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真冬のラオスで、2人の夢が重なる(暦のはなし・1月)

 新たな年のはじまりは、日々厳しくなっていく寒さとともに。小寒(しょうかん)から大寒(だいかん)へと移りゆき、手がかじかむ季節です。


 3年前の1月、私は今の会社に入社しました。最初の仕事はなんと東南アジアのラオスへの出張。コーヒー事業をPRするための動画撮影のディレクションと、Webサイト制作のための取材が目的でした。


 私は大学時代、東南アジア、とくにメコン川流域の国々への開発支援について研究をしていました。JICAかUNICEFに就職して現地で仕事をするのが夢でしたが、学ぶうちに現実を知り、自分の能力のなさも実感し、就職する頃には別の道へ。デザインが好きだからという理由でWeb制作会社に入社しましたが、伝えるということを仕事にすれば、またいつか別の形で夢に近付けるのではないかという淡い期待もありました。それから数年後、本当に仕事で現地に行くことになるとは。

 ラオス出張の最後の夜、スタッフ4人で夕食を食べていたときに、私は珍しく自分の話をしました。国際協力機関で仕事をするのが夢だったこと。別の道に進んだこと。でも今こうして海外のプロジェクトに関わることができて本当に嬉しいこと。


 すると、ひとりのスタッフが言いました。

「僕は国際協力をしたいと言いながら、就職を機に諦めていく人たちをたくさん見てきた。だから、そういう人が関わることのできる現場を作ることがひとつの夢だった。その夢がいま叶った気がする」


 それは、私の夢も同時に叶った瞬間でした。

 人生って不思議だなと思いながら、 ゲストハウスへの帰り道、涙を堪えていたのは、ここだけの話。

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