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#8 「生きがい」について考える

英語になっていたIKIGAI

この連載を始めて以来、「幸せ」について議論することが増えた。

例えば、外国人向けの職探し集中コース(連載6回目)で出会ったベネズエラ人のイリアナ。私が、デンマークと幸せについての記事を書いている、と話すと、「そんなの、ここの人たちが幸せなのは、何でも保障されていて心配する必要がないからに決まってるじゃない!」と笑い飛ばした。

米国在住のジョナサンがコペンハーゲンの我が家に遊びにやってきた時にも、ああだこうだと考えを巡らせていたら、彼はこう言った。

「デンマーク人の言う幸せって『満足』っていうことだよね。幸せっていうのはもっと、Ikigaiってことじゃないの
「え?」

日本語を話さない彼の口から、いきなりイキガイという言葉が飛び出して、思わず聞き直した。

知らなかったが、イキガイはすでに英単語としてデビューしていて、大まかにいって、イキガイ=「あなたが朝、起きだす理由」と説明されている。沖縄の人々の長寿の理由を生きがいに求めた本が、海外でベストセラーになったことをきっかけに広まったようだ。

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ソーシャルメディアでも、イキガイを解説する英語のベン図が出回っていて、イキガイとは「好きなこと」「得意なこと」「世界が必要としていること」「収入を得られること」のすべてが重なる部分、と解説されたりしている。収入と結びつくあたり、どうも日本人が感じる本来の「生きがい」とは外れた感じで広まっている気もしないではない。

「受け身」vs「追いかける」幸せ?

ただ、英語の「イキガイ」への疑問はともかく、私もまた、イリアナやジョナサンと同じようなことを考えていた。つまり、「幸福な国」デンマークを語る時の「幸せ」というのは、日本で平均的に語られたり、私が米国で学んだりした「幸せ」とは、少しニュアンスが異なるんじゃないか?ということである。

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