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【住む場所が人を創る】鎌倉の豊かさとは?


「鎌倉への移住から、私の人生の転機は始まった」

 さかのぼること8年。あの時の自分が鎌倉への移住を決意していなかったら、会社を卒業して開業する選択もしなかったかも…
 2022年現在、鎌倉で日本ワイン専門店を開こうとする私の思考と価値観に、鎌倉に住んだことがどう影響しているかを綴ります。  


鎌倉の良さは「人間として豊かでいられる」こと

 人生に必須なものは人それぞれですが、私にとって人生の基礎として必須となる3つの要素が鎌倉には揃っています。その3つの要素は、①自然 ②豊かな食 ③人との繋がり。この3つが土台になって、自身の心身の健康がある。健康だからこそ、何かを学び新しい事に挑戦することが出来るし、その活動が社会のためになることで報酬を得ることが出来る。そう考えています。

私の人生の要素ピラミッド

①自然

 私達は海まで徒歩3分という立地に家を建てたので、まずは海にすぐ行けるというのが暮らしの満足度を上げています。
 仕事と家事でやる事が多すぎて頭がパニック状態になった時、子供に怒ってしまった時、夫と言い合いになった時、「この場所じゃないどこかへワープしたい」と思うことはありませんか?
 私はそんな時、ちょっと海に行き、波の音を聞きながら砂浜を歩いて気分を変えています。海が身近にあることで、忙しい毎日に「余白」をつくることが出来ています。

朝はあまり人もいないので気分が落ち着きます。

 子供たちにとっても、海は良い遊び場。例えば夏の休日。朝ご飯を食べ早々に水着を着て家から海に飛び出し、たっぷり波と戯れ砂で遊び、家に帰ってお昼を食べたら昼寝、夕方にはまた海岸を散歩して、夕日が沈めば帰宅して晩御飯、というリズムです。 

遊具が無くても、波や貝殻や砂やら、何かしら楽しめる

 海だけでなく山もあるのが鎌倉の魅力。朝起きて、朝ごはんの残りのご飯をおにぎりにしたら、子供の足で片道30分程度、ハイキングコースを少し登って、見晴らしの良い場所で食べるおにぎりの美味しいことったらありません。

ハイキングコースの見晴らし台は海が見える所も多く気持ちが良い(写真は逗子市大崎公園)

 砂浜を裸足で歩く、波の音を聞く、夕日が海に沈むのを眺める、山でおにぎりを食べる、といった事を、「わざわざ」ではなく日常的に出来る豊かさがあります。
 自然を身近に感じる暮らしの中で、海洋ゴミや気候変動の問題に関心を持つようになりました。環境問題が「遠いどこかの知らない誰かの話」ではなく、自分が享受する、この目の前の、気持ちの良い自然が無くなっては困る!という自分事になったからです。

②豊かな食

 鎌倉は食文化が高く、美味しいレストランやカフェが多いので、徒歩と自転車で行ける範囲で充分外食を楽しめます。更に、食卓を豊かにしてくれる食材の専門店が多いのが気に入っています。鎌倉の各エリアには商店街が機能して残っていて、昔からの酒屋、魚屋、八百屋といった伝統的な専門店と、パン屋、カフェ、グローサリー店といった個性豊かな専門店が共存しています。我が家も、毎日ではないにしても、人が家に来て食事をするとなると、鎌倉野菜の直売所でちょっと変わった西洋野菜を買って、漁港で魚を買い、チーズ屋さんで出来立てのモッツアレラチーズを買い、ついでに、あそこのパン屋でバケットも買って帰ろう!おやつにあのカフェで焼菓子を買って行こう!と、街の中をフラつきながら、思いつくままに店に入り買い物をするのが本当に楽しいんです。食事は生活の大事な要素。美味しく楽しい食生活を送ることが私の人生の豊かさにとってどんなに重要なことなのか。鎌倉の食文化がそれを教えてくれました。

鎌倉駅近くの通称レンバイ(鎌倉市農協連即売所)。農家さんが直接朝採れ野菜を販売している。変わった西洋野菜やハーブも多く楽しい。

③人とのつながり 

 「適度な田舎」というのがちょうど良い表現でしょうか。会ったら挨拶して少し話すくらいの関係が、ゆるやかに人と人をつないでいます。子供がまだ生後間もない時、八百屋のおばさんが「大変だよね、赤ちゃん」、「あら今日は元気に泣くねぇ」と声をかけてくれる。そのちょっとした事が、産後で不安定だった私の精神を落ち着かせてくれました。
 隣に住むご夫婦も、子供達を孫のように見守ってくれ、調味料の貸し借りや、留守の間のゴミ出しを頼んだりする関係です。些細な事ですが、何かをしてもらって嬉しかったら、次にまたお返しをする、という心地良い循環が、鎌倉での暮らしにはあります。
 子供が保育園に通うようになると、頻繁にお友達同士の家を行き来して、一緒にご飯を作って食べたり、海で遊んだり、家族ぐるみで交流しています。

子供が小さいと大変になりがちなご飯の時間も、皆で集まると楽しくあっという間。

 パパ友とママ友は、助け合い慰め合いながら共に子育てをする仲間であると同時に、自分とは全く違う世界で活躍している社会人です。大学進学と同時に地元を離れて以降、鎌倉に移住するまで、私の付き合いは、大学の友達、会社の同期、会社の先輩など、「大学を出て大企業に勤めている」という似た境遇の人が多く、年々関わる世界が狭まってしまっているのではないか、という気がしていました。でも、鎌倉に移住し子供が生まれ仲良くなったパパ友とママ友は、年齢も職業も趣味も生活スタイルも、本当に多様なので、話していて刺激的で楽しく、視野を広げてくれる存在です。今後、子供を介さなくなっても続いていく関係性になれたことを嬉しく思っています。
 パパ友とママ友に加え、鎌倉に移住してから、行きつけのカフェやヨガの習い事を通じて知り合う人たちの、様々な生き方を間近で見て、自分にももっと色んな人生の選択肢があるという事を学びました。

こころ満たされる生活の輪を広げたい

 モノに溢れた世の中で、これ以上物質的な豊かさを求めるよりも、上記に書いたような①自然 ②豊かな食 ③人とのつながり といった精神的豊かさを追い求める事を優先したい。鎌倉に住んでみて、どんなに収入が高くて高価なモノが買えても、自分の生活が豊かだなぁと、「自己満足」できないと自分の人生を肯定出来ないと思うようになりました。これからは、モノを増やすこと、そのためにたくさんお金を稼ぐことよりも、自分のこころが豊かになるモノとコトを厳選し、心地よく生活するために自分の時間とエネルギーを使いたい。そして、先述した「私の人生の要素ピラミッド」の土台となるこの場所「鎌倉」を拠点にして、まずは自分の周りの人たちが「こころ満たされ」て暮らせるようにしたい。開業を決心するきっかけとなるこの想いを創ってくれたのは、鎌倉だったのです。

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