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通りな
「千マイルブルース」収録作品
弟の結婚式で帰郷した俺。
弟の友人たちは俺を覚えていたが、俺はまったく……。
通りな
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「シンヤ、ボサッとしてねえで、注いでまわってこい!」
しょうがねえ。親父から言われ、俺はウイスキーを飲み干し、親族席を立ち上がった。
今日は弟の結婚式だ。式も進み、親戚中からの「変わり者バッシング」もようやく一段落し、やっとゆっくり飲めると思ったのだが。
ふらふらと式場を歩いていると、「オニーサン!」と呼ぶ声がする。見れば弟の同級生グループの席だ。しかし、誰も見覚えがない。そりゃあそうだ。この地を出てもう二十年以上が経つ。それに、弟の友人とはロクに話をしたことがない。俺がバリバリの不良だったせいか、皆ビビッて近づいてこなかったのだ。
「ごぶさたしています。覚えてますか?」
「……ああ、君ね。もちろんだとも、はっはっはっ。弟が世話になったねえ。まあ飲みなさい」
適当に調子を合わせながら席を見渡すと、マジメそうな奴ばかり並んでいる。あの頃は兄さん怖かったよなあ、などと勝手に盛り上がり、俺は勝手に飲み始めた。
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