目標に最速で行ける道とは、最短の道ではなく、失敗がデザインされた道(前編)
こんにちは。米川(@yoneshi0320)です。
これから求められる人材、「バフ人材」。彼ら彼女らが発揮する「バフ(=チームの能力を最大限発揮させる行為)」に関するnoteです。
今回も、バフ人材に必要な要素、「素早さ」について。
「バフ人材?」という方は、先にこちらをご覧ください。
20秒で読める、要約
・失敗はデザインしたほうが、目標に早く到達できる
・なぜなら、失敗により位置エネルギーが移動エネルギーに変換されるから
・世界の神話には、主人公の「喪失(=失敗)」が共通点にある
・落下による移動エネルギーを、イノベーションに上手くつかっているのが、Amazon
・失敗のなかでも、一発逆転狙った無謀な失敗は避ける
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失敗談が面白い、合理的理由
前回、「面白さには、移動距離が必要」とお伝えしました。
同時に古くから、「成功談よりも、失敗談のほうが聴いてて面白い」、「失敗は成功の母」と言われています。
とはいえ、企画(仕事)やプロジェクトを開始する前は、なるべく失敗したくないもの。
しかし、この直感は無視して、「目標に最速に行くために失敗はむしろ、意図してデザインすべき。」が、ぼくの結論です。
※なお、今回はなぜ失敗のデザインが必要なのか?や、それを企業で応用している事例の解説記事です。
手っ取り早く「失敗のデザイン方法や具体論」が知りたい方は、来週(10月30日)の記事で解説します。→以下をご覧下さい。
なぜ、速いのか?
次の4秒の映像を見てください。
(見づらいですが)球の材質、スタート位置、タイミングは同時。総移動距離は、左のほうがむしろ短い。
にも関わらず、右のダウン→アップを繰り返す球のほうが、速いです。
これは、球の位置エネルギーが移動エネルギーに変換されている。
つまり、速度が上がっているため。
エネルギー(E)は、質量(m)の1/2に、地球の重力加速度(g)と高さ位置(h)、もしくは、速度(v)の2乗をかけたもの、と表されます。
エネルギー(E) = 1/2mgh = 1/2mv^2
つまり、保有エネルギーは両者変わらないものの、右のほうが「移動にエネルギーを多く発揮できているため」、速いのです。
「喪失」によって、移動エネルギーが発露される
「スター・ウォーズ」にも影響を与えた神話学者、ジョゼフ・キャンベル氏は、著書「神話の力」にて、神話の共通項に「喪失」がある、と述べています。
「ふつう英雄の冒険は、なにかを奪われた人物、あるいは自分の社会の構成員にとって可能な、または許されている通常の体験には、なにか大事なものが欠けていると感じている人物の存在からはじまります。」
「それから、この人物は、失ったものを取り戻すため、あるいはなんらかの生命の霊薬を見つけるため、日常生活を超えた一連の冒険の旅に出かけます。」
上記の映像や神話のように、失敗や喪失により、本来のありたい場所から一度、物理/精神的に文字通り「落ちる。」
このとき、持ってはいるが見えない位置エネルギーが、移動エネルギーとしてはじめて、発揮されるのです。
開発前にプレスリリースを書く、Amazon
このように移動エネルギーを高め、イノベーションに応用している企業が、Amazonです。
Amazonでは、プロジェクトの目的が決まった段階でメンバーを集め、Goalや開発体制・スケジュールを決める前に、プレスリリースを書きます。
・世の中に、どんなインパクトがあるのか?
・顧客はいつ、どこで、どんな出会い方をするのか?
・どんな見た目、使い心地のサービスなのか?
・既存の何と比較して、どんなメリットが顧客にあるのか?
これから開発するサービスを明確にし、心からワクワクすることで、まず「位置エネルギーそのもの」を高めています。
そこから現在をみる=backwardsする ことで、高い位置エネルギーを移動エネルギーに変換し、速度の極大化を目指す。ゆえに、この手法は「Working Backwards」と呼ばれています。
一発逆転は、狙わない
とはいえ、はじめから失敗込みで考えるのは、最初は抵抗があると思います。
そしてもちろん、移動エネルギーを高めるにしても「無謀な判断での失敗(=破滅への道)」は、避けるべきです。
無謀な判断での失敗とは、他者の生まれや性別、容姿など相手にほぼ選択権の無い事柄を、選択肢として扱うことから生まれます。
たとえば、自社や自分の優位性を表明するために、競合や相手の人種・家柄・生まれを引き合いに出す。
2020年代にそんな愚策が効果的でないのは、自明です。
が、人も企業も追い詰められると、一発逆転を狙う心理※がある。
これは知っておいて、損はありません
(※詳細は割愛します。が、気になる方はプロスペクト理論で調べてみてください。)
それでも失敗が怖い方、こちらもオススメです。
どうデザインするのか?
それでは、失敗からすぐ立ち直り、目標への移動エネルギーにつなげるにはどうしたらいいのか?のデザインについて。
具体的な方法は……長くなってしまうので、次回後編でお伝えします。
まとめ
・失敗はデザインしたほうが、目標に早く到達できる
・なぜなら、失敗により位置エネルギーが移動エネルギーに変換されるから
・世界の神話には、主人公の「喪失(=失敗)」が共通点にある
・落下による移動エネルギーを、イノベーションに上手くつかっているのが、Amazon
・失敗のなかでも、一発逆転狙った無謀な失敗は避ける
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次回後編は、2021年10月30日(土)更新
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