#54 AIに仕事をとられないためには? FQ Kids編集長に聞くSTEAM教育のパワー
※この記事は、Podcastの内容を一部ピックアップしてお届けしています。詳しい内容は本編をチェックしてくださいね。
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「おうち読書のミカタラジオ」特別編。 FQ Kidsの編集長である征矢里沙さんをゲストにお迎えして、Yondemy代表・笹沼との対談をお届けします!
AI時代を生き抜く力を育む「STEAM教育」について、たっぷりお話ししていただきました。
今回のゲスト
AIは非認知能力が苦手!
笹沼(以下「笹」):それでは、今日のお話は「AI」から始めていこうと思います。最近、AIの進化が目覚ましいですよね。
ニュースで「ChatGPT」というワードを聞くことも多いんじゃないでしょうか。
ChatGPTは、とても自然な言葉遣いで質問に対して答えてくれるAIなんです。
使い方をしっかり考えれば、ビジネスなどの場面ではすごく役に立ちます。
一方で、まさに今、お子さんたちが「夏休みの宿題」にChatGPTを使ってしまうんじゃないか、といった議論もありますよね。
今回のFQ Kidsでは、「将来AIに取られてしまう・取られにくい仕事」について掲載されていると聞いたのですが……とっても気になります。
征矢さん(以下「征」):2015年に発表された野村総研の研究によれば、今ある仕事の49%が将来 AIやロボットに代替されるらしいんです。
笹:具体的に、どんな仕事がAIに奪われてしまうんでしょうか?
征:特に身近な例で言うと、スーパーの店員さんですね。
レジの自動化やセルフレジの導入で、今まさに代替が進んでいます。
笹:コンビニでも、セルフレジの導入が進んでいますよね。
「機械にできるところは機械に任せよう」という動きが広がってきているのを感じます。
征:あとは、子どもの夢として上位に上がる電車やバスの運転士さんなども機械に取って代わられると言われています。
今はすごく自動運転の導入が広がってきているので。
笹:確かに、アメリカでも、AIにタクシーの運転をさせる実証実験が実際に公道で行われたというニュースを見たことがあります。
征:あとは、受付係や案内係の方もそうです。経理や事務の作業や、警備もAIに任せられると言われています。
さらに、プログラマー・教育者・研究者と言った、これまでは「AIにはできない」と思われていたことも、AIに取って代わられる可能性が高くなっています。
笹:確かに、僕も日々経営やビジネスを勉強していると、コピーライターやデザイナーなどもだんだん「AIに任せられるんじゃないか?」という声が出てきていますね。
実際、うまく使えると、人間が作ったものと区別がつかないこともあります……。
AIに取られにくい仕事は「ネット上で完結しない」
笹:一方で、AIにとって代わられにくいと言われている職業もありますよね。
そうした職業の、「これが必要だから、AIにはできない!」といったポイントはどこになんでしょう?
征:カギはいくつかあるのですが……野村総研さんの研究で挙げられているポイントは3つあります。
①「業務内容が非定型」
②「コミュニケーション・協調性・思いやり」
③「創造的な思考」
笹:FQ Kidsさんの中で、もしくは、征矢さんご自身がお子さんと接していかれる中で、特に注目していることや大切にしていることはなんですか?
征:コミュニケーション能力や思いやりですね。
例えば、すごく仕事のできる人がいたとします。
でも、その人がすごく感じが悪くて、一緒に働きたくないと思うような人だったら、AIに任せたほうが楽じゃないですか?
「この人にやってもらう意味がある」「この人に任せたい!」と思われるような人になることが、これからもっと大事になってくるんだろうと思います。
笹:すごく納得しました。
AIって、インターネット上のあらゆる情報を学んでいるわけです。
ということは、これまでに誰かが思いついたことのあるアイディアや、知識として確立されている分野なら、AIがほぼすべて答えてくれるんですよね。
ただ、コミュニケーションや人の気持ちに関することって、インターネット上の情報だけではわからないことも多い。
そういう、ネットで完結できないことに注目するというのは、すごく理にかなっていると思います。
STEAM教育が、どんな時代でもお子さんを輝かせる
笹:AIに真似できない力を育てるために、教育や日頃の子育てでできることについて、もう少し深掘りしていきたいと思います。
FQ Kidsの今回の特集では「STEAM教育」がひとつのキーワードだと伺いました。
「STEAM教育」ってどんなものか、簡単にご説明いただいてもいいですか?
征:これ、昔は理工系の知識を育むための「STEM教育」だったんですよね。
最初は「科学(Science)」「技術(Technology)」「工学(Engineering)」「数学(Mathmatics)」だけだったんです。
でも、そこだけに偏らない総合的な人材を育てるために、ここに「アート(Arts)」が加わって、今は「STEAM教育」となりました。
「何を、何のために、どういうふうに創造していくのか」という感覚や、感性の部分を育てるためにアートが加わったんです。
「アート」と言っても、美術や音楽とかの芸術だけではなくて、「リベラルアーツ」、つまり「教養」の意味も含められているんですよね。
心理学や哲学とか。
STEM教育に足りないものを「アート」の部分に全部詰めているとも言えます。
そして「足りない」ものが、まさに先ほどお話しした、人の感情の理解などの「AIにはできないこと」にもつながってくると思うんです。
笹:FQ Kidsさんの記事では「アート感覚」「創造力」「問題解決能力」と言われていた力ですね。
このうち、やはり「アート」と入っている「アート感覚」が気になります。 知識としてわかるところとは別の領域、いま扱っている問題が何のためにあって、どんなもので、どういうふうに役立てるんだろう……ということを理解してコントロールする力というイメージですかね。
例えば歴史学だと、ただ史料を読むだけならAIにもできる。
でも、そこから歴史の流れをしっかりとストーリー付けたり、「歴史ってそもそもなんだろう」と問い直すというような。
征:そうですね。 AIはプログラムなので、自分がやっていることの意味はわかっていない、というか、無いんですよ。
だから、単に知識を得るだけではなくて、そこで生み出される文脈やつながりを踏まえて、これからの時代に求められることを考えるのが人間の役割なんだと思います。
笹:「アート感覚」や「問題解決能力」っていうと、なんだかセンスのように感じられてしまいます。
でも、「センスは知識で身につけられる」というお話をこのミカタラジオでもしたことがあるんです。
センスって、実は天性のものというより「知識のネットワーク」に近いんですよね。
本をたくさん読んでいて、しかもしっかりと読書習慣がついていると、どんどん知識が頭の中に蓄えられていきます。
読み続けていると「あ、このシーン前に読んだのと似ている!」「これってそういうことだったのか」とつながって、そのネットワークがセンスとして生きてくるんですよね。
読書をしていると、教科に関わらず雪だるま式に教養をつけてセンスを磨いていく、ということができるんです。
▽ミカタラジオ第40回「知識の積み重ねが、センスという誰にも奪われない武器になる」は、こちらからご覧ください。
おうちSTEAM教育のカギは好奇心
笹:さて、「そうはいっても、何から始めたらいいの?」という保護者の方も多いんじゃないんでしょうか?
お子さんとの日々の暮らしの中で、「ここからなら誰でもできる」という「おうちSTEAM教育」って、何かありますか?
征:まず、お子さんの好奇心を大事にすることですね。
とは言っても、「じゃあプログラミングを習わせよう」「ロボット作りの教室に通わせなきゃ!」とか、焦らなくても大丈夫です。
ご自宅で折り紙を折ったり、プラレールで遊んだりするのもSTEAM教育の第一歩ですよ。
何かを作り出そうとすること、そのためにはどうしたらいいのか考えながら何かに取り組むことがすごく大事なんです。
だから、まずは、お子さんが「こういうもの作りたい!」「あれやってみたい!」という声に耳を傾けて、実際に行動に移すためにサポートしてあげてください。
笹:なるほど、ありがとうございます。ぜひ皆さんもちょっと試してみて、お子さんの反応をお便りで教えてください!
読書を習慣化しておけば、非認知能力を育みつづけられる!
笹:今日お話を聞いてみて「STEAM教育のArtsの部分と読書って、結構相性がいいな」と思いました。
たとえば、「知識だけではわからないことを想像・創造する」というのは、読書でいうと「行間を読む」という力になると思うんですよ。
直接の描写がないところも想像で補って、ちゃんと登場人物の気持ちや言動を理解するのは読書の楽しみ方の一つですから。
そして、やっぱり、テストの点とかで数値化できるところって、AIに取って代わられやすいと思うんです。
数値には表れない「非認知能力」やコミュニケーション能力、アート感覚をしっかりと育むこと。
これが、AI時代を生き抜く一つの手段と言えるかもしれませんね。
征:読書を続けていくと、そういう数値化できない力をずっと育み続けられるのがすごく良いと思います。
その中で、得た知識を結び付けて「センス」として確立したり、自分が感じたことや得た知識の意味を考えるということもできますよね。
読んだ本がそもそも何かに興味を持つきっかけになることもあります。
笹:僕たちヨンデミーも、お子さんがお子さんらしく成長していくためのサポートを、読書教育を通じてしていきたいと思います。
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