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敬意を表されるのはだーれだ


まわりくどいのが好きではないのでストレートに書くが、今回の主要登場人物は名古屋市長の河村たかしである。
そう、例の、金メダル噛む系市長。

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その日その時、私は車を運転中だった。
ノドがカラカラだった。しかも、どうも、気分も落ち着かず、一刻も早くアイスコーヒーが飲みたかった。

アイスコーヒーたってコンビニので十分なわけで、それでもかすかなこだわりとしてセブンイレブンのキリマンジャロのアイスコーヒーが飲みたかった。次はファミリーマートのアイスコーヒーか。つまりベストはセブンイレブン、次善がファミリーマートということになる。

運転しながら、コンビニはないかと遠方を確認している。そんな気もそぞろな状況だったので、ラジオから流れるその番組が何なのか、また誰がそんな話をしていたのかは定かではない。

話題はわかっていた。コトが起こってからすでに数日が経っていたが、例の金メダル噛む系市長のことである。そしてそこでかわされていた発言は膝を打つものだった。

そもそも金メダリストが市長を表敬訪問するということ自体がおかしい


数々の苦難を打ち破って、オリンピックで金メダルという輝かしい栄誉を得たスポーツ選手が、何故<たかが>選挙で勝っただけの人物に「敬意を表するために」「わざわざ訪問する」ということがおかしいのではないか、と。
まったくその通りで、敬意を表するのは市長の側である。

当市市民の貴方が金メダルを獲得された。ついては市民を代表して市長の私が表敬訪問をしたいのだが

たしかに、どう考えてもこれが普通というか話の筋が通っている。私としても、金メダルを噛んだ云々よりもそれまでの態度自体が問題だとはずっと思っていた。

本人はフランクな雰囲気で、と思っていたのかもしれないが、誰がどう見ても市長がひとり、ふんぞり返ってるだけであり、正直気分が悪かった。
本当、たかが選挙に勝ったくらいで何が偉いのか。市民のために頑張ってると言われても、それが仕事だろ、仕事を頑張るなんてみんなやってることじゃないか。

以前、上岡龍太郎という芸人のことを書いたが、彼の著作の中にかつての相方・横山ノックとの舞台上でのネタを記した箇所がある。

ノック「ポンポンポンポン叩くな!こう見えても参議員やぞ」
上岡「俺は有権者やないか」
ノック「どうも失礼しました」


当時、横山ノックは国会議員だったのでこうしたネタが成立したのだが、まったく、見事な風刺である。

政治家の先生と一般庶民、こう書けばいかにも政治家の方が偉いように思えるが、一般庶民ではなく「有権者」とすれば、これはもう、どっちが偉いかわからなくなる。

だいたい、選挙期間中はペコペコ頭を下げて一般庶民を有権者扱いしていた人物が、選挙が終わって当選すると、手のひらを返してオレは一般庶民より偉いんだ、となる神経がわからない。もちろん政治家全員が全員そうだとはいわないが、それでもあの表敬訪問を見る限りは、河村たかしはそれに該当するような気がするのだ。

あくまで私個人の考えだが、政治家と有権者は持ちつ持たれつで、どちらが偉いわけでもない。

ましてや金メダリストのような偉業を達成した人物になると、これははっきり、政治家よりも立派だ、と認めることができるはずなのだ。となると、やはり、表敬訪問すべきは政治家側ではないのか。少なくとも政治家にとって表敬訪問は公務であり、そのことにたいしても給与が支払われているのだから。

そんなことを考えながら運転していると、運良くセブンイレブンを発見した。

何故かそのセブンイレブンはキリマンジャロのアイスコーヒーが置いてなかったが、まぁ、そこは妥協しておく。

ふぅ

苦味が口に広がって、私は一息ついた。よし、帰るか。また雨が降り出してきた。いったいこの長雨はいつまで続くのか。ヤになっちゃうよなぁまったく、とひとりごちながら、私はエンジンをかけた。


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