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暦の思い出と暮らす日々

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きわめて個人的な暦のはなし
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2021年1月の記事一覧

真冬のラオスで、2人の夢が重なる(暦のはなし・1月)

真冬のラオスで、2人の夢が重なる(暦のはなし・1月)

 新たな年のはじまりは、日々厳しくなっていく寒さとともに。小寒(しょうかん)から大寒(だいかん)へと移りゆき、手がかじかむ季節です。

 3年前の1月、私は今の会社に入社しました。最初の仕事はなんと東南アジアのラオスへの出張。コーヒー事業をPRするための動画撮影のディレクションと、Webサイト制作のための取材が目的でした。

 私は大学時代、東南アジア、とくにメコン川流域の国々への開発支援について

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大晦日とエビの天ぷら(暦のはなし・12月)

 いよいよ12月になりました。本格的な寒さが到来する大雪(たいせつ)から、柚子湯に入ることで知られる冬至(とうじ)へ。クリスマスや年末年始の準備に忙しい時期ですね。

 私には毎年、大晦日にエビ天をつくるという使命が課せられています。我が家の年越しそばにはエビ天をのせると決まっているのです。
 祖父母と父母、兄と私、6人分のエビ天。殻を剥き、反らないように包丁でスジを切り、油の中でハネないようにし

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食べることは、生きること(暦のはなし・11月)

食べることは、生きること(暦のはなし・11月)

 11月に入ってしばらくすると、二十四節気では「立冬(りっとう)」、暦の上ではとうとう冬のはじまりです。寒さにコートを羽織れば、やがて木の葉が落ちて山にうっすら雪が積もる、「小雪(しょうせつ)」へと移ろいます。

 私は冬がとても苦手です。空はどんよりしているし、日が短くて1日がすぐ終わるようで気が滅入ってしまうのです。そして、ある苦い経験をしたのも冬でした。刺すような寒さは、暗い気持ちごと、記憶

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私たちを繋いだものは手紙だけだったけれど(暦のはなし・10月)

私たちを繋いだものは手紙だけだったけれど(暦のはなし・10月)

 草木に冷たい露がつく寒露(かんろ)から、朝晩の冷え込みが厳しくなり朝霜がおりはじめる霜降(そうこう)へ。紅葉が山から里へと降りてきます。

 10月は和名だと神無月ですが、私が幼少期を過ごした島根県出雲市では神在月と呼ばれます。日本中の神様が出雲大社に集まるため「在」が使われる、というのは有名な話ですが、では神様が集まって何をしているかというと、農業や縁結びについて話し合っているのだそう。

 

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人より得意じゃなくても、上には上がいても(暦のはなし・9月)

人より得意じゃなくても、上には上がいても(暦のはなし・9月)

 静かに秋が深まっていくこの頃。二十四節気では、草花に朝露がつきはじめる「白露」から、昼夜の長さが同じになる「秋分」へと移ろいます。
 秋といえば、食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋……色々ありますが、私にとって、今年は芸術の秋になりそうです。

 幼い頃から絵を描くのが好きで、子どもの頃の一番の夢は画家になることでした。先生や親から「上手だね」と褒められ、中学生のときには作品が学年代表としてコンク

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