一人が平均三つ以上の団体に所属している。
(中略)
デンマークの組織には幅広い階層の人がいるということだ。例えば私の友人が週に一度参加している屋内ホッケー同好会には、工場労働者が一人、医師が一人、中間管理職タイプの人たちが数人、森林管理官が一人いる。
(中略)
北欧のほかの国々も同好会や団体活動が好きだ。スウェーデンの労働組合の組合員数はデンマークよりも多いし、時間が空いていれば特にボランティア活動に熱心だ。(中略)フィンランド人も仕事帰りにさまざまな教室に通うことでよく知られている。
ーマイケル・ブース『限りなく完璧に近い人々 なぜ北欧の暮らしは世界一幸せなのか?』角川書店,2016,p59

(ちなみにデンマーク在住の彼が地域の合唱サークルの合宿に参加したときの様子は笑いすぎてお腹痛くなるので電車で読むのはオススメしない)

これは、地域活動を運営する大人が、どんな仕事であろうと残業なしで帰れるからこそ実現できているという側面もある。子どもにとっても、放課後まで同じ学校同じ年代の人たちと顔をあわせるよりも地域の様々な職業の大人と触れ合う方ことで人生の選択の幅が増えるのではないかと思うがどうだろうか。


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