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企画が立ち上がる瞬間:『走れメロスたち改訂版』を出すまでの記録1

これは『走れメロスたち改訂版』を出すまでの記録。

いま、『走れメロスたち改訂版』のプレイテストをしている。

余談。ずーっと「テストプレイ」って言ってた。最近「プレイテスト」と書いてあるのをちょくちょく見て、どっちー?ってなってる。英語だとplaytestで、それに合わせようということなのかしらん。『テストプレイなんてしないよ』の英語タイトル『We Didn’t Playtest This Either!』なのかー!

『走れメロスたち』は、2019年5月25日ゲームマーケット2019春で頒布した太宰治原作×米光一成作のゲーム。
「ゲームづくり道場」で、文学作品をモチーフにゲームを作って「文学ゲーム全集」を作ろう!という企画のなかで制作した。

そのときの「ゲームづくり道場」の様子は、月一連載中なので、ぜひ読んでください。

2019年版『走れメロスたち』は100個ぐらい作って完売。その後、もう100個つくってこちらも完売。

グラフィックデザインは、慣れない「Illustrator」を使ってがんばって自分でやった。パッケージの絵を描いたり、カードはフリーのシルエットデザインを使ったり。

というわけで、極インディペンデントな少部数の作品だ。

文学ゲーム全集は、半年の講座を通して、参加メンバーが「文学ゲーム」を作り、それをずらりと並べて「文学ゲーム全集」が完成。ゲームマーケット2019春でお披露目をしました。

『走るメロスたち』は、太宰治『走れメロス』の本質的な部分だけをピックアップしてゲーム化した。
どれだけ削ぎ落とせるかがポイントだ。
物語の中の熱い展開は、カードの種類「走るメロス」「激怒メロス」「寝るメロス」「全裸メロス」「敏感メロス」に込めた。「邪智暴虐の王」の存在も、ジョーカーのようなカードにした。
セリヌンティウスも、最後に緋のマントを捧げる少女も、ゲームのなかでは登場しない。

バカになって本質をつかむ方法は、以下で解説している。

『走るメロスたち』は、好評をもって受け入れられ、楽しく遊んでもらえた。

ぼくは、自分で作ったゲームを遊ぶのが好きなので、ときどき『走るメロスたち』を遊んでいる。
遊ぶたびに、セリヌンティウスや緋のマントを捧げる少女も出してあげたいと思うようになった。
本質として切り詰めた物語の部分を、ゲームとして再び込められないか。

あの『走れメロス』の波乱万丈なメロスの心の動きを体感するようなゲームにできないだろうか。しかも、それが固定化された物語ではなく、プレイによって変化する激動のインタラクティブな物語として。

こうした思いから、新たなる『走るメロスたち』の企画案が立ち上がったのだ!

本質として切り詰めた物語の部分を、ゲームとして再び込められないか。
その思いから、『走るメロスたちレガシー』の企画が浮かんだ。
レガシーというのは、『パンデミック:レガシー』を代表とするゲームジャンルだ。
ゲームをプレイした結果、ボードにシールを貼ったり、箱を開けて新たなチップが出現したり、マニュアルにシールを貼ったり、キャラクターシートに新たなスキルのシールを貼ったりする。
遊んだ結果によって、ゲームのコンポーネントが不可逆に変化していくのだ。

『パンデミック:レガシー シーズン0』 写真の下部にある28,27と数字のあるシートがシール(すでにいくつか剥がしてルールブックに貼っている)。ゲーム結果によってボードにも監視マーク(赤い目)などのシールを貼っている。


つまり1度しか遊べないのだが、その1度がインタラクティブなストーリーになる。

この2年ほど、ぼくは『パンデミック:レガシー』にハマり、シリーズのシーズン1、シーズン2、シーズン0をクリアした。

『走るメロスたち』をレガシーにできないか?

そういう意識で『走るメロスたち』を遊んでいると、また新たな発見もあり、ひとまず将来レガシーに拡張する前提で、『走るメロスたち』を作り直さねばならぬ! と決意したのだった。


以下、プレイテストの詳細な記録。

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