重役はアリの観察がお好き
経営企画部と経理部との、ある会議でのこと。
スクリーンに映された、予算・実績資料を見ていた一同。
「〇〇費が増えた」「◇◇事業部が苦戦してる」など、
社歴が長く、数字に詳しい両部の副部長クラス同士は、
各部門の細かい数値一覧の映されたスクリーンを見ながら、
前の方の席で、2人だけの議論で盛り上がっていました。
それをただ聞いているだけの、両部長クラス(笑)。
経営企画部の部長は、親会社からの出向組で、
何でも、営業畑で30年選手とのこと。
副部長クラスが2人で喋り続けている傍ら、
後ろの方の席で、ボソッとぼやく部長の声が聞こえてきました。
"ちっちゃくて、見えねぇよ…"
私はその会議で、それが"一番大事な内容"だと判断した為、
ノートの片隅に「ちっちゃくて、見えねぇよ」の言葉を、即座にメモ(笑)。
また、ある日の午前中。
部長と副部長に連れられ、社長室へと向かった時。
2次修正予算の、各事業部の提出分をまとめた、
集計結果を社長に報告し、今後の方針を打ち合わせました。
中期計画の目標利益額に載せるには、あと△△百万円未達。
売上総利益(粗利)を伸ばすか、経費を削るか。
各部門に、その経営努力をどう割り振るのか。
それを話し合う為に、副部長が社長に渡した数値資料。
紙を渡されるや否や、すぐさま老眼鏡をかけた社長は(笑)、
数限りない細かいマスに潜む、小さな数字の集合体と、
難しい顔をしながら、睨めっこを始めました。
そして昨日。
社内・社外役員を集めて開かれた、四半期報告会議。
各部門の予算・実績資料を紙で渡された役員達は、
そこに記された細かい数字を前に、
顔を近づけたり、遠ざけたりしながら(笑)、
ウンウン唸りつつ、各事業部長の報告を聴いていました。
いつから、経営報告資料は"アリの巣"になったのでしょうか(笑)。
もう良い歳した偉いオジサン達は、なぜ揃いも揃って、
"アリの観察"みたいなことを、延々とやり続けるのでしょう。
最初に挙げた、企画と経理の会議の際に、企画部長が、
"□□事業部の販管費の前四半期比は?"と聞いた場面。
あの時、スクリーンにデカデカと、
例えば、こんな風に出せないものでしょうか(笑)。
聞きたいことだけ、バーンと出そうよと。
部長にも、社長にも、社外役員の方々にも。
私の今後の業務改善として、経営層が気になる数字を、
"1枚で端的に表す"手法について、積極的に検討していきます。
小さな数字や文字と、ただ睨めっこしているような余裕は、
間もなく、日本企業には無くなっていく気がしてなりません。
皆さんはいかがでしょうか。
お勤めの職場で、"アリの観察"をしている重役はいませんか?(笑)
その100円玉が、誰かの生きがいになります!