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【住む場所が人を創る】鎌倉への移住

 「鎌倉への移住から、私の人生の転機は始まった」

 さかのぼること8年。あの時の自分が鎌倉への移住を決意していなかったら、会社を卒業して開業する選択もしなかったかも…
 2022年現在、鎌倉で日本ワイン専門店を開こうとする私の思考と価値観に、鎌倉に住んだことがどう影響しているかを綴ります。


鎌倉へ、移住を決心した理由

 私が神奈川県鎌倉市へ移住したのは2014年。社会人になって4年目の事でした。当時、勤務地は六本木、住まいは川崎市宮前区でした。

 そんな私が鎌倉に良く足を運ぶきっかけになったのはサーフィン。当時の彼氏(現在の夫)の影響でサーフィンを始め、天気の良い週末はサーフィンをしに湘南エリアへよく出かけるようになりました。
「太陽、海、それだけ!」という景色に、この気持ち良さを平日の分も貯め込まないと!とふか~く深呼吸していたのを覚えています。

現在住んでいる家の近くの材木座海岸は夕日が最高です

 私がサーフィン初心者だったため、湘南エリアの中でも人が少なく波が穏やかな、鎌倉市材木座・由比ガ浜エリアに来ることが多くなりました。そこで感じたのが、ちょうど良いアットホーム感。
 昔ながらの八百屋や魚屋といった専門店、個人経営のカフェなどが、地域に根差していて、そこで働く人と生活する人のつながりが感じられる。鎌倉、いいとこだなぁと思いながら帰宅して、平日を迎えるわけです。

 当時私が住んでいた川崎市宮前区の賃貸マンションの中で、知り合いになる人など一人もおらず。不便ではありませんでしたが、自分の中に「この町が好き!」という感情は湧きませんでした。

 当時はまだ独身でしたが、鎌倉で顔なじみになったサーフショップのオーナーが、「ここらへんはね、商店の人達の目があるから、皆で子供らを見守ってるんだよ」という事をおっしゃっていて、将来もし子供ができたら…今後の自分たちの「暮らし」を「どこで」創っていくか、その選択肢として鎌倉を考えるようになりました。

 週末の湘南エリアへの遠征費(笑)がかさんで問題になっていたこともあり、割と即決行動派の私たちは、とりあえず試してみよう!という事で移住を決意。大仏があって有名な鎌倉市の長谷エリアに家賃12万円(駐車場込)の2LDKのアパートを借り、引っ越しました。


つくり手と一緒に創ったマイホーム

 鎌倉が心地よく豊かに暮らせる場所だと確信出来たので、すぐに夫と定住する決意を固めました。まさに「ビジョンとミッション」の記事で書いたVISINO DRIVENの思考でした。鎌倉市の材木座エリアに土地を購入。家づくりは、「自分たちのライフスタイルに合った家を創りたい」という想いを具現化してくれる工務店を選びたい。10社近い工務店や設計事務所の話を聞いて、「自然素材へのこだわり」と「施主参加型」が特徴の工務店を選びました。

 この時期は「家づくり」に没入した日々でした。工務店との設計打合せは20回以上。自分たちの身長差(夫183cm 私147cm)を考慮した台所の高さ、自分たちの持ち物をすべてリストアップして考えた収納や棚の位置、海から帰宅した時の導線を考えた玄関と風呂場をつなぐ土間(ここが今回ワイン屋に!笑)。どうすれば心地よい家になるのか、考え抜きました。やっと完成した設計図はもう私たちにとっては立派な芸術作品。

方眼ノートにイメージを絵にする作業

 いよいよ着工というタイミングで、工務店主催で着工パーティーが開かれました。工務店のメンバーと私たちに加え、大工さん、電気屋さん、基礎屋さん、皆で「さぁ家を建てるぞ、エイエイオー!」のパーティーです。家を建ててくれる人は、実は大工さんだけじゃないんですね。各専門分野にプロの職人達がいて、彼ら彼女らの連携プレーによって、それまでは2次元でしかなかった自分たちの家が、みるみる3次元となっていきます。職人さん一人一人の顔が見え、「電気屋さん」ではなく「〇〇さん」と名前で呼べる距離で関われたことが、私たちの家づくりを一層充実したものにしてくれました。 
 私たちの家づくり最大の山場は、施主施工。挑戦したのは、木部(床・棚・階段)のオイル塗りと、天井・壁の珪藻土塗り、台所のタイル貼り。約3か月、主に週末を使っての作業。乳飲み子を抱えての作業はかなり大変でしたが、毎週末、友人・家族が次々と手伝いに来てくれて、学生時代の文化祭の準備のような雰囲気で進めることが出来ました。そうして完成した家には隅々まで愛着が湧きます。

左回りに、両家の父と夫、私の叔父叔母。作業の休憩の様子。

 手伝ってくれた友人を自宅でのホームパーティに招いても、「この壁を塗った時にはね…」と壁を肴に酒が呑める家です。電気の配線を見ては、「電気屋の○○さん」、玄関先の洗い出しを見ては、「外構屋の〇〇さん」が仕事に取り組んでいた真剣な顔つきを思い出します。家を買うということが、つくり手のものづくりに対する姿勢や志を知ることによって、「こころ豊か」な行為になる。そんな家づくりでした。

 実際に鎌倉に住んでみて感じていることについて、次の記事に続きます。


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