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2018年9月の記事一覧
神影鎧装レツオウガ 第三話
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Chapter01 邂逅 03
距離、約十メートル。
影絵に沈んだ廊下の真ん中で、辰巳とフェンリルは相対する。かたや使命のために、かたや夢のために。
そんな二人の後方、成り行きで立会人をしている風葉《かざは》には、ひたすら固唾を飲む事しか出来なかった。
二人は、動かない。無表情に絡み合う視線と殺気だけが、緩やかに相手の隙を探り続けている。
そうして、どれく
神影鎧装レツオウガ 第一話 【後編】
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Chapter01 邂逅 01 【後編】 みし、と震える空気。
たったそれだけで、世界は影色に沈んだ。
「……なに、これ」
つぶやく風葉。
一直線の廊下。朝日が差し込む窓。向かいに見える北校舎。並んでいる教室の扉。歩いて来る担任の先生方、等々。
風葉の目に映っている全てのモノから、精彩が失われていた。
比喩ではない。本当に、あらゆる色が、薄墨色のベールの向こ
神影鎧装レツオウガ 第一話 【前編】
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Chapter01 邂逅 01 【前編】 五辻辰巳が怪物を消し飛ばした。その一部始終を、霧宮風葉《きりみや かざは》は呆然と見ていた。
怪物――確か、リザードマンと言っていただろうか。RPGとかによく出て来る、名前通りのトカゲ人間達を、辰巳は一撃で全滅させたのだ。
「うわ、わ、ぁ」
風葉は動けない。
通いなれた日乃栄《ひのえ》高校の廊下に、非常識な怪物が現れたから、という