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ベーシックトレーニングってどうやるの?

この記事でベーシックトレーニングとは何かということをお伝えしましたが、どうやって進めるかということをご説明します。

教える順番

これが正解というのはありません。ワンちゃんが家にやってきて、飼い主さんが覚えてほしいことからやるのがいいと思います。ただ、その後のトレーニングをスムーズにしていくために、まず最初に教えるのは、アイコンタクトとターゲットトレーニング、トイレトレーニングです。

トイレトレーニングは家にあちこち排泄されてしまっては、不衛生ですし一番最初にやりましょう。次に、「アイコンタクト」は、名前を呼んだら飼い主にアテンションを向けさせるというコマンドです。また、「ターゲット」は飼い主の手首より先に注目させ、飼い主の手の甲に犬の鼻でノックさせるコマンドです。この二つができるようになると「オイデ」ができるようになります。例えば・・・

1.少し離れたところに犬がいます
2.「名前」を呼びアテンションを飼い主に向けさせます=アイコンタクト
3.足元に手の甲を置き、手の甲に犬を誘導します=ターゲット
4.足元に犬がトコトコやってきます=オイデ

クレートもターゲットを覚えていると、一番奥まで入る練習ができるようになります。

Tip
アイコンタクトを知らないと、どんなにコマンドを飼い主が伝えても、気づかないことがあります。名前を呼んだらコミュニケーションが始まるよ!と伝えられるように、早めに教えましょう。ターゲットができないと、ハンドシグナル(手の合図)を伝えるのに時間がかかります。特におやつがないとハンドシグナルに注目できないとなる犬が多い印象があります。早めに取り掛かりましょう。

アイコンタクトとターゲットを覚えたら、次は目的によって順番を決めていきましょう。例えば・・・

・お散歩が上手にできるようにしたい:オスワリ+ヒールウォーク+ヒールポジション
・カフェでゆっくり過ごせるようにしたい:オスワリ+フセ
・ドッグランに連れていきたい:オスワリ+オイデ

こうしてみると、共通して必要なのはオスワリです。一番使用頻度が高いコマンドでもありますので、オスワリは必ず教えましょう!

Tip
一般的に教えるものだと考えられている「お手」は実は実用的ではないのです。また犬が通常行動で行うものでもありませんので難易度が高いんですよ。そのためベーシックトレーニングからは外しています。


教える方法

まず、犬にコマンドを教えるとき、声の合図を最初から覚えさせるのが難しいということを以前この記事↓で書いてます。人によって声の高さや抑揚が違うため、犬は聴覚は非常に優れていますが、人間の言葉の判別が難しいということです。

じゃあ、どうやって特定の行動を教えるかというと、おやつを使ってまず行動を作っていきます。このおやつのことを「ルアー」と呼びます(釣りのルアーと同じ意味です)。この後にハンドシグナル(手の合図)をつけて、声の合図をつけます。つまり

1.ルアーで行動を誘発し、形を作っていきます。
2.ルアーをハンドシグナルに置き換えます。
3.ハンドシグナルをバーバルシグナル(声の合図)に置き換えます。

例えばオスワリを教えるときは

1.ルアーで行動を誘発し、形を作っていきます
ルアーを犬の眉間あたりから、さらに犬の後頭部のほうにもっていくと、上を見上げる形になり、徐々に犬のおしりが下がります。おしりが地面に着いたら、ルアーをご褒美として与えます。

2.ルアーをハンドシグナルに置き換えます
ルアーを持たず、手の形を変えずに(ルアーを持っているふりをして)同じしぐさをします。それでオスワリができるようになったら、後からおいしいものをあげます。

3.ハンドシグナルをバーバルシグナル(声の合図)に置き換えます
ハンドシグナルを徐々に小さくし、目立たなくしていきます。オスワリを手で指示するときは、胸元に手で合図するくらいまで小さくします。この小さくするのは、徐々に手の合図を高くしたり、距離を取ったりして目立たなくしていくということです。そこまで小さくしてもコマンドに従えるくらい習慣になったら、バーバルシグナルをつけます。

バーバルシグナルをつけるときは、言葉はなんでもかまいません。「Sit」や「スワレ」などなんでもかまいません。ただ、バーバルシグナルのつけ方は注意します。①ハンドシグナルと一緒に出さない、②ハンドシグナルより前に出す、③バーバルシグナルをいうときは手を後ろに回して手に注目がいかないようにする、ようにします。つまり、

1.手を後ろに回して、普通の姿勢で立ちます
2.バーバルシグナル(オスワリ)と言います
3.ハンドシグナルを出します
4.犬がオスワリをします

最初のうちは、3のハンドシグナルでオスワリを認識しますが、犬は徐々に2のバーバルシグナル=3のハンドシグナルと認識し、バーバルシグナルだけでもオスワリができるようになります。バーバルシグナルがちゃんと伝わっているかを確認するために、「オスワリ」といったら5~10秒待ってみるようにしましょう。その間にオスワリができるようになったら、バーバルシグナルまで学習できたということです。

Tip
一つの行動に一つずつバーバルシグナルとハンドシグナルをつけることをお勧めしてます。静かにしていなきゃいけなくて、声を出せないシーンもありますし、犬が遠くにいてハンドシグナルが見えないシーンもあるからです。


おすすめのトレーニング方法

公園を散歩していても、クリッカーを使っている人が本当にいないのですが、、、もう、とにかくクリッカーを使ってみてください!!

行動というのはいろんなポーズが連鎖して一つの動きになります。例えば、オスワリをするときは、徐々におしりを下ろしていき、地面におしりがついたときがオスワリの完成ですね!けど、そのままお腹を下ろしてフセになってしまうこともあったりします。そのあとご褒美を上げていいか悩んだりしてしまいます。

本当は「地面におしりがついたその瞬間!」をキャプチャーして、「その行動がイイよ!」って教えてあげたいですよね?

それができるのが、クリッカーです。もう何度もクリッカーのことを書いているのですが、全然使っている人がいないので、浸透するまで書きますw私の個人的な感想ですが、クリッカーを使わないと3週間くらいかかるトレーニングが1週間くらいで完了するほど、学習速度が速くなりますよ!だまされたと思って、ぜひ初めて見てください。


コマンドを覚えたら?

コマンドを覚えたらそれで終わりじゃないんです。犬のトレーニングは一生続くんです。でも、何をやるの?って思いますよね。

コマンドを犬に提示したときの
①正確性
②反応(行動開始)までの時間の短さ
③反応完了(行動完了)するまでの速さ

をより高めていくんです。

オイデって呼んでも、他に気になるものがあると、「え~?」って顔して、しぶしぶあるいて、なんなら寄り道してくることありませか?これは①②③いずれもダメですよね。

本当は、飼い主さんが期待しているのは、「オイデ」って読んだら、すぐに耳がぴくっとしてそのまま飼い主のもとに一直線に走って帰ってくることです。これができるようになるために何度も何度も繰り返し練習します。

この時、4つの軸で練習します。

時間
 その行動が長く維持できるか?
距離
 その行動が遠く離れていてもできるか?
刺激の多様性
 その行動が他に楽しいおもちゃやおいしいもの、他の犬などの刺激があってもできるか?
部分強化
 おいしいものなどご褒美が毎回なくてもできるか?


まとめ

このステップはどのコマンドでも同じです。特に気を付けてほしいのは、コマンドは「誰がやってもちゃんと犬に伝わるコミュニケーションツール」であるということです。トレーニングに熱心なお母さんだけ、お父さんだけやっても、いざというときに他の家族が指示しても、従わなくなっちゃいます。必ず、犬と関わるご家族の方全員でトレーニングをやっていくようにしましょう。可能であれば、見知らぬ人とのトレーニング(グループトレーニング)などにも積極的に参加してみてくださいね。友達が家に来た時に、コマンドやおやつを与えてもらうのもすごくいいですよ!

あと、トレーニングは犬のペースで進めます。覚えきっていないのに、次のステップに進むと犬は混乱してしまいます。必ず、7割がた成功できるようになってから、次のステップに進みましょう。そして、成功しているトレーニングで終了しましょう。成功体験を積ませてトレーニングを喜んでやってもらうというのが、一番の上達への早道です!



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