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【カオリ】異国の姓

ほらやっぱり僕は君がいないと駄目なんだ。
わかってるんだ そんなこと
君が僕を否定するというには
優しすぎる その音を頭に響かせながら
僕は違うと呟きながら歩くしか
そうじゃないと進めない弱い
生き物だから
そんな自分も好きでいたけど
ここを居心地良くつくえもしたけれど
君らの見てる景色をこれでも見ようと
光に焦がれるだけで
体は疲労し溶けそうだった
遅いよ。
遅かったよ。
待ちくたびれたよ。
いかないでよ。
いくぐらいなら
僕みたいに半分溶けちゃえばいいじゃない。
それを良しとしないとうたうのに
謳うのに。
僕が沈んでばかりいるから
亡くしてしまった大切な
光の群。
水中で響く音は清らかで
僕を水面に押し上げる。
そんな音を君のような優しい否定は出来なくて
繰り返し海底に舞い戻る。
その道中 歪んだ視界が色づくのを僕が
美しいと思えるならさ
そこに君の声まで重なるならさ
ああ
お待たせ
そうだ

これでやっと僕は進めるよ。


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