お腹ゴロリンピック
今日もお疲れ様でした。
天気も悪く、体がダル重だった方も多いのではないでしょうか。
さて、今日も昨日に引き続き「ストレスジャンププール」、
略して「#SJP」というサークル企画をやりたいと思います。
小説を殴り書きする、というコンセプトの下(笑)、
線路の代わりに"不思議なプール"に飛び込むと、
"最高の世界"に行けるというフォーマットに則って、
皆さんと、夢のような小説を書いていこうという企画です。
前回は、JK100人とタピオカを飲む話を書きましたが(笑)、
果たして今回は、どんな話が飛び出すのでしょうか。
ストレスが溜まりに溜まってどうしましょうという皆さんは、
是非、一緒に不思議なプールに飛び込んで頂ければ幸いです。
~ストレスジャンププール(#SJP)~
2時間かかる、高校への通学路。
素晴らしいハイスクールライフを夢見た少年は、
入学して1ヶ月で、クラスメイトのいじめの標的となり、
毎日罵声を浴びながら、ありとあらゆる暴力に晒されていた。
「てめぇ、キモいんだよ」
「死ね、クズ」
「ゴミ野郎」
椅子やら、ボールやら、鉄バットやら、自転車やら、
ありとあらゆる物が、凶器として彼の頭上に降り注いだ。
今日も今日とて、登校中の少年の足取りは重かった。
「俺みたいなゴミは、もう生きてる価値無いよな…」
自宅の最寄り駅のホームで、ぼんやりと足元を眺めていると、
気付いた時には、彼は線路ギリギリのところまで歩を進めていた。
「ここで死んだら、クラスメイト達もきっと、喜ぶに違いない…」
電車は、もうすぐそこまで迫っていた。
「こっちだよ」
すると突然、小柄な女性が彼の手を引き、別の方向へと走り出した。
「えっ、あ、あのちょっと…」
一体何が起きたのか分からず、ただ女性に引っ張られて走る少年。
ホームの端まで辿り着くと、そこから先には、
何とも表現のし難い、不思議なプールが広がっていた。
「君が飛び込むのは、こっち」
小柄な女性に促され、「これは、…一体!?」と戸惑った少年だったが、
もう電車に乗って高校に行くのもどの道嫌だったので、
女性に言われるがままに、目の前のプールへと飛び込んだ。
着水と共に、一瞬何も見えなくなったかと思うと、
少しして、彼の視界に新しい世界が飛び込んできた。
「あれ、…ここは?」
少年が周りを見渡すと、そこは見覚えのある部屋。
「おい見ろよ、世の中凄いことになってるぜ」
声をかけられ振り向くと、そこには中学時代の友人の姿。
少年がいる場所は、よく遊びに行った彼の家だった。
見慣れた彼の部屋のTVに、とんでもないニュースが映されていた。
"『新型ゴロリンウィルス』により、全国的な学級崩壊"
"学校に行こうとすると、腹痛で寝転んでしまう症状"
"驚異的な感染スピードにより、罹患率は既に99.9%"
"現在の医療技術では、完治させるのに最短で20年を要する"
"日本中の学校が生徒0となり、教職員達は大パニック!"
信じられないようなニュースを目にしながら、友人は笑って言った。
「もう、あと20年は学校行けねぇな。いやー、残念なこった!
…つー訳で、ゲームしようぜ!」
お互い高校生になっても、中学の頃と何も変わらない友人。
社会は凄いことになっているが、彼がいつものままで安心した少年。
ピンポーン、とインターホンが鳴ると、
中学時代につるんだ、他の仲間達も詰めかけてきた。
「うーっす」
「おじゃましまーす」
「ちわーす」
「こんちゃーす」
ゾロゾロと押しかけてくる有象無象達によって、
2人だけだった部屋も、たちまち人口密度が上がった。
「あら、いらっしゃい。皆、お腹はゴロリンしてないかしら?」
そう尋ねるのは、いつも優しい友人のお母さんだ。
「学校行ってないんで、大丈夫でーっす!!」と揃って返事すると、
「あら、良かった。じゃ、これでも食べてね」と言って、
お母さんが、大量のお菓子を盛った大皿を持ってきてくれた。
大きなグラスに注がれた、キンキンに冷えたコーラも一緒だ。
「ありがとうございまーす!」
「いただきまーす!」
「よーし、じゃ皆でスマブラやろうぜー!」
山盛りのお菓子と共に、中学時代の男連中同士による、
熱く激しい戦いの火蓋は、切って落とされたのであった…
翌朝。
「はっ…! あれ、ここは…?」
少年が目を覚ますと、自宅の寝室だった。
「夢かよ…」
束の間の楽しい時間が現実では無かったと知り、
愕然とする少年であったが、机の上に一枚のメモを見つけた。
「何だ、この紙?」
そのメモを手に取ると、そこにはこう記されていた。
"また俺ん家で遊ぼうぜ! いつものホームで待ってるからな!"
~ストレスジャンププール(#SJP) 終わり~
その100円玉が、誰かの生きがいになります!