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追憶のミーコ その7


当時住んでいたアパートには、部屋ごとの庭とは別に、
共用の大きな庭があった。
大きな庭には、私のバイクが止めてある。
この大きな庭も、ミーコのお気に入りの場所だった。
日向ぼっこをしたり、狩りに興じたり、草むらを探検したり。
私が不在の時は、たいていこの庭で、ひとりで遊んでいた。

また、私のバイクも好きなようであった。
バイクカバーの上で寝ていたりするのだ。

けれどこれでは、私が乗ることができない。
バイクは取材する時の足であり、
紀行文を書く際の相棒である。
「ミーコ、バイク出すから、どきなさい」
そう言うと、ミーコは素直に従う。
そうして取材先や旅先から帰宅すると、
バイクカバーにミーコがくるまっている。
バイクではなく、バイクカバーが好きだったのだろうか。
ともかく、待っていてくれたことは嬉しかった。
ウインクをよこし、「おかえりなさい」と鳴いてくれるのだ。

ここまで書き、今頃気づく。
このバイクに乗る人を守ってくれるよう、
ミーコは祈ってくれていたのではないだろうか?

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